広島の酒 旭鳳・純米しぼりたて生原酒を楽しむ
侘輔 今日楽しむ酒は広島の酒、「旭鳳・しぼりたて生原酒」だ。昨年12月にヤブタで絞ったばかりのお酒だ。
呑助 まさに新酒ですね。新酒のフレッシュさを今日は楽しむということですね。
侘助 今までも何回か、楽しんだ経験があるのではないかと思う。覚えている人はいるかな。
呑助 薄っすらとありますね。一部の地酒ファンの間で人気のあった土井享杜氏がいた蔵が旭鳳だったような記憶がありますよ。
侘助 そうそう、土井杜氏さんが醸したお酒が旭鳳だった。
呑助 今も土井杜氏さんがお酒を醸しているんですかね。
侘助 どのような事情があったのか分からないが、現在は土井杜氏ではなく、蔵を継いだ息子さんの洋平さんが中心になってお酒を醸しているようだ。
呑助 土井杜氏さんのお酒はどっしりした広島のお酒という感じがするお酒だったような記憶がありますね。
侘助 そうだよね。広島のお酒というと日本有数の酒処の酒だからね。通好みの酒なんじゃないかな。
呑助 今日楽しむお酒は生酒なですよね。
侘助 何といっても搾りたての新酒だからね。一度も火入れの作業をしていないお酒だと思う。
呑助 新酒のフレッシュさが味わえるということですね。
侘助 新酒には新酒の楽しみがあるよね。今日の酒は原酒だから、一切水で薄めていない酒だからね。搾りたての味わいが楽しめると思うよ。
呑助 精米歩合はどのくらいなんですか。
侘助 ラベルに書いていないので分からないが酒販店坂長さんに聞いてみたら、70%ぐらいじゃないかと言っていた。
呑助 精米歩合が70%だともしかすると少し雑味があるかもしれませんね。
侘助 そうかもしれないな。やはりお酒は綺麗なお酒が美味しいよね。
呑助 日本の食文化の味の特徴はゴテゴテした味ではなく、シンプルな味のように思いますね。
侘助 日本酒本来の味が出ているお酒が美味しい。お米の透明な部分にはたんぱく質や脂肪分がある。それらがお酒の味の特徴を創り出す。お酒になる部分は中心部にある心白の澱粉だ。だからたんぱく質や脂肪分を削り取った方が日本酒本来の味を創り出す。精米歩合が高ければ高いほど美味しいお酒ができる。
呑助 それで精米歩合がお酒の良し悪しの基準になっているんですね。
侘助 少し専門的になるが、もう一つラベルに書いていないものがある。それが粕歩合だ。
呑助 粕歩合とは、何ですか。
侘助 酒粕がどのくらいかと、言うことなんだ。大吟醸のお酒の酒粕と本醸造酒の酒粕じゃ、大きな違いがあるでしょ。
呑助 私も一度大吟醸の酒粕を貰ったことがあるんですよ。お粥のような酒粕でしたよ。普通のお店で売っているカチンカチンな酒粕じゃなかったですね。
侘助 醪をきつく絞った酒粕が普通のものだ。それに対して袋吊り搾りの酒粕の場合はお粥のような酒粕になる。この粕歩合は杜氏の腕がなる部分だから、秘密なんだ。