会津坂下のお酒と山形庄内のお酒を楽しむ
侘輔 今日楽しむ酒は福島会津坂下の酒、豊国酒造の「豊久仁・純米大吟醸・雄町」と山形県庄内余目町の鯉川酒造の「純米吟醸・美山錦」のお酒なんだ。
呑助 銘柄「豊久仁」は、何回か、楽しんでいますね。銘柄「鯉川」のお酒も楽しんだ経験があるような気がしますよ。
侘助 そうだよね。「豊久仁」のお酒はしっかり味の乗ったボディーのあるお酒かな。それに対して「鯉川」のお酒は淡麗辛口、繊細、すっきりしたお酒かな。
呑助 今日のお酒は飲み比べが楽しみですね。
侘助 酒造米「雄町」のお酒と酒造米「美山錦」のお酒の違いが分かるといいなぁーと思っているんだけどね。
呑助 なかなかお酒の場合、酒造米の違いによる酒質の違いが分かるようになっちゃ、プロですかね。
侘助 素人にはほとんど分からないのが普通だと思うな。ワインのようにブドウの果汁だけで醸したお酒の場合はブドウの品種によってワインの酒質が大きく違う場合は一般の素人でもわかる場合が
あるかもしれないけど。
呑助 日本酒の場合は米の他に水や造り、酵母などがあるから難しいということなんですかね。
侘助 日本酒の場合は、製造工程が複雑だからね。日本酒は同じ醸造酒だとしてもワインやビール、紹興酒と比べてはるかに製造工程から見るとはるかに高級酒だと言えるように思う。
呑助 日本酒は高級酒なんですか。
侘助 日本酒はワインやビールと比べてみると何が高級と言えるのかと云うと並行複発酵という複雑な発酵経過を経て日本酒になっていく。ビールやワインは単発酵のお酒だから、日本酒と比べると簡単だ。
呑助 並行複発酵とはどのような発酵を言うんですか。
侘助 お米の澱粉が麹によって糖分になっていく過程と糖分が酵母の働きによってお酒になっていく過程が同じ酒樽の中で並行して発酵していく。ここに発酵食品としての日本酒の特徴がある。
呑助 米の澱粉が糖になることと糖がお酒になることが微生物の働きによって同時に進むということなんですか。
侘助 そうなんだ。だから日本酒製造の基本はまず麹造りだ。杜氏さんの腕の見せ所は麹造りにあるようだ。
呑助 日本酒が高級酒だといわれる理由は、手間がかかるお酒だということですか。
侘助 その通り。ワイン造りの過程と比べてみると日本酒は手間がかかる。まずは精米、どのくらい米を削るか。削る時間が途方もなく長い。削りすぎると米は砕けてしまう。砕けた米は酒にはならない。精米にはリスクが伴う。次に洗米だ。強く洗うと精米された米は脆い。次の難しさは精米した米にどのくらい水を吸わせるか、ストップウォッチを用いて秒単位で給水時間を計っている。
呑助 えっ、そんな風にしてお酒を造っているんですか。
侘助 最近は機械化が進んでいると言われているが酒造りには限界があるみたいだよ。最近は洗米機が普及しているがちょっと前までは冷たい水で手洗いしていたからね。