読売新聞社説を読んで
侘助 「法の支配や民主主義に基づく米国中心の同盟と発展モデルは、中国とロシアから露骨な挑戦を受けている。」1月4日付け読売新聞社説は冒頭このように書いている。この文章を読み、私は読売新聞社説氏は泣いていると感じたな。
呑助 アメリカの覇権が揺らいでいるということですか。
侘助 そうなんだと思う。覇権国アメリカに読売新聞社説氏は追従していると自白している。「法の支配や民主主義に基づく米国中心の同盟と発展モデルは」正しいにもかかわらず中国やロシアは受け入れないどころか、間違っていると挑戦して来ている。嘆かわしいことだとぼやいている。
呑助 昔からアメリカは社会主義の拡大は民主主義の危機だとベトナムに大量の爆弾を落とし、ベトナム人を殺したんでしょ。
侘助 社会主義者は敵だ。敵である以上、殺すことは善であるというのがアメリカの民主主義だ。
呑助 社会主義とは、民主主義を否定しているんですかね。
侘助 資本主義社会の民主主義をさらに充実しようというのが社会主義じゃないのかなと私は考えているんだけどね。
呑助 それじゃ、民主主義と社会主義というものは敵対するものではないということなんですかね。
侘助 社会主義社会になるとアメリカや西欧、日本の現代の民主主義よりさらに豊かな民主主義が実現するのではないかと考えているんだ。
呑助 崩壊したソ連には民主主義はなかったんじゃないですかね。ソ連共産党の独裁政治と言われていますね。
侘助 確かに旧ソ連社会には民主主義はなかったようだ。独裁政治ではあったが帝政ロシア時代に生きた民衆の生活よりはるかに豊かな生活を実現したのではないのかな。
呑助 問題はソ連社会主義は民主主義を育てなかった。ここが問題ですよ。
侘助 そうなんだ。ソ連や中国の社会主義が民主主義とは無縁のものだったから民主主義を標榜する米日欧の指導者たちは社会主義を敵対するものだと嘯いている。言わしてもらえば、資本主義経済社会の民主主義とは、資本家と言われる人々が勤労者や労働者を支配する制度だからね。少数者が多数者を支配する制度が民主主義なんだ。原理的に言うとね。
呑助 なぜソ連や中国では民主主義というものが生れなかったんですかね。
侘助 米ソの軍拡競争がソ連の政治経済を歪めてしまった。そもそも第二次世界大戦における欧米にとっての最大の敵はソ連だった。当面の敵、ファシズム態勢をとるドイツ、イタリア、日本を打倒するためにアメリカ、イギリス、フランスはソ連と協力した。ドイツ・ヒトラーとソ連を戦わせ、ヒトラーのドイツ軍がソ連を打倒した後、英仏と米国は協力し、ドイツ軍を打倒する作戦だったが、ソ連軍がドイツ・ヒトラー軍を撃破してしまった。そのため第二次世界大戦後すぐ米ソ冷戦が始まった。
呑助 米ソ冷戦とは第二次世界大戦の延長戦だったということですか。
侘助 私はそのように見ている。欧米諸国との戦争に備えたソ連の政治体制には民主主義はなかった。