醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   27号   聖海

2014-12-10 10:56:34 | 随筆・小説

IWJ(インターネットメディア)の定期会員になっている。下記のものが
今日の書き出しでした。2014.12.11、午前11.30転載しました。

おはようございます。IWJ・Web班の伊藤です。

昨日、“稀代の悪法”特定秘密保護法が施行されましたが、こんな日でしたので、
10日の大手新聞各社の特定秘密保護法に関する社説を比較してみることにしました。
タイトルを並べるだけでも、各社の姿勢が出ていて、とても分かりやすいです。

読売新聞 『秘密保護法施行 他国との情報共有に不可欠だ』
朝日新聞 『衆院選 秘密法施行 「不特定」の危うさ』
毎日新聞 『秘密保護法施行 息苦しい社会にするな』
日経新聞 『民主主義の土台たる「知る権利」を守れ』
産経新聞  なし
東京新聞 『特定秘密保護法施行 権力が暴走しないか』

さすがの読売ですが、産経には恐れ入りました。
産経新聞の10日社説は、衆院選関連と『野球ソフト復活へ 東京で新たな五輪像示せ』
でした?? こういった産経や読売の記事が、日本で断然のアクセス数を誇るニュース
サイトである『Yahooニュース』のトップに度々登場するのですから、国民を眠らせて
おくのは簡単なことなのかもしれません。
 事実、『Yahooニュース』のアクセスランキング(10日19時頃調べ)のトップ20には、
秘密保護法の「秘」の字もなく、1位は『ボウリング場女性従業員が土下座 女子高生
「めっちゃおもろいわー」とツイッターに写真投稿』でした。
これも確かにひどい話だけど、今日の1位じゃなくても・・・と思わず突っ込みを入れ
たくなります。
 しかし、そんな危機感のない世相の中、官邸前では若い学生や女性たちが抗議の声を
あげ続けました。

 特定秘密保護法廃止を求める若者がいることを大手メディアは報道しない。メディアが
報道しないとそのような現実はなくなってしまう。国民の力となることがない。私もささ
やかながら、特定秘密保護法廃止の意思表明をしたい。

 今日のYahooニュースを読むと来年の日本社会に暗澹たる思いがつのります。
 衆議院選中盤の情勢について、現時点では(1)自民は単独で300議席を上回る勢い
で、公明とあわせて定数の3分の2(317議席)を確保しそう(2)民主は100議席
には届かないものの、70議席台に増やす公算が大きい(3)維新は30議席を割り込む
可能性が高く、次世代も1ケタに激減する見通し(4)共産は倍増する勢い――となって
いる。このように朝日新聞社は、報じている。
 
 いよいよ自民党の日本国憲法改正案が国会を通る可能性が出てきた。阿部政権は日本を
取り戻すことができるかもしれない。取り戻す日本とはいつの日本のことをいうのかとい
うと大日本帝国憲法下の日本のことを言っているようだ。いよいよ徴兵制を復活する日本
になるのだろうか。自転車置屋の親爺が言っていた。徴兵制が復活するよと。若者の仕事
がなくなり、兵隊に応募する以外に生きる道がないような日本にしようということかもし
れない。これを経済徴兵制というようだ。アメリカではこうなっているという。
 自民党憲法案は恐ろしい。憲法に夫婦相和すことが書かれている。この憲法を国民は守
れと言っている。夫婦喧嘩をすると憲法順守義務違反になる。取締りの対象になるのかし
ら。そうなったら警察は忙しい。場合によってはすべての既婚者が憲法違反者となる危険
性がでてきそうだ。こんな奇想天外な憲法案を自民党は出している。このような政党が30
0を超える議席を獲得する勢いであるという。
 共産党が三倍増するようなことが起きなければ来年の日本は今よりさらに厳しい社会に
なりそうだ。
 
 IWJとネットで検索すると大手メディアが報じない現実がそこにはある。ぜひ検索し
てみてはいかが。










醸楽庵だより   26号   聖海

2014-12-10 10:56:34 | 随筆・小説
 
 NHKニュースは偏向している 

 数年前の九月二十二日(土)、朝食後テレビを付けると「ニュース深読み」
という番組をやっていた。途中から見ていると反原発デモのことになった。
司会をしている小野アナウンサーが「NHKや民放も反原発デモを報道しな
かったのはどうしてなんですか」とNHK解説委員に問うた。私は身を起こ
し、テレビの画面に集中した。「全く報道しなかったわけではないんです。
『クローズアップ現代』という番組では報道したんです。これだけ情報があ
ふれ、さまざまなできごとがある中で反原発デモを報道すべきかどうか判断
ができなかった」。このような発言をNHK解説委員はした。この解説委員
の発言を聞いて当たり前のことに気が付いた。ニュースとはNHKが報道す
べきだと考えた出来事がニュースとして報道されているということだ。
 東京大学名誉教授の醍醐さんはNHKの「ニュースウォッチ9」を見て、
「特定秘密保護法」賛成の意見を報道した時間、数十分に比べて反対の意見
は45秒しかなかったと言っていた。
 新宿駅近くで集団的自衛権反対を唱え、焼身自殺した人がいたが、ほとん
どの人がテレビや新聞では気づかなかった。日比谷公園でも安倍政権の政策
に反対して焼身自殺した人がいたが、人々の話題にのぼることはなかった。
これはマスコミの報道の仕方に問題があったからた。マスコミの報道によっ
てこのような出来事はなかったことになっている。
 世界や日本で起きている出来事の中でNHKが報道するに値すると判断し
たものだけがNHKのニュースになっている。私たちは日々何を報道すべき
かという判断をされたニュースを聞き、読み見ている。お金を払って誰かが
判断した情報を得ている。報道とは客観的なものだという先入観がなんとな
くあるが報道とは主観的なものなんだとあらためて実感したNHK解説委員
の発言だった。
 今からおよそ百六十年ほど前に「その社会の支配的な思想はその社会の支
配的な階級の思想である」と三十代のマルクスは書いている。日々私たちが
聞き、見、読んでいるものは現代日本社会の支配的な人々のものの見方であ
り、感じ方であり、考え方なのだ。
 日本は民主主義の国だ。こう新聞やテレビなどのマスコミの人々は言う。
だから民主主義国とは国民一般の人々の意見が反映された政治が行われてい
る国だと思ってしまう。しかし違う。国民の意思とは現代日本社会で支配的
な人々の意思のことなのだ。現代日本社会の「民主主義」とは現代日本社会
で支配的な人々の意志に基づいて行われている政治体制のことを意味してい
るのだ。
 二年前の八月二十二日、野田元首相は反原発デモの代表たちの要求書を直接
受け取った。この出来事を代表者の一人が「民主主義の再稼動」と言った。
この言葉を聞いたとき私は感極まってしまった。思わず涙が出てしまったの
だ。日本社会の一般国民の意志に基づいた政治をしろ、と要求している。こ
れが民主主義なのだ。小熊英二という歴史学者は日本歴史始まって以来の画
期的できごとだといった。それに対して橋下大阪市長は「社会にはルールが
あり、一国の首相と会わせてくれと言って会えるものではないと思う。とに
かくデモをやれば民主的なルールをすっ飛ばせるというのは違うと思うし、
直接会えば原発問題が解決するという話ではないと思う」と発言した。
 橋下には一般市民が首相に政治的要求することは民主的なルールをすっ飛
ばすことのようだ。アメリカが年次改革要望書を日本に突きつけてくること
は民主的ルールをすっ飛ばすことになるのかどうか、聞きたいものだ。日本
の経団連会長がTTP加入を政府に要求するのは民主的ルールをすっ飛ばす
ことなのか、どうか聞きたいものだ。橋下には多数の国民大衆が政府に要求
を突きつけることは民主的行為ではないようだ。