東大教授で解剖学者、「バカの壁」「唯脳論」などの著者、養老 猛司氏
が中日新聞の特別インタビュー「脳」と「動き」に答えて、今日の日刊1面全て
に掲載でした。
現代社会は、インターネット(パソコンや携帯電話による)で様々な情報が
入手できるが、それらは本当の体験ではなく情報による他人の経験で自分で
行動した経験とは異なる。
動くことで脳は活性化
脳には3つの働きがある 1 五感として入力する働き
2 入力した物を脳内で電気信号に変えて
演算する力
3 それを筋肉から「動き」として出力する
脳は五感の入力と運動と言う出力の繰り返しで成長していく。これらの
サイクルが行なわれなければ活性化しない。
冷暖房完備のマンションに住み、同じ階段しか上がらない人間と、天気
が変わり日光がさっと動き鳥の鳴き声を肌感覚で知っているのとでは、
脳の活性化は どちらか分かる。日光の動きも風の変化も天気の変化さえ
分からない。感覚が鈍くなる。
文明が進めば進むほど人間は動かなくなり脳も弱ってくる「脳化社会」
と呼んでいる。
地べたに座り込む若者
立って入られない子ども、「次の動きがない」状態、生き物としては変で
死んでいるみたいなもの。今の教育の中から、本来の「体育」が抜けている。
体育には次の動きが予想され合理的に動くことを教えないといけないが、
次の動きを予想することが身についていない。
人間はどんどん変わっていく
若い人の多くは、今の自分が存在している世界の中だけで生きようと
しているが、それは退屈な世界である。 「おもしろくない 生きがいがない
希望がない 可能性ゼロ 自分は確固として変わらない」と
しかし人間はどんどん変わっていく。気づかないまま「変わらない」と思って
いる。動かないもの、変わらないものこそ情報である。
自分が変わり脳が感じるためにも動かないといけない。動くことが人間の
あるべき姿にする。
子供の頃は感覚が良くても大人になると鈍くなり、必要だと思うものしか
見ない。「脳社会」の大人となる。人間が持っている力を取り戻すには、
感性入力と運動出力を大きくすること。
たとえば歩くと、歩くたびに周囲やものの見え方が変わっていく。それが
刺激となり、自分自身が変わっていく。
「口は達者だけど何が出来るのだ」
本当に動けるか「日本人よ動け!」と。