醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1085号   白井一道

2019-06-05 12:20:06 | 随筆・小説



   資本主義経済制度の命はまだまだ続くのか


【ベルリン=石川潤】欧州議会選挙で躍進したドイツの環境政党「緑の党」が1日公表の世論調査で初めて支持率トップになった。メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、国政第2党のドイツ社会民主党(SPD)は支持率を落とし、退潮に歯止めがかからなくなっている。二大政党を与党とするメルケル政権の先行き不透明感もにわかに強まってきた。

 ドイツで緑の党がドイツ国民の支持を得たことの意味を考えてみたい。資本主義という経済制度は様々な弊害を生む。最大の問題は貧困を撲滅することができない。資本主義経済が最も発達したアメリカ合衆国にあっても貧困をなくすことはできていない。さらに資本主義経済が恐慌状態になるとナチスのようなおぞましい独裁政治体制を創り出す。資本主義経済は絶えず独裁政治体制を創り出す動きが止むことがない。民主政治が絶えず資本主義経済をコントロールし続ける必要がある。政治が経済をコントロールする態勢が必要なのだ。それにもかかわらず「企業が最も活躍できる国づくり」をすると公言して憚らない政治家がいる。政治の使命を認識しない者の発言である。この発言は資本主義の危機を創り出すことを認識しない危険な発言である。資本主義経済は絶えず民主政治を破壊する動きを止めることはない。今までドイツにあってはドイツ社会民主党が民主主義政治体制を守ってきた。がしかしその役割がドイツ社会民主党から緑の党に変わったということなのであろう。ドイツの勤労者の政治的要求を実現するのはドイツ社会民主党ではなく、緑の党になったということを意味していると私は理解した。ドイツの勤労者の第一義的な政治的な要求が環境問題になったということを意味している。資本主義経済は絶えず地球環境、自然環境を悪化させる動きを止めることはない。だから政治的な力によって経済の在り方をコントロールする必要があるという認識がドイツ国民のものになったということを意味している。