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2023年9月19日(火)
登山道から焼岳を望む
前回のエントリーの通り、駐車のことなどを考慮して上高地に前泊してからの焼岳登山。 宿泊できたのはバスターミナルから焼岳とは反対方向にある明神館。 プラス1時間弱の平地歩きが加わるが、上高地散策もできたし、上高地内で一夜を過ごすことができたのも良い経験だった。
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5:10
日の出は 5:30過ぎだったが、5:10ごろから空が白んでくることは前日確認済みだった。
4時ごろに起床し、電気がついていた談話室でザックを整え、作っていただいた朝ご飯を頂き出発。
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途中明神岳の展望の良い所から。
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5:24
東の空が紅くなってきた。
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5:54
河童橋到着。 焼岳は雲に飲まれそう。
この後 6:00から開始される「手荷物預かり所」に寄って宿泊の荷物を預けた。
荷物の大きさによって料金が変わるが、300円だった。
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昨日下見をした通り田代橋を通過し、焼岳登山口に向かう。
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焼岳登山口到着。(6:43)
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最初は樹林帯だがすぐに岩も見え始める。
急登と平坦を繰り返しながら徐々に標高を上げる。
途中背後からドドッドドッと音がして、何かと振り返る間もなく私のスネ辺りにフワッと毛を感じたと思ったら、
目の前に毛並みの良い大きなサルが悠然と歩いていた。
いやぁ~、何もされなくて良かった。 クマじゃなくて良かった。
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7:58
薙ぎの脇に出た。 峠沢と呼ぶ様だ。
麓から見ても大きな薙ぎに見えたが、近くで見るとその大きさ、深さに驚く。
しばらくこの峠沢沿いに上ってゆくが、この先は斜度も登山道も厳しくなってゆく。
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急な斜面の脇にはたくさんのゴマナ?が咲いていた。
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ハシゴも登場。
すごい垂直で怖そうなハシゴの写真も見たが、ここも結構垂直。
この後もう一段ある。
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さらに進むと右の方に断崖絶壁が見えてきた。
左のピークよりさらに奥が山頂だと思うが、右の断崖を登らないことにはきっと進めない。
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麓の方には大正池辺りと、正面に霞沢岳。
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断崖絶壁の下まで来ると、あぁ、これがそのハシゴだ!
かなり長い、高い、途中ハシゴのステップが折れ、鉄の棒が通してある場所もある。
折れませんように~。
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ハシゴを上りきると今度は上りにくい岩がいくつか続く。
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ダイモンジソウ
その後岩場の先に笹原を上り、「焼岳小屋はまだかなぁ~、見えないなぁ~。」と思ったら、
焼岳小屋は上った先、少し下った所にあったので見えなかった。
いや、地図を見ればその通りなのだ。
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焼岳小屋 新中尾峠 (9:06)
ここは長野県を越え岐阜県に入っている。
この先は焼岳山頂まで県境を行ったり来たり登ってゆく。
この先も険しそうなので、ベンチに座りおやつを食べながらゆっくり休憩した。
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ツルリンドウ 実
休憩後、まずは中尾峠に向けて出発。
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焼岳小屋の正面から登り始め、手前のピークを越してゆく。
少し冷たい風が出てきた。
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ピーク頂上付近。
この下の鞍部が中尾峠。
何やら暖かい風が吹いてくる。
北の谷底に建物も見えたので(奥飛騨温泉・新穂高温泉あたり?)下界の暖かい風が吹き上げて来るのか?、
と思ったら、どうやらここも既に火山活動が盛んな地域らしい。
こんなに草が生えているので安心していたが、地面を触ると温かい。
雲かと思っていたものは地熱の蒸気だ。
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そんな所にイワヒバリ?
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いったん下り、また上る。
雲に隠れた辺り、まだまだ登りが続きそう。
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マイヅルソウ 実
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火山活動で地面や岩が温かいのだが、コキンレイカ(花後)やコケなどがたくさん生えている。
特にこのコケがあちこち岩一面に生えている。
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鞍部。 大きな岩。 いかにも溶岩と言う感じ。
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少し上って振り返る。
先ほどの火山のピークと右裾野には上高地と梓川。
天気が良ければ火山のピークの左には槍ヶ岳が見えたかな。
右奥、ピークが雲に隠れた明神岳の奥には蝶ヶ岳なども見えたらしい。
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ヤマハハコとシラタマノキ(実)
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鞍部からしばらく歩くといきなり岩だらけ。
しかもあちこちから硫黄のにおいがする水蒸気が立ちのぼっている。
丸印をよく探してルートをたどらないと危険地帯に入ってゆきそう。
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斜度もきつくなかなかに神経を使う。
このような斜面を上り、グルッと回り込むように向こう側に行く。
周り込んだらすぐに山頂かと思ったら。。。
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最後にこれを登る。
下から見ていて「あの岩に登るのはイヤだなぁ。。。」と思っていた所。
けれど登り始めたら本当にあと一息、だった。
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山頂と~ちゃく! (11:11)
けれど既に周囲は真っ白。 ほんの少し雲が流れ、わずかながら正賀池を望めた。
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記念撮影。 撮っていただいた。
山頂からの大展望はかけらもないが、ここまで来れたことに満足。
火山活動が活発なのを見て、山頂に長居はすまいと思ったが、少しは腰を下ろして休もう、
と思った所にポツポツと雨が落ちてきた。
あ~、早く下れと言われているみたい。
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山頂直下の斜面。 キケンがいっぱい。
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シラタマノキの実
中尾峠近くの火山ピークにはたくさんの植物。
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このコケが岩をビッシリ覆っている。
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ところどころこのような穴が開いており、手を近づけると熱い蒸気(ガス?)が上がってくる。
この後焼岳小屋でお昼ご飯を食べた。
今から思えばもう少しゆっくり食べることもできたが、
どうもバスの時間が気になり、コーヒーも入れずにパンを食べた。
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ゴゼンタチバナ 実
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ヤマハハコ
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岸壁の階段は上から見るとかなり怖い。
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予報通り午後になって晴れてきた。
バスターミナルに早く到着出来たらコーヒーやソフトクリームを買って食べよう、
とそれだけを楽しみにせっせと下った。
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足元でガサッと! 驚かせないでくれぇ~!(^^;)
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フクオウソウ
上高地バスターミナルには 15:05頃到着。 歩いている時は少し遅れ気味だったが、到着は計画より少し早めだった。 預けていた荷物を受け取りザックに詰め、一応バスの発車時間を確認すると係の人が「早めに出発する可能性あり」とのことだった。 既に何人か並び始めていたので、私もそのまま列に並んだ。 コーヒーもソフトクリームも沢渡でいいや、と思ったが沢渡につくとすぐに温泉に行きさっぱりして帰路についた。
この日の歩行距離は 16.0km、上り 1,121m だった。 それ程たくさん上ったわけではないが、脚はかなり疲れていた。 前日にも 11km 歩いたしなぁ。 明神で一泊し焼岳に登ったことは良い経験だったし、達成感もあり満足だった。 が、また花の時期に、展望の良い時に、来てみたいという気持ちも産まれた。