素行調査官シリーズの第3弾である。「小説宝石」(2011年4月号~2012年2月号)に連載された後、2012年5月に単行本として出版され、2015年1月に文庫本化されている。
素行調査官という官職名はない。警視庁の中に設けられた警務部人事一課監察係をここではさしている。警察官の不祥事や素行不良を取り締まるのが仕事である。「そもそも警察の自己防衛のための機関であって、組織に実害が及ぶとなれば、臭いものに蓋をする行動に出ても不思議はない」(p21)という機能とみなされている。「警察の中の警察」であり、一般の警察官はあたかもゲシュタポのごとくに受けとめ、毛嫌いするという部署である。だが、首席監察官となった入江透は警察組織内の不正を断固断ち切り、組織の浄化を目指そうとする。現状の監察チームの実態を嘆き、密かに特別チームを結成した。
その為に、高校時代のクラスメートで元私立探偵だった本郷を特別捜査官の採用枠で招き入れ、入江の方針と姿勢に傾倒する北本とのわずか3人の少数精鋭で、不祥事の撲滅・警察組織の浄化に果敢にチャレンジしていく。
さて、このストーリーは戸田光利が沢井昭敏に電話を掛けたシーンから始まる。沢井は警視庁刑事部捜査二課企業犯捜査第二係に所属する。戸田は一週間前まで沢井の直属のボスだった。その戸田が捜査途中の事件から突然外され、刑事総務課付けの辞令を受けた。そして、地域課への異動を告げられたことで辞職したと沢井に連絡したのだ。辞表を出すと慰留されることもなかったと言う。
異動の辞令が出たとき、戸田が捜査していたのは、大手ソフトウェア会社、レキシスの株をある仕手グループが大量に空売りし、底値で買い戻したという事象であった。そこにはインサイダー取引事件の疑いがあったのだ。沢井たちとは別の班がレキシスの財務担当取締役による巨額の横領事件を摘発するに先立って、仕手グループが空売りをし、横領事実発覚により株価が暴落。底値で仕手グループが株を買い戻していた。証券取引等監視委員会から警視庁にインサイダー取引の疑いがあるとの通報があった。もし警察サイドから捜査情報が流出していたのなら、大不祥事となる。
監察係が捜査二課全員の事情聴取を行った。沢井は本郷から事情聴取を受けた。だが、沢井は本郷の態度に好印象を持った。この時の事情聴取では警察内部からの情報漏洩はなく、仕手筋と付き合いのある捜査員もいないという結果がでた。その後に戸田はこの仕手集団が絡んだインサイダー取引事件の捜査に取り組んでいた。株の売買をやったのはバハマの投資ファンドであるが、空売りを仕掛けたのは有名な相場師の矢島輝樹という強い感触が出ていた。だが捜査は難航していた。
戸田が捜査二課から外された翌日、滝井が後任の係長となり、捜査の難航を理由に早々にこの事案を終了させる方針を打ち出した。沢井は滝井係長の行動に納得がいかない。沢井は警察組織の動きに疑念を抱き始める。母子家庭で育った沢井は、戸田を父の如くに慕うとともに、戸田の捜査姿勢を尊敬していた。その沢井はその後二係が扱う事件からは蚊帳の外に置かれ、さらに自宅待機を滝井係長から指示される立場に追い込まれていく。一方、沢井は己を監視する者の存在に気づく。監視していた男は、監察の北本と名乗りすらした。それで、なぜ自分が監視されなければならないのか、その理由を探求し立ち向かって行く。
一方、入江は捜査二課に対する捜査は、徹底捜査という名目を得たいためのものにしか過ぎなかったのではないかと疑念を抱く。また、滝井係長が早々と幕引きしたことにも意味ありげな感触を抱く。そんな矢先に、高桑興産というマンションデベロッパーの株がストップ安を付け、仕手筋の仕掛けではないかという話が出てくる。入江は密かに調べ、生安の生活環境課が、産廃の不法投棄容疑で内偵を進めているという情報を得た。入江の同期がその課の課長だという。その事案に高桑興産が絡んでいるという。
入江はこれら2事案の類似性から警察組織内の上層部にも及ぶ犯罪事実の種が蒔かれているのではないかと疑い始める。3人の特別チームが始動する。
戸田から辞表提出の電話を受信した沢井は、戸田の自宅を訪ねていく。監視されたことや相手が北本と名乗った事などを沢井は戸田に語った。戸田は沢井に矢島の事務所や自宅との交信をさせたことに原因があるかもしれないと語った。そして、沢井に落とし穴に落ちないように気をつけよと助言する。
沢井が訪れた夜、戸田は自室で何か調べ物をし、ノートに記録する作業をしたようだ。だがその後突然くも膜下出血を発症し倒れてしまい、ICU(集中治療室)で治療を受ける身になってしまう。
入江はレキシスに対するインサイダー取引疑惑の捜査を打ち切らせた黒幕は、警察庁にいそうだという感触を掴んでくる。そしてレキシスの梅島社長と長官官房の守屋審議官が大学の同期で昵懇の間柄だということも。さらに、過去にも警察の摘発とリンクして仕手筋による空売りが行われた形跡があること、バハマの投資ファンドを運営してるのが矢島だということは業界関係者の間では常識のようだという情報も入手してくる。
本郷と北本が具体的に調査をする糸口が出て来たことになる。そこから疑惑の人脈連鎖が浮かびあがり、波紋が広がって行く。
相場師矢島輝樹は、かつて本郷が勤めていた私立探偵事務所の所長・土居敏彦が巨額の投資資金を騙し取られるという失敗をさせた相手だった。その矢島が俎上にでてきたことで、土居とその娘沙緒里は本郷たちに積極的に協力することになる。
既に退職し、今はICUで治療を受けている戸田に対し、生安の生活経済課が情報漏洩の嫌疑を戸田に向け、家宅捜査を強行するという挙に出た。沢井は、戸田夫人から戸田が倒れる前に、古い手帳から大学ノートに何か抜き書きしていたということを聞く。そのノートの行方は不明のままだ。だがそこには重要な事実が抜き書きされていたようである。自宅待機となっている沢井は戸田に対する疑惑を払拭するべく行動を開始する。そして、本郷にコンタクトをとる。
レキシスに関わるインサイダー取引事件が発端となり、次々に過去の事象に関連が見出される形で波紋が広がる一方、警視庁・警察庁内部に何らかの形でそれらの事象に関与していると推定できる人物達が浮かび上がっていく。
入江・本郷・北本の特別チームに土居敏彦と娘の沙緒里が強力な協力者として加わり、さらに戸田への濡れ衣を払拭せんとする沢井が参画する。わずか総勢6人で、インサイダー取引に関わる不正の闇に蠢く一群の連中を明るみに引き出して行く。そこには事象の背景で己の利益を求めて暗躍し結びつく人間たちの関連構造が厳然と築かれていた。
このストーリーの興味深い点がいくつかある。
1.素行調査官である本郷と北本が監察という立場での権限と手法を様々に使いながら、事案に取り組んで行く手続きプロセスが興味深いことがまず挙げられる。
それに加えて、民間の私立探偵の視点を常に本郷が維持していて、警察という公権力を客観的に冷めた目でみている点がおもしろい。
2. 首席監察官の入江がキャリアの同期のネットワーク、東京大学の同期のネットワークを巧みに活用し、情報を収集するという個人技の部分がおもしろい。いわゆる人脈を良い意味でどう使いこなすかが描かれている。
入江がキャリアの視点から、縦割り行政の実態を逆手に取る発想を持ち込み、己のネットワークと結びつけて打つ手を見出すところもおもしろいと思う。
3. 上記の1,2に関係するのだが、警視庁、警察庁での人事異動記録に着目するという観点が興味深い。誰が誰と繋がっているかという筋が時系列で昇進異動記録を分析すると、そこに人脈の繋がりが浮き上がり、読み取れるというおもしろさである。
4. 尊敬し慕う元上司の戸田にふりかかった疑惑と己にかけられる圧力を払拭せんと、果敢に警察組織に挑んでいく熱血漢・沢井のとる行動が読ませどころの一つになる。未だ下っ端刑事である沢井が知恵をしぼりどこまでのことができるのか。読者の関心を引きつけることだろう。
5. 戸田が抜き書きしたという大学ノートに記された内容とは何か? そのノートがどこにあるのか? それを発見できるのか? 最後の最後までこのノートが読者の興味を引きつける大きな要因になっていく。いわば、びっくり箱のようなものなのだから。
ジグソーパズルのように、バラバラのピースが徐々に分散的に繋がり、まとまりのある部分集合が見つかる。そこから大きな連関が見え始めいくつかの仮説が成り立つ。それが適切な論理的推論に集約していく。まずピースをつなぎ部分集合を作る作業が、本郷・北本のペアの調査行動と沢井の単独行動から生まれてくる。沢井が本郷にコンタクトをとることで、部分集合間の連関が見え始める。そこに入江の情報がリンクし、土居親子のもたらす情報が繋がりを補強する。そういうプロセスが楽しめるストーリー展開である。
読み応えがあるストーリー展開になっている。
ご一読ありがとうございます。
この印象記を書き始めた以降に、この作家の作品で読んだものは次の小説です。
こちらもお読みいただけると、うれしいかぎりです。
『山岳捜査』 小学館
『公安狼』 徳間書店
『ビッグブラザーを撃て!』 光文社文庫
『時の渚』 文春文庫
『白日夢 素行調査官』 光文社文庫
『素行調査官』 光文社文庫
『越境捜査』 上・下 双葉文庫
『サンズイ』 光文社
『失踪都市 所轄魂』 徳間文庫
『所轄魂』 徳間文庫
『突破口 組織犯罪対策部マネロン室』 幻冬舎
『遺産 The Legacy 』 小学館
素行調査官という官職名はない。警視庁の中に設けられた警務部人事一課監察係をここではさしている。警察官の不祥事や素行不良を取り締まるのが仕事である。「そもそも警察の自己防衛のための機関であって、組織に実害が及ぶとなれば、臭いものに蓋をする行動に出ても不思議はない」(p21)という機能とみなされている。「警察の中の警察」であり、一般の警察官はあたかもゲシュタポのごとくに受けとめ、毛嫌いするという部署である。だが、首席監察官となった入江透は警察組織内の不正を断固断ち切り、組織の浄化を目指そうとする。現状の監察チームの実態を嘆き、密かに特別チームを結成した。
その為に、高校時代のクラスメートで元私立探偵だった本郷を特別捜査官の採用枠で招き入れ、入江の方針と姿勢に傾倒する北本とのわずか3人の少数精鋭で、不祥事の撲滅・警察組織の浄化に果敢にチャレンジしていく。
さて、このストーリーは戸田光利が沢井昭敏に電話を掛けたシーンから始まる。沢井は警視庁刑事部捜査二課企業犯捜査第二係に所属する。戸田は一週間前まで沢井の直属のボスだった。その戸田が捜査途中の事件から突然外され、刑事総務課付けの辞令を受けた。そして、地域課への異動を告げられたことで辞職したと沢井に連絡したのだ。辞表を出すと慰留されることもなかったと言う。
異動の辞令が出たとき、戸田が捜査していたのは、大手ソフトウェア会社、レキシスの株をある仕手グループが大量に空売りし、底値で買い戻したという事象であった。そこにはインサイダー取引事件の疑いがあったのだ。沢井たちとは別の班がレキシスの財務担当取締役による巨額の横領事件を摘発するに先立って、仕手グループが空売りをし、横領事実発覚により株価が暴落。底値で仕手グループが株を買い戻していた。証券取引等監視委員会から警視庁にインサイダー取引の疑いがあるとの通報があった。もし警察サイドから捜査情報が流出していたのなら、大不祥事となる。
監察係が捜査二課全員の事情聴取を行った。沢井は本郷から事情聴取を受けた。だが、沢井は本郷の態度に好印象を持った。この時の事情聴取では警察内部からの情報漏洩はなく、仕手筋と付き合いのある捜査員もいないという結果がでた。その後に戸田はこの仕手集団が絡んだインサイダー取引事件の捜査に取り組んでいた。株の売買をやったのはバハマの投資ファンドであるが、空売りを仕掛けたのは有名な相場師の矢島輝樹という強い感触が出ていた。だが捜査は難航していた。
戸田が捜査二課から外された翌日、滝井が後任の係長となり、捜査の難航を理由に早々にこの事案を終了させる方針を打ち出した。沢井は滝井係長の行動に納得がいかない。沢井は警察組織の動きに疑念を抱き始める。母子家庭で育った沢井は、戸田を父の如くに慕うとともに、戸田の捜査姿勢を尊敬していた。その沢井はその後二係が扱う事件からは蚊帳の外に置かれ、さらに自宅待機を滝井係長から指示される立場に追い込まれていく。一方、沢井は己を監視する者の存在に気づく。監視していた男は、監察の北本と名乗りすらした。それで、なぜ自分が監視されなければならないのか、その理由を探求し立ち向かって行く。
一方、入江は捜査二課に対する捜査は、徹底捜査という名目を得たいためのものにしか過ぎなかったのではないかと疑念を抱く。また、滝井係長が早々と幕引きしたことにも意味ありげな感触を抱く。そんな矢先に、高桑興産というマンションデベロッパーの株がストップ安を付け、仕手筋の仕掛けではないかという話が出てくる。入江は密かに調べ、生安の生活環境課が、産廃の不法投棄容疑で内偵を進めているという情報を得た。入江の同期がその課の課長だという。その事案に高桑興産が絡んでいるという。
入江はこれら2事案の類似性から警察組織内の上層部にも及ぶ犯罪事実の種が蒔かれているのではないかと疑い始める。3人の特別チームが始動する。
戸田から辞表提出の電話を受信した沢井は、戸田の自宅を訪ねていく。監視されたことや相手が北本と名乗った事などを沢井は戸田に語った。戸田は沢井に矢島の事務所や自宅との交信をさせたことに原因があるかもしれないと語った。そして、沢井に落とし穴に落ちないように気をつけよと助言する。
沢井が訪れた夜、戸田は自室で何か調べ物をし、ノートに記録する作業をしたようだ。だがその後突然くも膜下出血を発症し倒れてしまい、ICU(集中治療室)で治療を受ける身になってしまう。
入江はレキシスに対するインサイダー取引疑惑の捜査を打ち切らせた黒幕は、警察庁にいそうだという感触を掴んでくる。そしてレキシスの梅島社長と長官官房の守屋審議官が大学の同期で昵懇の間柄だということも。さらに、過去にも警察の摘発とリンクして仕手筋による空売りが行われた形跡があること、バハマの投資ファンドを運営してるのが矢島だということは業界関係者の間では常識のようだという情報も入手してくる。
本郷と北本が具体的に調査をする糸口が出て来たことになる。そこから疑惑の人脈連鎖が浮かびあがり、波紋が広がって行く。
相場師矢島輝樹は、かつて本郷が勤めていた私立探偵事務所の所長・土居敏彦が巨額の投資資金を騙し取られるという失敗をさせた相手だった。その矢島が俎上にでてきたことで、土居とその娘沙緒里は本郷たちに積極的に協力することになる。
既に退職し、今はICUで治療を受けている戸田に対し、生安の生活経済課が情報漏洩の嫌疑を戸田に向け、家宅捜査を強行するという挙に出た。沢井は、戸田夫人から戸田が倒れる前に、古い手帳から大学ノートに何か抜き書きしていたということを聞く。そのノートの行方は不明のままだ。だがそこには重要な事実が抜き書きされていたようである。自宅待機となっている沢井は戸田に対する疑惑を払拭するべく行動を開始する。そして、本郷にコンタクトをとる。
レキシスに関わるインサイダー取引事件が発端となり、次々に過去の事象に関連が見出される形で波紋が広がる一方、警視庁・警察庁内部に何らかの形でそれらの事象に関与していると推定できる人物達が浮かび上がっていく。
入江・本郷・北本の特別チームに土居敏彦と娘の沙緒里が強力な協力者として加わり、さらに戸田への濡れ衣を払拭せんとする沢井が参画する。わずか総勢6人で、インサイダー取引に関わる不正の闇に蠢く一群の連中を明るみに引き出して行く。そこには事象の背景で己の利益を求めて暗躍し結びつく人間たちの関連構造が厳然と築かれていた。
このストーリーの興味深い点がいくつかある。
1.素行調査官である本郷と北本が監察という立場での権限と手法を様々に使いながら、事案に取り組んで行く手続きプロセスが興味深いことがまず挙げられる。
それに加えて、民間の私立探偵の視点を常に本郷が維持していて、警察という公権力を客観的に冷めた目でみている点がおもしろい。
2. 首席監察官の入江がキャリアの同期のネットワーク、東京大学の同期のネットワークを巧みに活用し、情報を収集するという個人技の部分がおもしろい。いわゆる人脈を良い意味でどう使いこなすかが描かれている。
入江がキャリアの視点から、縦割り行政の実態を逆手に取る発想を持ち込み、己のネットワークと結びつけて打つ手を見出すところもおもしろいと思う。
3. 上記の1,2に関係するのだが、警視庁、警察庁での人事異動記録に着目するという観点が興味深い。誰が誰と繋がっているかという筋が時系列で昇進異動記録を分析すると、そこに人脈の繋がりが浮き上がり、読み取れるというおもしろさである。
4. 尊敬し慕う元上司の戸田にふりかかった疑惑と己にかけられる圧力を払拭せんと、果敢に警察組織に挑んでいく熱血漢・沢井のとる行動が読ませどころの一つになる。未だ下っ端刑事である沢井が知恵をしぼりどこまでのことができるのか。読者の関心を引きつけることだろう。
5. 戸田が抜き書きしたという大学ノートに記された内容とは何か? そのノートがどこにあるのか? それを発見できるのか? 最後の最後までこのノートが読者の興味を引きつける大きな要因になっていく。いわば、びっくり箱のようなものなのだから。
ジグソーパズルのように、バラバラのピースが徐々に分散的に繋がり、まとまりのある部分集合が見つかる。そこから大きな連関が見え始めいくつかの仮説が成り立つ。それが適切な論理的推論に集約していく。まずピースをつなぎ部分集合を作る作業が、本郷・北本のペアの調査行動と沢井の単独行動から生まれてくる。沢井が本郷にコンタクトをとることで、部分集合間の連関が見え始める。そこに入江の情報がリンクし、土居親子のもたらす情報が繋がりを補強する。そういうプロセスが楽しめるストーリー展開である。
読み応えがあるストーリー展開になっている。
ご一読ありがとうございます。
この印象記を書き始めた以降に、この作家の作品で読んだものは次の小説です。
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『山岳捜査』 小学館
『公安狼』 徳間書店
『ビッグブラザーを撃て!』 光文社文庫
『時の渚』 文春文庫
『白日夢 素行調査官』 光文社文庫
『素行調査官』 光文社文庫
『越境捜査』 上・下 双葉文庫
『サンズイ』 光文社
『失踪都市 所轄魂』 徳間文庫
『所轄魂』 徳間文庫
『突破口 組織犯罪対策部マネロン室』 幻冬舎
『遺産 The Legacy 』 小学館