スペイン風邪から新型コロナウイルスへ
侘助 ノミちゃん、スペイン風邪の発祥地はどこか、知っているかい。
呑助 そりゃ、もちろんスペインじゃないのですか。
侘助 誰でもそう思うよね。しかし発祥地はアメリカのカンザス州のアメリカ陸軍ファンストン基地で、アルバート・ギッチェル という名の兵士が1918年3月、発熱、頭痛、喉の痛みを報告した。これが記録された最初のスペインかぜの症例とされている。
呑助 米陸軍基地がスペイン風邪の発祥地なのですね。発祥地はアメリカなのになぜスペイン風邪と命名されたのでしょうかね。
侘助 1918年というと世界的な出来事のあった年でしょ。その出来事というのは何か、分かるかな。
呑助 もちろん、知っていますよ。第一次世界大戦が終わった年ですよね。
侘助 そのとおりだ。第一次世界大戦は1914年7月28日から1918年11月11日に終わった戦争だった。スペイン風邪の発祥は1918年の3月だから、まだ戦争は終わっていなかった。スペインは第一次世界大戦時に中立国であったため情報統制がされていなかったため、スペインでの流行が大きく報じられ、1918年のパンデミックとも言われるようになった。
呑助 アメリカ政府が第一次世界大戦に参戦するのはイギリスやフランス、ロシアより遅かったのではないですか。
侘助 詳しいね。そり通りだ。アメリカの外交政策に大きな影響を与えていた原則に孤立主義外交がある。それがモンロー主義だ。1823年に出されたものだ。それは以下のようなものだった。一つ、ヨーロッパ諸国の紛争に干渉しない。二つ、南北アメリカに現存する植民地や属領を承認し、干渉しない。三つ、南北アメリカの植民地化を、これ以上望まない。四つ、現在、独立に向けた動きがある旧スペイン領に対して干渉することは、アメリカの平和に対する脅威とみなす。このようなものだった。だからアメリカ政府は第一次世界大戦に中立の立場をとっていた。アメリカは開戦時に約30億ドルの債務があったが、1915年のうちに全て返済できた。アメリカは戦争中に債務国から債権国になり、イギリスやフランスの債権を大量に保有するようになった。もしもイギリスやフランスが負けると、大量の貸付が焦げ付くことになり、資金の回収が困難になる。第一次世界大戦では、ドイツに勝ってもらうよりは、イギリスやフランスに勝ってもらう方がアメリカには都合が良かった。更にドイツが無制限潜水艦作戦を取るようになるとアメリカの商船が被害を受けるようになった。その結果、アメリカは1917年4月6日、ドイツに宣戦を布告する。それから一年後、スペイン風邪がアメリカで発症し、アメリカの軍隊がヨーロッパに派遣されたことでスペイン風邪は全世界的な大流行、パンデミックになった。
呑助 感染症を蔓延させる米軍のヨーロッパ戦線の派遣がなかったなら、スペイン風邪のパンデミックは起きなかったのかもしれませんね。
侘助 歴史に「もし」はないけれども、第一次世界大戦という未曽有の戦争が起きなかったらスペイン風邪のパンデミックはなかったかもしれないな。
呑助 スペイン風邪は戦争が世界的大流行を引き起こしましたが、現在の新型コロナウイルスの世界的大流行を引き起こしているものは何になりますか。
侘助 それは何と言っても、経済のグローバリズムと言うものじゃないのかなと思っている。
呑助 多国籍企業か世界中で動き回っているからコロナウイルスの一緒に世界中にまき散らされたということですか。
侘助 スペイン風邪がアメリカ起源だとすると新型コロナウイルスは中国が発祥地のようだ。アメリカの工業が急激に発展し、自然破壊に進み、鳥インフルエンザ由来のウイルスが人間に住みついた。中国経済が急成長し、自然破壊が進み、今まで人間に住みつくことがなかったウイルスが人間に感染したのかもね。