醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   918号  白井一道

2018-11-25 15:37:27 | 随筆・小説






二〇一八年十一月例会 唎酒出品酒   

A、水芭蕉純米吟醸 直汲み 生原酒 720ml 1600円 
  群馬県利根郡川場村    永井酒造株式会社 
  酒造米:兵庫県産米山田錦  精米歩合:60%精米  アルコール度数:17度
  日本酒度:+3 酸度:1.5 
新酒のしぼりたての生原酒のガス感を残したまま直汲み瓶詰にしたお酒です。

B、会津中将 純米吟醸 夢の香 720ml 1500円
  福島県会津若松市  鶴の江酒造株式会社
  酒造米:夢の香  精米歩合:55% 日本酒度:+2 酸度:1.5
   昭和五二年に藩祖保科正之(徳川家光の弟)の官位にちなみ「会津中将」を発表。搾りには昔ながらの槽を使い、伝統的な製法で醸している。

C、別品川鶴 純米吟醸 生熟成原酒  720ml 1450円 
  香川県観音寺大町   川鶴酒造株式会社
  酒造米:国産米 精米歩合:55% アルコール度:17度 
  厳寒期に絞った生原酒を瓶火入れ後、5度Cで貯蔵、熟成。

D、福小町 号外編 特別純米生原酒 無濾過 限定季節商品 720ml 1350円
  秋田県湯沢市田町  木村酒造
  アルコール度:17.5度 酒造米:吟の精 精米歩合:55%  日本酒度:+0.5 酸度:1.3  酵母:協会1801
   お米は、吟の精&めんこいな使用。吟醸用酵母で醸した極上のもろみを圧搾。いっさい炭素濾過していない。酒本来の旨みが生きている。
猪瀬元東京都知事が2020年日本オリンピック招致選考委員らに振る舞った酒が福小町の大吟醸の酒だった。一時、地酒ファンの間で秋田湯沢の福小町が人気を博したことがあった。
E、谷川岳 吟醸しぼりたて 720ml 948円  
  群馬県利根郡川場村    永井酒造株式会社
  新酒しぼりたてのお酒。
 
酒塾のしをり  第三三号。今日は酒句を一つ。
 「酔ひてぐらぐら枯野の道を父帰る」。西東三鬼はこのような句を詠んでいる。きっと三鬼は自分のことを詠んでいる。真っ暗な冬の夜、デコボコの土の道をよろよろと高吟放歌して帰る自分をもう一人の自分が見ている。飲まずにはいられなかった。戦争中言論弾圧された悔しさを忘れることができなかったのかもしれない。
 「熱燗や討入りおりた者同士」。川崎展宏にも挫折の経験があったのだろう。討ち入りなど、バカバカしい。なんで主君のために俺が命を捨てなきゃならないんだ。俺は俺自身のために生きる。人のために生きるなんてこんなバカバカしいことはない。湯煙の向こうには脂ぎった赤ら顔が歪んでいる。
 「盃をうけてかえして余寒かな」。銀座のおでん屋、「卯波」の女将、鈴木真砂女の心には冷たい風が吹いていたのかもしれない。南房総の大きな料理屋の跡継ぎ娘であった真砂女は家を捨て、夫を捨て、恋に生きた。不倫の恋には体の中に冷たい風が吹くことがあったのだろう。
 「升買って分別かわる月見かな」。芭蕉は酒が好きだった。まぁー、今日は、そろそろと思ったがもう少し、月見を楽しもう。酒も買ってきたことだしなと、分別が変わるってこと、酒飲みにはありますなぁー。