消費税増税に反対したい
「消費税とは弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である」。
このように斎藤貴男は「消費税のカラクリ」という講談社現代新書の
中で主張している。この本を読み進み、このような言葉に出会うと納得
するのである。
年金生活者の私にとって年金額すべてが生活費として消費する。それ
でも足りない。それが実態である。年金では預金などできない。収入で
ある年金の五%は消費税として徴収されてしまう。収入の多い人は収入
のすべてを使い切ることはないだろう。収入の二十%いや三十%ぐらい
預金するかもしれない。この預金には課税されないどころか雀の涙ほど
の利息がつく。収入の全額に課税される年金生活者のような人と収入の
何十%かに課税される収入の多い人がいる。これは不公平である。
今まで消費税ほど公平な税制はないと思っていたのは間違いであった。
消費税は消費した人すべてに公平に課税される。だから公平だと新聞や
テレビで言われているからそうだなと思っていたのが間違いのもとであ
った。ここに落とし穴があったのだ。
我々年金生活者の雀の涙ほどの預金は回りまわって投資されるようだ。
投資されることによって利子が付く。今では子供のお年玉にもならない
ような利子が付く。このように投資されるからこそわずかばかりの利子
が付く。それでもこのようなお金があってこそ経済は成長・発展してい
くのだという。投資するお金の原資は預金なのだから投資したお金に課
税するのはどうか。投資して得た富に課税するのは間違いだという結論
になるという。なるほどねー。このような主張をする財政学者がいる。
それらの人々は法人税は零にすべきだとも主張している。投資の結果得
た富に課税するのは間違いなのだから。なんと恐ろしい結論なのか。
法人税減税と消費税の導入は一枚の紙の裏と表の関係にあったのだ。
だから財界は消費税導入を強く主張するわけだ。
財政とは国民所得の再分配だと教わったがそれを壊す税制度が消費税
だったのだ。このことを構造改革という言葉で表現していたのだ。この
言葉で国民を騙したのだ。
消費税を社会保障の財源にする。納得してしまいそうである。この言
葉にも今までの財政のあり方を大きく変える毒饅頭が仕込まれている。
社会保障とはそもそも収入の多い人からたくさん税金を徴収し、収入の
少ない人の生活を保障する。ここに社会保障の基本がある。これを公助
という。この基本を壊す税制が消費税なのだ。消費税はすべての人に平
等に課税されるので年金生活者のような収入の少ない人にも課税される。
だから自助もしくは共助ということになる。だから消費税を社会保障の
財源にするという言葉は社会保障を公助から自助もしくは共助にすると
いうことを意味しているのだ。
さすが財務省はずる賢い。政治家は毒饅頭を国民に食べさせる役割を
担い、弁舌の爽やかさで国民を騙す。
「税と社会保障の一体改革」。上手いコピーだ。きっと大手宣伝会社の
コピーライターが作った宣伝文句なのかもしれない。
「消費税増税は待ったなし」と言った野田民主党政権の「偉業」を安
倍政権は継承し、一年半消費税増税を伸ばしたことを宣伝して自民党は
年末に総選挙をする。300議席を確保し、消費税10%を実現する。
われわれ年金生活者は泣きっ面に蜂だ。アベノミクスとやらでお金を
大量に発行し、お金の価値を目減りさせ、円安になった。輸入価格が高
くなり、日用品の価格が上がった。鮭の切り身が薄くなったと家内が言
う。一袋に入っているウインナソウセージーの本数が二・三本少なくな
った。日本酒の値段もじりじり上がっている。わずかな預金の価値が目
減りする。自民党安倍政権はこんなにも庶民の生活を苦しくしているに
もかかわらずに自民党に投票する人々が多い。不思議なことだ。
株価が上がった。毎日のようにテレビで放送する。それで日本経済は
良くなっているから我々の生活も良くなると錯覚するせいかもしれない。
株価が上がっても庶民の生活がよくなることは絶対にないにもかかわら
ず庶民は人が良いから自民党が言う嘘を信じてしまうのかもしれない。