2015年から2019年にかけて「小説 野性時代」に発表された作品のタイトルを改題し、改稿を加え単行本化されたものである。「双生」「星宿」「黎明」という短編3作と「氷獄」という中編で構成されている。これらの作品は、桜宮ワールドに関わる連作集になっている。4作品の共通項は、もうおなじみの愚痴外来を担当する田口先生である。どちらかといえば脇役的に登場をするけれど、キーパーソンという存在感をもって描かれている。私は田口先生のこの役回りが好きである。久しぶりに桜宮ワールドに触れて楽しみながら読了した。当然ながら、高階病院長、藤原看護師、白鳥技官、彦根医師、斑鳩警視正、別宮記者なども登場して、それぞれが個性を発揮していておもしろい。
作品毎にそのストーリーへの導入と読後印象をご紹介する。
< 双生 1994年 春 >
24ページの短編。場所は東城大医学部の大学病院内にある愚痴外来が中心。初めて桜宮ワールドに関連する小説を読む人には、この名称ではではわからない。正式には、不定愁訴外来という。
桜宮病院に勤める双子の女性医師が半年ほど東城大学医学部で研修するにあたり、山室教授から面倒をみるようにと田口先生が押し付けられたのだ。もの静かで優等生の小百合と威勢がよくてちょっと跳ね返りのすみれという双子の医師。田口先生の許を訪れる患者をどちらが担当するかについて、患者の希望を聞くというやり方をとる。患者は小百合を指名する。患者の一人、片平清美も同様に、小百合を指名した。この患者の診断中に、付き添いで来ていた夫の方に、すみれは独自の診断をしていた。そこから、治療に関して、山室教授の研究に絡む医学的見地のステージで議論が交わされる羽目になる。
大学病院における医学の研究分野の体質が鮮やかに切り取られて描かれている。
田口先生が、すみれのことを内心で「彼女は自分で気づいていないけれど、こぼれ落ちそうになる病人の想いを柄杓のように汲み上げる、天空の北斗七星のような医師になるかもしれない」と評価した。それはなぜか? そこが読ませどころにもなる。
< 星宿 2007年 冬 >
40ページの短編。場所は東城大学医学部附属病院の別棟、オレンジ新棟。小児病棟入院患児で一番年長の村本亮は天文マニアの中学生で、髄膜腫に罹っている。クリスマスのもみの木にぶらさげる短冊に、「南十字星を見たい」という願いごとを書いた。それを看護師如月翔子主任が叶えてやりたいと奮闘努力する。彼女がこのストーリーの中核となる。便利屋のお試し無料一回券を如月にあげた便利屋城崎が協力をする羽目になる。彼の部下牧村がある情報を持っていた。そして、東城大の生き字引である猫田師長が大きく関わっていくことになる。だが、亮の願いを叶えるには大きな障害があった。そこで如月は田口先生に相談を投げかけることになる。
亮の願いを叶えてやりたいという如月翔子の一途な思いと行動が人々を巻き込んでいき、実現させるというサクセスストーリーは、読んでいて楽しくなる。
それまで手術を拒否していた亮が、一度、手術について話を聞いてみようという気になったのだ。その動機は、1年前にはここの病棟に居たという牧村だった。亮の意識転換の経緯がもう一つの読ませどころと言える。
< 黎明 2012年 春>
53ページの短編である。ホスピス棟が舞台となる。田口先生は、高階院長の命で、ホスピス棟の入所時受け入れ外来の担当を任される。そこに、膵臓癌の末期症状患者・工藤千草が入所する。日本のホスピスの草分けである黎明病院に勤めていた黒沼師長がこちらに移り、ホスピス棟を取り仕切っている。黒沼師長の方針は、患者をお客様と呼び、ここは静かに死を迎える覚悟を作らせる場所であり、希望を持たせないことという。千草が入所する時点で、このホスピス棟には、山岡という老婦人一人だけが入所していた。
千草の夫、章雄は妻の末期癌に対して、延命のためにできることは何でもやってみたいという熱意をもつ。ホスピス棟の若月看護師は黒沼師長の方針に反しても章雄の思いに協力するという。そして、一つの治療法を提案する。ホスピス棟を巡るその運営に絡んだ確執がテーマとなっている。田口先生には高階院長から現状の運営に対して、ある密命が下っていたのだった。
死を迎えるためのステージの有り様という重いテーマが取り上げられている。高齢化社会では必然的にウエイトが高まっていく視点だと思う。著者は最後に高階院長に重い内容を語らせている。「末期癌患者の希望を断ち切るのはホスピスの世界では正しい。でもそれは時間を掛けて患者、家族に納得してもらってから始めるべきです。だがそれは途方もない時間と労力が必要になり、現実的ではないのです。」(p126)高階院長がこの続きにさらに語ることがある。それは、本書を開いてみてほしい。たしか、この桜宮ワールドの他の作品にリンクする内容を背景にした発言と思う。
< 氷獄 2019年 春 >
156ページの中編である。2019年4月、都内某所の弁護士事務所で、代表の日高正義(ひだかせいぎ)が机のそばに置かれた2つの案件の関係資料を眺めつつ回想する場面から始まる。日高が弁護士になる経緯にまず触れた後、弁護士として歩み出す契機になったこの2つの案件が2008年春に溯って、回想されていく形でストーリーが始まって行く。
日高にとり、最初の仕事が国選弁護人として通り組む案件だった。それがこのストーリーの主軸として展開されていく。場所は主に接見する東京拘置所となる。その案件とは、桜宮市に所在の東城大学医学部の附属病院で発生したバチスタ事件、つまり氷室医師が患者を殺したという事件である。国選弁護士を拒否しつづけてきた氷室が日高を指名するに至ったことから、ストーリーが展開していく。
日高は鹿野法律事務所に所属した関係で、『冤罪被害者を救う会』が取り扱っている「青葉川芋煮会集団中毒事件」の弁護団の一員にも並行する案件として加わることになる。こちらの事件の弁護に対しては、拘置所に収監されている氷室医師が、ブレークスルーとなるような手段を日高に示唆するという関連が生まれていく。
日高が氷室医師を接見したときに、「ここは氷の牢獄です。何をしても凍えるだけなんですよ」とふと本音をもらす。中編のタイトルは、この氷の牢獄発言に由来する。
日高は、氷室の国選弁護人となった後、田口医師に面談に行く。バチスタ事件で氷室が田口に直接語ったという内容も入手する。そのとき、氷室が語った氷の牢獄という言葉を田口が聞くと、彼は日高に「些細なことですが、彼はかつてこの世界は氷の棺だと言っていました。それが牢獄に変わったのかと、思ったもので」と語る。
日高は勿論、白鳥技官にも面談する。白鳥との面談の結果、日高は次々と面談相手を紹介されるという展開になっていくところがおもしろい。恐るべし、白鳥である。
このストーリーの興味深いところは、氷室のバチスタ事件と青葉川芋煮会集団中毒事件が、弁護という立場で連関していく重要な接点を持つ形で進行する点にある。
また、検事側の裁判に臨む姿勢と裁判手続き手法の側面が鮮やかに切り取られている。さらに、弁護士が東京拘置所で接見するという場面の描写から、接見という行為の具体的なイメージを浮かべやすくなる。
この中編作品は、検事側の法廷戦略に対する批判的視点を、検挙率の実態や冤罪を起こす体質の指摘などを通じて描き出されていくという副産物を提示している。読者に裁判の有り様を考えさせる材料を提供しているといえる。
最終的に、氷室は死刑判決を受ける。2010年に仙台拘置所に移送される。ところが2011年3月の大震災の折に、氷室は拘置所から脱走できたという結末を迎える。フィクションだから書けたことか。(その種の事例があのとき発生していたのだろうか・・・・・)
このエンディングは、いつか氷室を再登場させる作品が生まれることを期待させる。
桜宮ワールドの中で、この連作集がこれまでのいくつかの小説と個々にリンクしていくというところが、実におもしろい。それぞれが独立した作品でありながら、桜宮ワールドの中で、ネットワークのように繋がりが形成されて行き、そこに奥行が生まれていく。それぞれの作品がリンクしていくことで、相互の連関する作品に新たな視点が付加されていく。桜宮ワールドがますます濃密になっていくようである。
ご一読ありがとうございます。
本書に関連する語句をいくつかネット検索してみた。一覧にしておきたい。
不定愁訴 :ウィキペディア
「医学的に説明できない症状」って? :「日本心身医学会」
春本番と不定愁訴 :「IHM」
ホスピス・緩和ケアとはなんですか :「ホスピス財団」
ホスピス :ウィキペディア
緩和ケア病棟のある施設一覧(協会会員) :「日本ホスピス緩和ケア協会」
冤罪 :ウィキペディア
日本の冤罪事件一覧 :「Enpedia」
冤罪事件 :「朝日新聞DIGITAL」
死刑が執行された後に冤罪と判明する、なんてことが…~「飯塚事件」の現在地:「マガジン9」
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
「遊心逍遙記」として読後印象を掲載し始めた以降に、次の読後印象を掲載しています。お読みいただければ幸です。
『ポーラースター ゲバラ覚醒』 文藝春秋
『スカラムーシュ・ムーン』 新潮社
『アクアマリンの神殿』 角川書店
『ガンコロリン』 新潮社
『カレイドスコープの箱庭』 宝島社
『スリジェセンター 1991』 講談社
『輝天炎上』 角川書店
『螺鈿迷宮』 角川書店
『ケルベロスの肖像』 宝島社
『玉村警部補の災難』 宝島社
『ナニワ・モンスター』 新潮社
『モルフェウスの領域』 角川書店
『極北ラプソディ』 朝日新聞出版
作品毎にそのストーリーへの導入と読後印象をご紹介する。
< 双生 1994年 春 >
24ページの短編。場所は東城大医学部の大学病院内にある愚痴外来が中心。初めて桜宮ワールドに関連する小説を読む人には、この名称ではではわからない。正式には、不定愁訴外来という。
桜宮病院に勤める双子の女性医師が半年ほど東城大学医学部で研修するにあたり、山室教授から面倒をみるようにと田口先生が押し付けられたのだ。もの静かで優等生の小百合と威勢がよくてちょっと跳ね返りのすみれという双子の医師。田口先生の許を訪れる患者をどちらが担当するかについて、患者の希望を聞くというやり方をとる。患者は小百合を指名する。患者の一人、片平清美も同様に、小百合を指名した。この患者の診断中に、付き添いで来ていた夫の方に、すみれは独自の診断をしていた。そこから、治療に関して、山室教授の研究に絡む医学的見地のステージで議論が交わされる羽目になる。
大学病院における医学の研究分野の体質が鮮やかに切り取られて描かれている。
田口先生が、すみれのことを内心で「彼女は自分で気づいていないけれど、こぼれ落ちそうになる病人の想いを柄杓のように汲み上げる、天空の北斗七星のような医師になるかもしれない」と評価した。それはなぜか? そこが読ませどころにもなる。
< 星宿 2007年 冬 >
40ページの短編。場所は東城大学医学部附属病院の別棟、オレンジ新棟。小児病棟入院患児で一番年長の村本亮は天文マニアの中学生で、髄膜腫に罹っている。クリスマスのもみの木にぶらさげる短冊に、「南十字星を見たい」という願いごとを書いた。それを看護師如月翔子主任が叶えてやりたいと奮闘努力する。彼女がこのストーリーの中核となる。便利屋のお試し無料一回券を如月にあげた便利屋城崎が協力をする羽目になる。彼の部下牧村がある情報を持っていた。そして、東城大の生き字引である猫田師長が大きく関わっていくことになる。だが、亮の願いを叶えるには大きな障害があった。そこで如月は田口先生に相談を投げかけることになる。
亮の願いを叶えてやりたいという如月翔子の一途な思いと行動が人々を巻き込んでいき、実現させるというサクセスストーリーは、読んでいて楽しくなる。
それまで手術を拒否していた亮が、一度、手術について話を聞いてみようという気になったのだ。その動機は、1年前にはここの病棟に居たという牧村だった。亮の意識転換の経緯がもう一つの読ませどころと言える。
< 黎明 2012年 春>
53ページの短編である。ホスピス棟が舞台となる。田口先生は、高階院長の命で、ホスピス棟の入所時受け入れ外来の担当を任される。そこに、膵臓癌の末期症状患者・工藤千草が入所する。日本のホスピスの草分けである黎明病院に勤めていた黒沼師長がこちらに移り、ホスピス棟を取り仕切っている。黒沼師長の方針は、患者をお客様と呼び、ここは静かに死を迎える覚悟を作らせる場所であり、希望を持たせないことという。千草が入所する時点で、このホスピス棟には、山岡という老婦人一人だけが入所していた。
千草の夫、章雄は妻の末期癌に対して、延命のためにできることは何でもやってみたいという熱意をもつ。ホスピス棟の若月看護師は黒沼師長の方針に反しても章雄の思いに協力するという。そして、一つの治療法を提案する。ホスピス棟を巡るその運営に絡んだ確執がテーマとなっている。田口先生には高階院長から現状の運営に対して、ある密命が下っていたのだった。
死を迎えるためのステージの有り様という重いテーマが取り上げられている。高齢化社会では必然的にウエイトが高まっていく視点だと思う。著者は最後に高階院長に重い内容を語らせている。「末期癌患者の希望を断ち切るのはホスピスの世界では正しい。でもそれは時間を掛けて患者、家族に納得してもらってから始めるべきです。だがそれは途方もない時間と労力が必要になり、現実的ではないのです。」(p126)高階院長がこの続きにさらに語ることがある。それは、本書を開いてみてほしい。たしか、この桜宮ワールドの他の作品にリンクする内容を背景にした発言と思う。
< 氷獄 2019年 春 >
156ページの中編である。2019年4月、都内某所の弁護士事務所で、代表の日高正義(ひだかせいぎ)が机のそばに置かれた2つの案件の関係資料を眺めつつ回想する場面から始まる。日高が弁護士になる経緯にまず触れた後、弁護士として歩み出す契機になったこの2つの案件が2008年春に溯って、回想されていく形でストーリーが始まって行く。
日高にとり、最初の仕事が国選弁護人として通り組む案件だった。それがこのストーリーの主軸として展開されていく。場所は主に接見する東京拘置所となる。その案件とは、桜宮市に所在の東城大学医学部の附属病院で発生したバチスタ事件、つまり氷室医師が患者を殺したという事件である。国選弁護士を拒否しつづけてきた氷室が日高を指名するに至ったことから、ストーリーが展開していく。
日高は鹿野法律事務所に所属した関係で、『冤罪被害者を救う会』が取り扱っている「青葉川芋煮会集団中毒事件」の弁護団の一員にも並行する案件として加わることになる。こちらの事件の弁護に対しては、拘置所に収監されている氷室医師が、ブレークスルーとなるような手段を日高に示唆するという関連が生まれていく。
日高が氷室医師を接見したときに、「ここは氷の牢獄です。何をしても凍えるだけなんですよ」とふと本音をもらす。中編のタイトルは、この氷の牢獄発言に由来する。
日高は、氷室の国選弁護人となった後、田口医師に面談に行く。バチスタ事件で氷室が田口に直接語ったという内容も入手する。そのとき、氷室が語った氷の牢獄という言葉を田口が聞くと、彼は日高に「些細なことですが、彼はかつてこの世界は氷の棺だと言っていました。それが牢獄に変わったのかと、思ったもので」と語る。
日高は勿論、白鳥技官にも面談する。白鳥との面談の結果、日高は次々と面談相手を紹介されるという展開になっていくところがおもしろい。恐るべし、白鳥である。
このストーリーの興味深いところは、氷室のバチスタ事件と青葉川芋煮会集団中毒事件が、弁護という立場で連関していく重要な接点を持つ形で進行する点にある。
また、検事側の裁判に臨む姿勢と裁判手続き手法の側面が鮮やかに切り取られている。さらに、弁護士が東京拘置所で接見するという場面の描写から、接見という行為の具体的なイメージを浮かべやすくなる。
この中編作品は、検事側の法廷戦略に対する批判的視点を、検挙率の実態や冤罪を起こす体質の指摘などを通じて描き出されていくという副産物を提示している。読者に裁判の有り様を考えさせる材料を提供しているといえる。
最終的に、氷室は死刑判決を受ける。2010年に仙台拘置所に移送される。ところが2011年3月の大震災の折に、氷室は拘置所から脱走できたという結末を迎える。フィクションだから書けたことか。(その種の事例があのとき発生していたのだろうか・・・・・)
このエンディングは、いつか氷室を再登場させる作品が生まれることを期待させる。
桜宮ワールドの中で、この連作集がこれまでのいくつかの小説と個々にリンクしていくというところが、実におもしろい。それぞれが独立した作品でありながら、桜宮ワールドの中で、ネットワークのように繋がりが形成されて行き、そこに奥行が生まれていく。それぞれの作品がリンクしていくことで、相互の連関する作品に新たな視点が付加されていく。桜宮ワールドがますます濃密になっていくようである。
ご一読ありがとうございます。
本書に関連する語句をいくつかネット検索してみた。一覧にしておきたい。
不定愁訴 :ウィキペディア
「医学的に説明できない症状」って? :「日本心身医学会」
春本番と不定愁訴 :「IHM」
ホスピス・緩和ケアとはなんですか :「ホスピス財団」
ホスピス :ウィキペディア
緩和ケア病棟のある施設一覧(協会会員) :「日本ホスピス緩和ケア協会」
冤罪 :ウィキペディア
日本の冤罪事件一覧 :「Enpedia」
冤罪事件 :「朝日新聞DIGITAL」
死刑が執行された後に冤罪と判明する、なんてことが…~「飯塚事件」の現在地:「マガジン9」
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その点、ご寛恕ください。)
「遊心逍遙記」として読後印象を掲載し始めた以降に、次の読後印象を掲載しています。お読みいただければ幸です。
『ポーラースター ゲバラ覚醒』 文藝春秋
『スカラムーシュ・ムーン』 新潮社
『アクアマリンの神殿』 角川書店
『ガンコロリン』 新潮社
『カレイドスコープの箱庭』 宝島社
『スリジェセンター 1991』 講談社
『輝天炎上』 角川書店
『螺鈿迷宮』 角川書店
『ケルベロスの肖像』 宝島社
『玉村警部補の災難』 宝島社
『ナニワ・モンスター』 新潮社
『モルフェウスの領域』 角川書店
『極北ラプソディ』 朝日新聞出版