醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより 130号  聖海

2015-03-24 10:47:13 | 随筆・小説

  民主主義を問う「翁長沖縄県知事、ボーリング調査停止指示」について

 翁長沖縄県知事が上京し、安倍首相や菅官房長官、他の関係閣僚などに知事就任の挨拶をしたいと申し出たが、「日程が合わない」と断られた。知事が辺野古に米軍基地を移設することに反対しているので「会っても意味がない」と中谷防衛大臣は本音を漏らした。翁長沖縄県知事に対し、「もう少し国の安全保障や沖縄県のことを考えて頂きたい」と苦言を申し述べた。
 民主主義とは話し合いで問題を解決する。意見の違った者と話し合いをする。これが民主主義である。意見の違った者とは話し合いはしても無駄だという考えは民主主義を否定する。「もう少し国の安全保障を考えてもらいたい」ということは国の言うことを聞いてもらいたいということなのだろう。言うことを聞かない者とは話し合いをしない。これは民主主義を否定する独裁者の言うことだ。
 沖縄県知事選に臨んだ翁長候補は「民主主義の品格」ということを主張していた。元々自民党員であった翁長氏は自民党の民主主義を信じていた。「民主主義の品格」を尊重する政党が自民党だと信じていた翁長候補は沖縄県民の意志が辺野古に米軍基地を建設することに反対だと言うことであるなら、自民党はその沖縄県民の意志を尊重してくれるのではないかと考えていたのだろう。
 2015.3.23日、翁長沖縄県知事は県庁で緊急記者会見を開き、辺野古新基地建設に伴い、沖縄防衛局が海底に設置したコンクリートブロックがサンゴ礁を傷つけている蓋然性があると、沖縄防衛局側に対し、ボーリング調査などの海上作業を7日以内(3月30日)に停止するよう文書で指示したと発表した。また沖縄県はサンゴ礁破壊があるのかどうか調査したいと米軍が管理している臨時制限海域に潜水調査を求めたが、米軍側が拒否した。
 翁長知事は、「調査さえできないことは不合理極まりない」と発言していた。米軍が管理する海域に沖縄県行政機関が入ることができない。日本は独立国ではないのか。疑問を感じる。
 沖縄防衛局に対する翁長知事の指示に対して菅官房長官は「甚だ遺憾だ」と批判し、「文書の内容を精査した上で法令にのっとって対応する。一般論として、現時点において作業を中止すべき理由は認められない」と語り、県の指示に従わない意向を述べた。話し合いで解決したいとは述べない。一方的に国の意志を沖縄に押し付けようとしている。ここに民主主義の品格はないだろう。
 沖縄県民は心配している。沖縄に米軍基地ができることに心配している。米軍基地があるから攻撃されると心配している。米軍基地がなければ攻撃される可能性は低くなるだろう。生命・財産の安全が保障されなくなるから沖縄県民は米軍基地が沖縄にできることに反対している。中谷防衛大臣が沖縄県民に「もう少し国の安全保障を考えてほしい」と言うのは沖縄県民にとって本土のために犠牲になってくれということに他ならない。第二次大戦でも沖縄は犠牲を強制された。もうこりごりなのだ。
 辺野古への米軍新基地建設の費用はすべて日本国民の税金で作られる。米軍基地で働く軍人の住宅まで日本人の税金で作られる。仮想敵国は米軍基地のあるところをまず攻撃する。沖縄県民にとって自分たちが支払った税金で作られた米軍基地があるため犠牲にされる。こんなバカなことがあるだろうか。
 アメリカ合衆国はなぜ自分たちのお金で辺野古への基地を作ろうとしないのだろうか。本当に沖縄に基地が必要だと考えるのならアメリカ合衆国は自国の税金で基地を作るだろう。日本政府がアメリカ合衆国にお願いしているからなのではないだろうか。沖縄に米軍がいてほしいと日本政府がお願いするのでアメリカもその日本政府のお願いを聞いているのではないか。これがどうも現実なのではないだろうか。
 安倍政権とは日本国民を不安のどん底に落とし込む危険な政権だと言わざるを得ない。