「基地が他国を傷つける」石川氏訴え 沖縄タイムス社 - 沖縄タイムス - 2019年6月9日
「約11カ月かけ、日本列島約3500キロを踏破した石川文洋さん(81)。沖縄では、新基地建設が進む名護市辺野古や米軍のヘリパッドがある東村高江を訪れた。ベトナム戦争の最前線を取材した経験から「戦争を起こすのは、民間人ではなく政治家だ」と語り、「辺野古や高江で訓練する軍隊や軍用機が他国の人たちを傷つける。沖縄が加害者になってはいけない」と訴えた。
「のんきな性格」だからか、旅のつらい思い出はなく、楽しいことばかりだったという石川さん。毎夜、生ビールを飲んで寝るのが「元気のもと」だった。
東日本大震災の被災地や山口県の岩国基地など、各地のさまざまな風景を写真に収めた。「写真家は何かが心に触れる時、写真を撮る。それが1日に100回以上あったのはうれしかった」と顔をほころばせた。
心筋梗塞による一部心筋壊死(えし)で身体障害者手帳を受けた。旅を通して「そんな自分でも歩き通せる。誰にでもできる」とのメッセージを伝えたかったと語る。
母方の祖父の名前が刻まれている平和の礎(糸満市摩文仁)も訪ねた。「礎に刻まれた人々は、残された人生を戦争で奪われた。非常に残念に思う」。ベトナムの戦場では、沖縄の基地から飛び立った爆撃機が大量の爆弾を投下し、多くの人々が犠牲になった。今でも「沖縄人として非常につらい」と心を痛めている。
「基地のない沖縄を」と書かれたTシャツを着て沖縄を歩いたのは、自身の経験から辺野古や高江の基地に反対しているから。
「いろんな問題があるけど、日本はいい国です」。そう思えるのは「戦争がなく、普通の生活ができるから」であり、平和の尊さを重ねて強調した。」
幸せであるということは、普通の生活ができるということ。平和であるということは、普通の生活が持続しているということ。ベトナム戦争、戦場カメラマンであった石川文洋さんが今も元気にしていることを知り、私は元気付けられた。