「明日への遺言」以来しばらく遠ざかっていた映画でした。今回も戦争が
もたらした若者達の野球への情熱がテーマでした。
太平洋戦争真っ只中の1943年10月に行われた大学野球、最後の早慶戦。
その試合後に、戦地に赴き、命を落とした若者たちの青春を描いた映画です。
昭和18年、戦時下野球なんてすることさえ許されない時代でした。それでも
「野球がしたい。練習だけでなく試合がしたい。」という学生達の願いを当時の
早稲田の飛田穂州監督(戦後も解説者として活躍)は、慶応塾長小泉信三氏
からの早慶戦実施に向けて、戦時統制化に、反対する田中総長と掛け合い
ます。
飛田氏の熱意に総長も「何かあったら責任はわたしが持つ。」と許諾。
両校なかよく肩を組んで
飛田監督へ小泉塾長から早慶戦をと
彼らには学徒動員として出陣が迫っていました。-今までは学生の兵役
猶予されていたー
主人公戸田順二の父親の反対を母が、また妹が泣いて説得する様には
こちらも涙しました。兄は弟に「戦争は自分が、お前は野球を・・・。」と言って
戦死した。父は「あっぱれ。」といいながらも涙していた。最後には応援席で
手をたたき喜んでいた。
そして、いよいよ早稲田の戸塚球場で実施された最後の壮行早慶戦、
結果は一時期自宅に帰らせていた慶応の練習不足で早稲田の 圧勝で終
わりました。
しかし終わって、早稲田の応援席から突然慶応の応援歌が歌い出され、
続いて慶応側からは早稲田の校歌が歌い上げられ両校がそれぞれを讃え
たのでした。このラストシーンにまたしても胸がジーンときました。
学生達が歌う それぞれの校歌 応援歌
彼らはその後、歓呼の声に送られて学徒動員として、25000人の学生が
出陣していきました。戸田順二さんも帰らぬ人となったそうでした。
今の平和な世の中、六大学野球も復活され楽しんでみることが出来ます。
主人公を演じた渡辺大、飛田監督の柄本明 小泉塾長の石坂浩二、
総長の藤田まこと、母親役の冨司純子さんたちの名演技に魅せられま
した。(事実に基づいてのシナリオでした)