冬の芽や耐えて大きく花の咲く 聖海
日曜の朝、庭に出てハナミズの下から青空を見上げ
ると葉がすべて落ち、枯れ木になっています。樹形を
じっと見ていると枝の先端に丸い小さな蕾を見つけま
した。この小さな蕾は厳しい冬の寒さに耐え、春にな
ると花を咲かせてくれるるのだなとハナミズキの命の
息吹を感じました。
友人のOさんは一人で地域の外国人をサポートする
ボランティアをしていると聞き、同行しました。Oさ
んが運転する小さな車は居酒屋やスナックが並ぶ四階
建てのビルの前に駐車しました。居酒屋にでも入って
いくのかなと思っているとビルの裏側に回り手すりの
付いた鉄の階段を上り始めました。最上階まで元気に
のぼっていきます。いくらか私の方が若いのに息が切
れそうなくらい急な階段です。最上階に着くとここに
段差があります。気をつけて下さいとアドバイスをい
ただきました。廊下に設置された洗濯機が夕暮れの中
で音をたてている。すると左側の一番奥の部屋のドア
が開きました。
「遅くなってごめんね。今日は友人を連れてきまし
た。」と言うと玄関が台所になっているアパートの中
の一室にOさんは入っていきます。私も後についてい
ます。二畳ぐらいの台所兼入り口を抜けると三畳ぐら
いと感じられる畳の部屋にテレビとソファーが置いて
ある。そこにOさんと私、四十前後のフィリピン人女
性が座りました。小太りの女性には少し窮屈そうに見
える。
Oさんは早速書類を取り出し、本人に確認をしなが
ら記入し始めました。これでは振り込めないと言われ
ましてね、とフィリピン人に説明しながら仕事をして
いきます。何の書類なのかなと思っていると「確定申
告は五年さかのぼってできるということなんですがね、
まぁーいろいろありまして二年間さかのぼって申告し
たところ、還付金をK税務署が振り込んでくれること
になりました。これが振込先を記入する署名なんです。
銀行名と銀行支店名の記入が間違っていたため振り込
めないという通知があったんです」と説明してくれま
した。K税務署行きという封筒に書類を入れ、のり付
けし、裏面に署名してあげていました。この仕事が終
わると女性はこの書類が読めないと一枚の紙を出しま
した。見ると身元保証書とありました。
ミンダナオ島出身の女性の妹さんが姉さんを頼って
日本に来るというようなことらしい。その妹さんの身
元保証をお姉さんがする保証書だった。女性には英語
が通じるようだ。これはギャランティーだ、とOさん
が説明すると女性は納得した。これはイヤー、これは
マンス、これはデイ。ナショナリティー、アドレス、
ネーム、次々と説明しながら日本語を英語に変えて書
いていく。「法令を遵守します」というところでちょ
っと詰まってしまいました。私も何と言うのかなと思
っているとキープ・ザ・ロウとOさんは英語で書きま
した。さすがだ。ゴミ分別の方法も英語を日本語の下
に書いたところ、ゴミを分別するようになり、コンビ
ニにゴミを捨てなくなったという。Oさんは大きな花
を咲かし初めているようだ。