
著者の未収録の短中編の作品集。
未収録といっても、雑誌や新聞には掲載されており、単行、文庫に収録されていないということ。
『赤いマント』
「館」シリーズの第四作「人形館の殺人」の後日譚に当たる物語。
人形館…は嘗て読んだことはあるが、もう忘れてしまっている。
確か朧げな記憶によると、この人形館だけは、中村青司の設計作ではなかったと思うし、鹿谷門実こと島田潔の登場もなかったと思う。
架場久茂と道沢希早子のコンビで謎を解く、女子高生の間で広まる都市伝説「赤いマント」にまつわるミステリ。
『崩壊の前日』
「眼球綺譚」所収の短編「バースデー・プレゼント」の姉妹編、のつもりで書いたそうな。
「眼球綺譚」も読んだはずだが、もう内容は忘れてしまっている。
「バースデープレゼント」と同様、ホラー小説というよりも幻想小説的な色が濃い作品だそうである。
読んでみて、何のことかよくわからないような作品だった…。
『洗礼』
「どんどん橋、落ちた」にまとめた「僕=綾辻行人」を語り手とする本格ミステリ(の変化球)の連作は、第五話の「意外な犯人」をもって打ち止め、のつもりだった。
その誓いを破って書いた・書かざるをえなかったのが、この中編である。
そうなってしまった背景には、作中で語られているとおりの、”現実”があった…とのこと。
「どんどん橋、落ちた」は読んでいるが、これもまた内容は忘れてしまっている…。
この作品は、作中作になっているので、なかなかややこしいところである。
『蒼白い女』
「よみうり読書 芦屋サロン」に寄稿した四百字詰め九枚の掌編怪談。
登場する「A氏」としていたのだが、これを本署では「秋守氏」に変更している。
そうするとこの作品、実は「私=綾辻行人」を語り手とする「深泥丘(みどろがおか)」連作の番外編なのだと分かる。
時系列的には「深泥丘奇談・続々」所収の「減らない謎」の前に、本作のエピソードが位置することになる…とのこと。
「深泥丘」は読んでいないので、そう言われても分からない…。
まぁ短い怪談話である。
『人間じゃないーーーB〇四号室の患者』
そもそもはオリジナルの漫画原作として考案したプロットだった。
児嶋都さんによって「人間じゃない」のタイトルで漫画化され、「綾辻行人 ミステリ作家徹底解剖」というムックに収録されたのだが、いずれ小説化したいなと考えつづけていた。
けれどもこの原作の「漫画だからこそ成り立つ仕掛け」を小説でどのように処理するか、という難題があって、ずっと手をつけあぐねていたのである。
昨年(2016)になってようやく書く踏ん切りがついたのだが、結果としてこの作品、「フリークス」にまとめた「患者」シリーズの番外編という形を取ることになった…とのこと。
漫画も「患者」シリーズも読んでいないので、単にホラー小説として読んだ、かなり怖ーい作品。
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