天皇は20日、85歳の誕生日を前に記者会見をしました。 全文は各紙が報道しています。 この会見で、私が特に注目させられた発言は、天皇の平和への思いでした。 私は今年75歳になりなしたが、私の生家でも、父の2人の兄弟が戦死、叔父はフィリピンで戦死し、今も遺骨は還っていません。 父もラバウルの激戦地に派遣され奇跡的に帰国できたことを生前語っていました。 残された家族がどんな生活を余儀なくされたか、体験した一人でもあります。
天皇は、第2次世界大戦について、「多くの人命が失われ、我が国の戦後の平和と繁栄が多くの犠牲と国民のたゆまない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人びとにも正しく伝えていくことが大切」とのべました。
そして、沖縄について、次のようにのべました。
「先の大戦を含め、実に長い苦難の歴史をたどってきました」「沖縄の人びとが耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません」
こうした、天皇の平和に関する発言には、「国民」が明確に表現されている一方、 「政府」という表現はありません。
憲法は天皇について、「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」(第1条)
また、 「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」(第4条)と明記しています。
こうした、立場を在位30年の体験、探究を踏まえて、発言していることは十分うかがえます。 そして、この発言全体が、憲法前文と響き合うものとなっているように感じています。
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