醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  922号  白井一道

2018-11-29 13:30:38 | 随筆・小説


 
 11月28日  BS-TBS 報道1930を見る

 米中貿易戦争の背後にある“新冷戦”の正体
 
 APECで明るみになった中国の“孤立”と“逆風”

“米中逆転”は訪れるのか?経済・軍事で激化する覇権争い

「一帯一路」がテロの標的に・・・“アメリカ化”する中国


 このような内容の報道番組を見て感じたことは、中国は国際的に孤立化しているということ。また中国の台頭に周辺諸国は危機感を強めているということであった。更に米中逆転は難しいのではないかという印象を視聴者に与える内容であった。
 番組進行役松原氏が中国のGDPが2020年代後半にはアメリカを追い越すのではないかと言われていると述べていた。この発言を聞き、私は疑問に思った。ネット情報によると「2014年12月8日、OECD(経済協力開発機構)、IMF(国際通貨基金)など各種国際機関の中期予測によると、世界全体のGDP(国内総生産)に占める中国の割合は2014年の13%から24年には20%に拡大、「米国を抜き世界一の経済大国になる」という。米調査会社HISもこのほど、中国のGDPが2024年に、米国を追い越すとの見通しをまとめた。」また「2024年には中国のGDP35兆ドルに対してアメリカのGDP25兆ドル」という情報がある。
 後6年もすると中国のGDPはアメリカを追い越すとOECDもIMF、その他調査会社、アメリカのシンクタンクも中国がアメリカを追い越すと予想している。
 確実に米中逆転が数年後に起きると予想されているのにもかかわらず、報道のTBS
といわれた放送会社を背負った報道番組が誤報しているのではないかという疑問を視聴者に抱かせるとは、どうしたことなのであろう。
 今から数年ほど前、2014に購買力平価でいうならば中国のGDPはアメリカのGDPを追い越しているという話を孫崎享さんが講演で述べているのをyou tube で聞き、驚いたことがある。
 実質的に今、現在中国のGDPは世界一なのだ。アメリカと日本を合わせた自動車の市場より中国の市場は大きいと『中国経済の真相』の著者、田代秀敏氏は述べている。また全世界の超高速新幹線網の長さより中国の新幹線網は長いとも田代氏は述べている。
 2016年10月2日、ワシントン、世界銀行は、世界の貧困と繁栄の共有についての正確な推定値と動向を分析する初の年次報告書「貧困と繁栄の共有」によると、2013年、1日1.90ドル未満で生活する最貧困層の数は約8億人に上った。これは、2012年と比べると約1億人減少した事になる。極度の貧困撲滅は、主に東アジア、特に中国で進んだと述べている。
 「ツキュディデスの罠」に中国が嵌ることはないだろう。もうすでに中国とアメリカの勝負はついているのだ。貧困大陸アメリカにはますます貧しくなっていく人々が群れをなしている。同じように先進資本主義国といわれた日本においても貧困化する多数者と富裕化する少数者がいる。このような社会が経済成長し発展することはない。中国やインド、インドネシアなどのように貧しい人々が少しづつでも確実に豊かになっていく社会でなければ発展はしないであろう。私はこのような見解を持っている。
 元経産省の職員であった細川氏が述べていた。中国の価値観とアメリカを代表とするヨーロッパ、日本の価値観の対立が米中にはあると。自由、民主主義という価値観と国家独裁的な中国の価値観の対立がある以上、米中の対立は長引くだろう。この意見には一面の真実がある。しかし先進資本主義国の自由と民主主義というものが本当に自由と民主主義なのかというとそれは嘘だと私は考えている。先進資本主義国の自由と民主主義こそが国民大衆に対する徹底的な独裁主義だと私は考えている。中国には報道の自由がない。これは事実であろう。では日本には報道の自由があるのだろうか。国境なき記者団は日本の報道の自由度を世界で72位だと報じている。韓国63位。日本は韓国より報道の自由度が低いのだ。
 私は月曜から金曜日まで毎日「報道1930」を視聴している。金平さんに続く松原さんだと思っているのでこの番組発足当初より視聴している。
 私は定年退職者である。だから勝手なことが言える。私のように頑張る松原さんを支援する者が多数いることを知ってほしい。