醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1506号   白井一道

2020-08-31 15:17:22 | 随筆・小説



   安倍政権は何をしたか 2

 
 「法の支配から人の支配へ」

 「Choose Life Project」の動画、「7年8カ月、安倍政権とは何だったのか」。この動画の中で弁護士の亀石倫子さんは「法の支配」ではなく「人の支配」する政治を行ったと発言していた。弁護士さんは物事の本質を言い当てている。その通りだと思った。「人の支配」を打倒し、「法の支配」を打ち立てた出来事がフランス革命だった。神から授けられた王権は絶対的なものだというのが絶対王朝ブルボン朝の政治体制だった。この独裁政治体制を倒し、「人の支配」から「法の支配」を実現すべく、創り出されたものが憲法だった。憲法に則って行われる政治体制が民主政治というものだった。
 民主政治を破壊し、独裁政治を行ったのが安倍政治だった。このよう私は理解した。独裁政治とは政治を私物化することである。安倍政治は政治を私物化した。私物化された政治が独裁政治だ。安倍政権は政治を私物化しているのでその政治は独裁政治である。そのような独裁政治を可能としたものが長期政権だった。戦後政治において、政権が独裁化すると国民からの厳しい反撃に合い、政権は倒れた。多数者の支持を得て、政権を持った者は絶えず政治を独裁化する可能性があるので、その可能性を事前に取り除くのが民主政治というものだ。安倍一強と言われていた。ただマスコミがそう言っただけだ。それほど安倍政権が国民大衆から絶大な支持を得ていたというわけではない。ただ選挙に負けなかっただけである。民主党政権時の自民党の支持率を維持していただけである。野党の支持率が自民党の支持率を上回ることがなかっただけである。
 小選挙区制度の上に胡坐をかいて、低支持率の上に好きな事をしたのが安倍政治だった。このような政治が国民から見放されることは間違いない。野党の協力態勢が整い、自民党の政治ではない、もう一つの選択肢として野党の政治を国民が望むようになるなら、自民党は政権を失うことになるだろう。
 自民党の政治基盤を支えていた人々は社会党を支えていた政治基盤を破壊することによって、民主政治を破壊する安倍政治を創りあげた。55年政治体制を崩壊させ、その成果としての自民党一党独裁体制としての安倍政治は「風をだに待つ程もなき徒花は枝にかかれる春の淡雪」として消えていった。