新宿鮫シリーズの第11弾が久々に出た。といっても、単行本化されたのが2019年11月。「小説宝石」の2018年4月号~2019年10月号に連載された後、加筆修正し出版されたのではや1年が経過した。第10弾『絆回廊』が2011年6月に単行本化だったので、久々にシリーズの続きが出たと言える。この作品、本文が707ページという長編である。これだけのボリュームがあるとさすがに読み応えがある。だが一気読みをしてしまった。
浦田という密売人が新宿鮫こと鮫島刑事にしゃぶの小分けについて密告してきた。栄勇会を破門になった阿曽が北新宿4丁目にあるKSJマンションの3階・302号室を使い、1週間か10日に一度はそこで小分けをしているというのだ。
鮫島は現地を下調べして、向かいのメゾンクレストに監視拠点として適切な部屋を確保し、上司に報告の上で許可を得た。鑑識の薮に協力を依頼し、監視カメラの設置を行った。鮫島が監視拠点の準備を進めているとき、新宿署の生安に本庁警務部管理官から新しい課長として、女性ノンキャリアのいわば星と目される阿坂景子という人が異動してくるということを鮫島は署長から知らされた。この人選には上層部の強い意思が働いていて、新宿署の署長・副署長は、この新課長のやり方には口を出せないという関係になっている。鮫島の捜査行動が今後大きく制約されることになっていくのかどうか・・・。冒頭から今までに無い状況の変化が組み込まれて行く。このシリーズを読み継いできた読者にとっては、もうこの時点で興味津々となるところである。
KSJマンションは簡易宿所、つまり民泊に改装されていた。それも「新宿区ルール」を無視したヤミ民泊で営業されていることがわかる。
監視カメラの設置が終わった翌日、鮫島は阿坂新課長に署長室で引き合わされる。阿坂は鮫島に自分の方針は「基本を守る。ルールを曲げない」ことだと宣言する。鮫島は早速しゃぶの小分けという通報に対して、監視カメラを使いひとりで実態を内偵中ということを告げる。それに対する阿坂課長の反応は、ひとりでは限界があることと基本からも外れているというものだった。つまり、単独捜査は警視庁の基本ではないというスタンスの表明である。新宿署並びに生安課の組織状況がどうなっていくのか。冒頭から読者にはおもしろさが加わる。鮫島から新課長との引き合わせの状況を聞き「厄介だな」というのが薮の最初の反応だった。
設置しておいたカメラが捕らえた夜間の映像をチェックするために、鮫島と薮は監視部屋に出かけた。夜間の映像から薮は奇妙な現象に気づく。「402」号室でサプレッサーをつけた銃が使われ、銃口から噴き出す火が映っていたのだ。誰かが撃たれて死体が転がっているはずだと薮が判断した。
この事件発生で、様相が一変する。密告案件は即座に飛んでしまう。現場から銃は発見されず、検視の結果、殺人の可能性が高まり、警視庁捜査一課の担当となり初動捜査が始まる。第一発見者の鮫島と薮は事情聴取を受ける立場になった。
鮫島はほしはプロだと判断する。鮫島が得た密告情報との絡みで、マル害が潜入中の麻薬取締官だという可能性が当初懸念されたがそうではなかった。
この事件を担当する津田管理官の要請を受け、鮫島はマル害の身元が特定するまではこの事件に協力することになる。
被害者の国籍も当初はわからなかった。しばらくは帳場を立てずに捜査を進めることになる。
鮫島は、KSJマンションの所有者が誰かという点としゃぶの小分けという密告内容の観点から情報収集と捜査を進めていく。マンションの所有者は呉竹宏という名義のままだとわかる。鮫島の持つ情報ルートから呉竹が麻雀に嵌まり、イカサマ麻雀にかかり大きな借金をかかえていたことがわかってくる。そして、遠藤、権現、田島組という名前が浮かび上がる。さらに、今は警察を辞めたが、遠藤とずぶずぶの仲だったという石森という元刑事の名も出てくる。鮫島は事件になんらかの繋がりをみせるかもしれない糸口を掴んだ。
鑑識の薮が鮫島に情報をもたらす。大塚の監察医務院に居る知り合いからの情報だという。マル害の確認に4人が現れ、その内の一人が外事二課の身分証を見せ、4人の中にかつて組対の理事官だった男がいたのだと言う。その理事官とは、鮫島と同期であり、警視庁を退職し内閣情報調査室の下部機関である「東亜通商研究会」に籍を移した香田だった。
殺人事件の捜査は大きく事態が急転換していく。併せて、鮫島の身辺でも大きく状況が変化する。その結果、どういう展開をみせていくのか。そこから読ませどころが絡み合っていくことになる。
ストーリーの転換局面をいくつか抽出してご紹介しよう。
1. 着任した阿坂課長は、己の信念・方針として、鮫島に相棒の刑事を付ける。それも新たに異動してきた矢崎隆男巡査部長である。市谷の機動隊、特科車両隊からの異動だと本人は鮫島に語った。
鮫島は相棒を持つことに悩む。鮫島と組まされることで矢崎の警察官人生の将来がなくなることにならないかという懸念である。阿坂課長の信念ではそんなことは警視庁の組織規律ではありえないと考えるだけ。しかし、鮫島はできる限り、矢崎に悪い影響が及ばない形で相棒として受け入れ捜査活動をしようとする。
矢崎は鮫島と組み、鮫島の指示を得ると薮も彼の優秀さを認めるほどにその捜査力を発揮し出す。また、矢崎は己の考えを鮫島に伝えていく。その結果一面では鮫島もよき相棒を得た実感を抱き始める。
矢崎が鮫島の指示で、ある人物を追跡している時に背後から襲われ頭部に怪我をし入院する事態に発展する。その時矢崎について意外な事実が明らかになる。その事実は阿坂課長の信念にも関連が出てくるものだった。
2.鮫島は自分の情報源を介して独自に捜査を進めた結果、マル害の名前だけは突き止めることができた。「華恵新」という名前で宿泊していた。
だが、捜査本部は立たなかった。刑事部長と公安部長の間の話し合いで、捜査一課は引きあげとなり、事件そのものを公安部が吸い上げ、公安部の所管となったのだ。つまり、殺人事件に鮫島が協力するという形での捜査がここで破綻する。
鮫島はどうするか。
一方で、阿坂課長は己の信念・方針を前提にして、今後どのように対応していくのか。
3.鮫島はマル害の名前を権現から聞き出した。マンションをヤミ民泊にして運営していたのは権現と呼ばれる男だった。彼はヤクザの世界から足を洗い、カタギになっていた。石森が鮫島に緊急の連絡を入れてきた。権現との連絡がとれなくなったという。権現の行方不明が重要な焦点になっていく。権現は何らかの関係で殺人事件と連環する事態の中に居ることになる。鮫島は権現の行方を捜査し始める。
一方、田川組の浜川が直接、鮫島に携帯電話でコンタクトを取ってくる。権現の行方の捜査に関連して、会って話をしたいという。浜川の真意は何か。
鮫島と浜川の間で権現の救出について相互関係が始まっていく。
4.公安部が「華恵新」を確認した後、この殺人事件を吸い上げてしまった。鮫島は華恵新がどういう仕事をしていた人間かを捜査により追究していく。華恵新の役割がほぼ確定的に推論できはじめると、この殺人事件が大きく様相を変貌させていく。そこには政治的に極秘の事情が絡んでいたことが明らかになってくる。
なぜ、香田が大塚に外事二課とともに現れたのか。鮫島が捜査の一環としてある男を追跡捜査している途中で、香田とばったり出くわすことになった。その背景が見え始める。
5.日本で鮫島の手から逃れタイのバンコクでビジネスをする陸永昌は中国大連の自宅の固定電話を介して、東京からのメッセージを受信した。「こちらは東京です。花屋さんが入院してしまい、連絡がとれなくなり、困っています」という。日本の警察官であることはまちがいがない。
永昌は事実を確かめるために東京に密かに戻り、独自に華恵新の死について調査を始める。東京からのメッセージに対応することで、己に被害が及び窮地に立つことにならないかどうか慎重に確かめる為である。一方で、己にとっての商機を狙うという行動に出ていく。
鮫島と永昌がどこで対峙する展開になるのか。このシリーズの愛読者にとってはある意味で関心の深まるところである。
現代の日本が見せる様々な社会的事象を取り入れ、それを隣国との政治経済的諸問題と組み合わせるという構想が、このストーリーにリアルな時事的様相を巧みに現出している。読み応えがあり、一方で興味を引きつけ一気に読ませる内容になっている。
阿坂新課長と矢崎の登場がおもしろさを加える一因であるが、一方鑑識の薮が要の各所で大いに活躍するところがおもしろい。
新宿鮫の次の事件捜査ストーリーを期待したい。
ご一読ありがとうございます。
徒然にこの作家の作品を読み継いできました。ここで印象記を書き始めた以降の作品は次の通りです。こちらもお読みいただけると、うれしいかぎりです。
『帰去来』 朝日新聞出版
『漂砂の塔 THE ISLE OF PLACER』 集英社
『欧亞純白 ユーラシアホワイト』 大沢在昌 集英社文庫
『鮫言』 集英社
『爆身』 徳間書店
『極悪専用』 徳間書店
『夜明けまで眠らない』 双葉社
『十字架の王女 特殊捜査班カルテット3』 角川文庫
『ブラックチェンバー』 角川文庫
『カルテット4 解放者(リベレイター)』 角川書店
『カルテット3 指揮官』 角川書店
『生贄のマチ 特殊捜査班カルテット』 角川文庫
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 光文社文庫
『海と月の迷路』 毎日新聞社
『獣眼』 徳間書店
『雨の狩人』 幻冬舎
浦田という密売人が新宿鮫こと鮫島刑事にしゃぶの小分けについて密告してきた。栄勇会を破門になった阿曽が北新宿4丁目にあるKSJマンションの3階・302号室を使い、1週間か10日に一度はそこで小分けをしているというのだ。
鮫島は現地を下調べして、向かいのメゾンクレストに監視拠点として適切な部屋を確保し、上司に報告の上で許可を得た。鑑識の薮に協力を依頼し、監視カメラの設置を行った。鮫島が監視拠点の準備を進めているとき、新宿署の生安に本庁警務部管理官から新しい課長として、女性ノンキャリアのいわば星と目される阿坂景子という人が異動してくるということを鮫島は署長から知らされた。この人選には上層部の強い意思が働いていて、新宿署の署長・副署長は、この新課長のやり方には口を出せないという関係になっている。鮫島の捜査行動が今後大きく制約されることになっていくのかどうか・・・。冒頭から今までに無い状況の変化が組み込まれて行く。このシリーズを読み継いできた読者にとっては、もうこの時点で興味津々となるところである。
KSJマンションは簡易宿所、つまり民泊に改装されていた。それも「新宿区ルール」を無視したヤミ民泊で営業されていることがわかる。
監視カメラの設置が終わった翌日、鮫島は阿坂新課長に署長室で引き合わされる。阿坂は鮫島に自分の方針は「基本を守る。ルールを曲げない」ことだと宣言する。鮫島は早速しゃぶの小分けという通報に対して、監視カメラを使いひとりで実態を内偵中ということを告げる。それに対する阿坂課長の反応は、ひとりでは限界があることと基本からも外れているというものだった。つまり、単独捜査は警視庁の基本ではないというスタンスの表明である。新宿署並びに生安課の組織状況がどうなっていくのか。冒頭から読者にはおもしろさが加わる。鮫島から新課長との引き合わせの状況を聞き「厄介だな」というのが薮の最初の反応だった。
設置しておいたカメラが捕らえた夜間の映像をチェックするために、鮫島と薮は監視部屋に出かけた。夜間の映像から薮は奇妙な現象に気づく。「402」号室でサプレッサーをつけた銃が使われ、銃口から噴き出す火が映っていたのだ。誰かが撃たれて死体が転がっているはずだと薮が判断した。
この事件発生で、様相が一変する。密告案件は即座に飛んでしまう。現場から銃は発見されず、検視の結果、殺人の可能性が高まり、警視庁捜査一課の担当となり初動捜査が始まる。第一発見者の鮫島と薮は事情聴取を受ける立場になった。
鮫島はほしはプロだと判断する。鮫島が得た密告情報との絡みで、マル害が潜入中の麻薬取締官だという可能性が当初懸念されたがそうではなかった。
この事件を担当する津田管理官の要請を受け、鮫島はマル害の身元が特定するまではこの事件に協力することになる。
被害者の国籍も当初はわからなかった。しばらくは帳場を立てずに捜査を進めることになる。
鮫島は、KSJマンションの所有者が誰かという点としゃぶの小分けという密告内容の観点から情報収集と捜査を進めていく。マンションの所有者は呉竹宏という名義のままだとわかる。鮫島の持つ情報ルートから呉竹が麻雀に嵌まり、イカサマ麻雀にかかり大きな借金をかかえていたことがわかってくる。そして、遠藤、権現、田島組という名前が浮かび上がる。さらに、今は警察を辞めたが、遠藤とずぶずぶの仲だったという石森という元刑事の名も出てくる。鮫島は事件になんらかの繋がりをみせるかもしれない糸口を掴んだ。
鑑識の薮が鮫島に情報をもたらす。大塚の監察医務院に居る知り合いからの情報だという。マル害の確認に4人が現れ、その内の一人が外事二課の身分証を見せ、4人の中にかつて組対の理事官だった男がいたのだと言う。その理事官とは、鮫島と同期であり、警視庁を退職し内閣情報調査室の下部機関である「東亜通商研究会」に籍を移した香田だった。
殺人事件の捜査は大きく事態が急転換していく。併せて、鮫島の身辺でも大きく状況が変化する。その結果、どういう展開をみせていくのか。そこから読ませどころが絡み合っていくことになる。
ストーリーの転換局面をいくつか抽出してご紹介しよう。
1. 着任した阿坂課長は、己の信念・方針として、鮫島に相棒の刑事を付ける。それも新たに異動してきた矢崎隆男巡査部長である。市谷の機動隊、特科車両隊からの異動だと本人は鮫島に語った。
鮫島は相棒を持つことに悩む。鮫島と組まされることで矢崎の警察官人生の将来がなくなることにならないかという懸念である。阿坂課長の信念ではそんなことは警視庁の組織規律ではありえないと考えるだけ。しかし、鮫島はできる限り、矢崎に悪い影響が及ばない形で相棒として受け入れ捜査活動をしようとする。
矢崎は鮫島と組み、鮫島の指示を得ると薮も彼の優秀さを認めるほどにその捜査力を発揮し出す。また、矢崎は己の考えを鮫島に伝えていく。その結果一面では鮫島もよき相棒を得た実感を抱き始める。
矢崎が鮫島の指示で、ある人物を追跡している時に背後から襲われ頭部に怪我をし入院する事態に発展する。その時矢崎について意外な事実が明らかになる。その事実は阿坂課長の信念にも関連が出てくるものだった。
2.鮫島は自分の情報源を介して独自に捜査を進めた結果、マル害の名前だけは突き止めることができた。「華恵新」という名前で宿泊していた。
だが、捜査本部は立たなかった。刑事部長と公安部長の間の話し合いで、捜査一課は引きあげとなり、事件そのものを公安部が吸い上げ、公安部の所管となったのだ。つまり、殺人事件に鮫島が協力するという形での捜査がここで破綻する。
鮫島はどうするか。
一方で、阿坂課長は己の信念・方針を前提にして、今後どのように対応していくのか。
3.鮫島はマル害の名前を権現から聞き出した。マンションをヤミ民泊にして運営していたのは権現と呼ばれる男だった。彼はヤクザの世界から足を洗い、カタギになっていた。石森が鮫島に緊急の連絡を入れてきた。権現との連絡がとれなくなったという。権現の行方不明が重要な焦点になっていく。権現は何らかの関係で殺人事件と連環する事態の中に居ることになる。鮫島は権現の行方を捜査し始める。
一方、田川組の浜川が直接、鮫島に携帯電話でコンタクトを取ってくる。権現の行方の捜査に関連して、会って話をしたいという。浜川の真意は何か。
鮫島と浜川の間で権現の救出について相互関係が始まっていく。
4.公安部が「華恵新」を確認した後、この殺人事件を吸い上げてしまった。鮫島は華恵新がどういう仕事をしていた人間かを捜査により追究していく。華恵新の役割がほぼ確定的に推論できはじめると、この殺人事件が大きく様相を変貌させていく。そこには政治的に極秘の事情が絡んでいたことが明らかになってくる。
なぜ、香田が大塚に外事二課とともに現れたのか。鮫島が捜査の一環としてある男を追跡捜査している途中で、香田とばったり出くわすことになった。その背景が見え始める。
5.日本で鮫島の手から逃れタイのバンコクでビジネスをする陸永昌は中国大連の自宅の固定電話を介して、東京からのメッセージを受信した。「こちらは東京です。花屋さんが入院してしまい、連絡がとれなくなり、困っています」という。日本の警察官であることはまちがいがない。
永昌は事実を確かめるために東京に密かに戻り、独自に華恵新の死について調査を始める。東京からのメッセージに対応することで、己に被害が及び窮地に立つことにならないかどうか慎重に確かめる為である。一方で、己にとっての商機を狙うという行動に出ていく。
鮫島と永昌がどこで対峙する展開になるのか。このシリーズの愛読者にとってはある意味で関心の深まるところである。
現代の日本が見せる様々な社会的事象を取り入れ、それを隣国との政治経済的諸問題と組み合わせるという構想が、このストーリーにリアルな時事的様相を巧みに現出している。読み応えがあり、一方で興味を引きつけ一気に読ませる内容になっている。
阿坂新課長と矢崎の登場がおもしろさを加える一因であるが、一方鑑識の薮が要の各所で大いに活躍するところがおもしろい。
新宿鮫の次の事件捜査ストーリーを期待したい。
ご一読ありがとうございます。
徒然にこの作家の作品を読み継いできました。ここで印象記を書き始めた以降の作品は次の通りです。こちらもお読みいただけると、うれしいかぎりです。
『帰去来』 朝日新聞出版
『漂砂の塔 THE ISLE OF PLACER』 集英社
『欧亞純白 ユーラシアホワイト』 大沢在昌 集英社文庫
『鮫言』 集英社
『爆身』 徳間書店
『極悪専用』 徳間書店
『夜明けまで眠らない』 双葉社
『十字架の王女 特殊捜査班カルテット3』 角川文庫
『ブラックチェンバー』 角川文庫
『カルテット4 解放者(リベレイター)』 角川書店
『カルテット3 指揮官』 角川書店
『生贄のマチ 特殊捜査班カルテット』 角川文庫
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 光文社文庫
『海と月の迷路』 毎日新聞社
『獣眼』 徳間書店
『雨の狩人』 幻冬舎