アメリカの対中外交政策は失敗
侘助 アメリカの対中外交政策をエンゲイジメント政策と言うようだ。
呑助 日本語にするとどんな言葉なのでしようかね。
侘助 関与政策と言っているようだが、エンゲイジメントという言葉には「関わり合いを持つ」と言う意味はないようだ。
呑助 エンゲイジという言葉の意味はどのような意味なのでしようかね。
侘助 辞書を引くと「従事する、携わる」と言うような言葉になっている。この言葉の本意は「拘束する」と言う事にあるようだ。
呑助 中国政府の政策をアメリカ政府が「拘束する」ということにあったのだと思いますよ。
侘助 アメリカ政府はエンゲイジ政策によって中国政府を民主化しようとしたと言っている。しかし中国政府は民主化するどころか、専制を強化していると言っている。
呑助 アメリカには自由がある。アメリカには民主主義があると言われていますよね。
侘助 大統領も国民の選挙によって選ばれる。この選挙が民主主義を体現しているということのようだ。中国の国家主席は国民の選挙によっては選ばれていないからね。
呑助 共産党の独裁国家だと言っているということですか。
侘助 中国共産党の北京政府は香港の民主主義を破壊しようとしているとアメリカ政府は批判している。
呑助 アメリカ政府はエンゲイジ政策として中国政府をWTO(世界貿易機関)に加盟させてあげ、世界の仲間に入れてあげれば中国政府は民主化し、自由諸国のようになると考えていたのでしよう。それが外れたということなのでしよう。
侘助 その通りだと思うな。アメリカ政府も日本の自民党政府も自分たち自身が正義であると思い上がっているからね。アメリカ政府の権力を行使する白人の警察官が白昼堂々と2020年5月25日、偽ドル札の使用容疑により手錠をかけた黒人のフロイドさんが、呼吸ができない、助けてくれ、と懇願していたにも関わらず、8分46秒間フロイドの頸部を膝で強く押さえつけ、フロイドを死亡させたという事件がミネソタ州ミネアポリスのダウンタウンで起きた。黒人差別を廃止する公民権法が1964年に成立して半世紀以上になるのに未だにアメリカにあっては黒人差別が横行している。このような国が本当に民主主義と自由のある国なのであろうか。
呑助 アメリカも中国もどっちもどっちだということでしようか。
侘助 中国の経済力が急速に強大化してきているのにアメリカ政府は危機感を抱いているのではないかと思う。世界銀行が発表した2011年における購買力平価を基準にすると、中国は2014年に米国を抜いて世界1位になる見通しだと言われてもう六年にもなる。2019年度、中国の購買力平価でGDPを比べてみると世界一は中国で25兆ドル、アメリカが二位で20兆ドルのようだ。
呑助 経済力でアメリカは中国に負けているということですか。驚きました。
侘助 アメリカのトランプ大統領がアメリカ・ファーストと言っている。この事はアメリカが世界の覇権国ではなくなったと自ら言っているようなものだと思う。
呑助 どこの国の国民にしても自分の国の政府は世界で一番自国の国民を大事にしてくれるのが自分の国の政府だと思いますよね。自国の国民よりアメリカ政府を大事にするような政府は売国的な政府ということになりますね。
侘助 全くその通りだと思うな。アメリカ政府がエンゲイジメント政策は失敗したと考え、これからは中国を敵視する政策をしていくようだが、これも間違いなく失敗するのではないかと思う。エンゲイジメント政策を「関与」政策と訳されているが、むしろ「取り込み」政策というか、「拘束」政策と言うようなものだった。中国を「取り込め」る。中国政府の政策を「拘束」できると考える事が思い上がっている。もともとアメリカ政府は中国の国内体制を認めていない点では冷戦期の対ソ封じ込め政策と同じなわけだから、確実にアメリカ政府の政策は失敗すると思う。少なくとも中国の国内体制を認め、受け入れる包容力のようなものがなければ、成功するはずがない。
呑助 そうなんでしようね。人間関係においても相手の人格を認め合う事があって初めて友好関係が築いて行けるわけですよね。