【この法話は、昨年11月1日に投稿したものです。この法話も、息子さんのおられる読者の親御さん達から「子供に読んでもらいたいから、再度、投稿して下さい」の要望を受けて】
11月は、末の息子の29歳の誕生日。彼は人見知りが酷く、4歳まで殆ど言葉を。が、しっかり会話(挨拶なども)を交わす生活をさせる事で、小学1年までには、小声だが普通に会話も出来る様に。この息子が大学に入学した時「父さん。俺、何のバイトをしたらいいかな」と。「そうだね。人間の幅を広げたいと思うなら、自分が不得意とする分野の職種を選んだらどうだ。自分にとって居心地が良いと思える場所よりも、居心地が悪いと思える場所の方が、新たな発見に出会える確率は高いと思うよ」と。
そこで、息子が選んだが、銀座アスター。その中華料理店の接客係を。6年間(東京理科大、同大学院在学中)勤め続け、奨学金とバイト代だけで、学費、生活費、下宿代を。親(拙僧)からの仕送りを貰わずに。親が子供を育てるは、やはり限界があります。可愛いからね、どうしても、最後の最後は厳しさが欠如を。バイトとはいえ、随分と社会に育ててもらいましたね。因みに、この息子は今、情報、設計分野で仕事をしながら、時間の許す限り、僧侶の仕事も。拙僧亡き後は、兼業しながら、お寺を守っていってくれるとのこと。有難い話です。
現在、日本には77000程の寺院がありますが、既に、その中の約2万の寺院が住職不在(廃寺も含め)に。将来は、5万以上の寺院が廃寺になるだろうと予想されています。先祖を大切に思う檀家が1人でもおられる内は、しっかりお寺を守っていこうと、息子達とは話をしております。
高校での講演の時には、必ず生徒達に拙僧「この話ですが、拙僧は『子供の自慢話』を君達にしている訳ではないよ。『親に経済力がないから、大学に行けない』と不満、不足を抱く子供がいるが、親の援助なしに通ってる子供は、わが寺の檀家の中にも何人かいるよ。大学に行って、本気で勉強したいなら、何とでも出来る。まあ、奨学金を後で返すは、確かに大変な事だが、拙僧の息子は今、それをやってるよ。親の加勢も受けず、文句も言わず。置かれた環境に文句を言う前に、それを実現出来る方法は何かないか、を探し出しなさい。本当に大学で勉強をしたいなら」と。
【追伸】
拙僧の大学時代の友人(同級女性)は家庭が非常に貧しく、それでも大学で勉強を、と奨学金、夜のバイト、家庭教師と掛け持ち、全て自分の力で。それどころか、親に5万円の仕送りまでも。まあ、この子は特別だったが。1年留年後、一流商社に。目標があれば人間は、頑張れるものなんだな、と当時、この子には、教えられる事ばかりだった。でも、願わくば、日本の人材育成の為、学費については、政治家さん達はなるべく早く、勉強意欲のある子供達の為に、負担減少の議論を。
【余談】
これは余談ですが、勤勉といえば、二宮金次郎さんの銅像が頭に浮かびますが、昨今では、座って本を読む金次郎さんの銅像が作られているとか。何故、こんな像が出来たかといえば「歩きスマホはいかん、と言ってるが、じゃ、学校にある二宮金次郎はどうなんだ。本を読みながら、歩いてるじゃないか」と、明後日(あさって)の方向から文句を言ってくる者が、出てきたからだとか。銅像の意味するところを、重々知っておりながら。建設的な意見を含んでない文句を言うほど、簡単な事はないですよね。気に食わん事を、口に出せばいいだけだから。3歳の子供でも、母親に文句を言いよる。世の中(関係者)も、いちいち、いちいち、こんな文句言いに、付き合う必要なかろうに。何かしら、文句を言わないと、気が済まないんだろうね。特に、SNSという陰口を叩けるツールを手にしてからは、文句や誹謗中傷が、エスカレートしていくばかり。ほんと、せっからしか、ですね。