鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【読了】 丸山雍成「近世の公用交通路と情報の伝達」(大阪ガスネットワーク エネルギー・文化研究所『情報誌CEL』Vol.117、2017年)

2023年08月29日 12時04分02秒 | いち研究者としての日記

今から6年前の平成29年(2017)に丸山雍成先生が大阪ガスの研究機関誌へ寄稿され、現在はインターネット上にPDFがアップロードされている標記の論説を、初めて読みました。

近世の公用交通路と情報の伝達/CEL【大阪ガスネットワーク株式会社 エネルギー・文化研究所】

江戸時代、全国的に整備された公用の交通路とそれをめぐる情報ネットワークとの関係史につき、一般の人びとにもわかりやすいよう解説されています。商品流通をめぐるネットワークとの関連性にまで言及されています。

タイトルを見て思い出されるのは今から9年前の平成26年(2014)、私が清文堂出版(大阪市)から単著『近世の公用交通路をめぐる情報―瀬戸内海を中心に―』を出版するときのできごとです。推薦文の執筆を丸山先生に直接お願いしたのですが、そのとき「執筆は引き受けますけど、書名にある『公用交通路』とは何ですか?」と、訝しい感じで指摘を受けました。これに対し私は「実は当初『近世の公用通行をめぐる…』にするつもりだったんですけど、そのタイトルだと本が売れないようでして…」と、ただただ恐縮しておりました。

しかしながら、出版から3年後、丸山先生は私に気を遣ってくださったようで、ご自身の発表論文でも「公用交通路」という表現を用いられました。正直、今までまったく存じあげませんでした。

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【備忘】 東広島市『広報東広島』№593(2023年9月号)

2023年08月25日 23時03分01秒 | いち研究者としての日記

東広島市より標記の広報紙が発行されて、紙媒体のものが自宅へ配達されるとともに、市役所HPでもアップロードされました。

私が広島大学で分担している職務の1つに、広島大学創立75+75周年記念事業があります。少しだけ具体的にいえば、私が大学院生博士課程後期時代に所属していた文学研究科は他の研究科と合併し新たに人間社会科学研究科が誕生しているのですけど、その研究科が独自に催すイベントの補助を担当することとなったのです。この1つに、今年10月の第1週平日、東広島市役所の1階ロビーで科内研究成果のパネル展示をおこないます。今回私が関わっているイベントの告知は、広報紙11ページ右上に掲載されました(広告の投稿者は私です)。

 

広報東広島_令和5年9月号(No.593)|東広島市ホームページ

今月号の特集は「米どころ 東広島」です。特集ページは2~5ページ、ぜひご覧ください。

 

 

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【受贈】 國學院大學博物館編『春の特別列品 土御門家がみた宇宙(そら)―江戸時代の天文観測―』(2023年4月)

2023年08月24日 20時13分47秒 | いち研究者としての日記

学会委員の仕事でもお世話になっている岩橋清美先生より、標記の展示パンフレット(A4判全7頁)を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

企画展は、標記の博物館で令和5年(2023)4月1日~5月14日に催されたものであり、岩橋先生は、パンフレットで第2章「近世―土御門家の彗星観測―」と第3章「天文に魅せられた人々」との執筆を担当しています。岩橋先生の仕事は、1つの天体現象につき、土御門家という代々主に天文道を仕事としてきた公家ばかりにとどまらずさまざまな階層の記録をはば広く集めていくことで、当時階層ごとのリテラシーや受けとめ方を見とおしていくものです。もちろん、同じ社会階層のなかでもリテラシーの差異はあるでしょうから、1つの古文書史料だけでただちに全体像を見とおすまでには至りません。しかし、それを少しでも実現すべく、将来全国的に史料を蓄積させていく重要な道筋をつけるものと考えます。

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【備忘】 本ブログ訪問者のべ数が14万に到達

2023年08月17日 22時37分37秒 | いち研究者としての日記

久しぶりにアクセス解析を確認したところ、8月15日(火)、本ブログ訪問者のべ数が14万に到達しておりました。

本ブログが開設から8月15日まで4932日(13年半)ですから、

14万÷4932≒28.39

一日平均約28.4人が訪問してくれています。もっとも、私の投稿が不定期なので、実は日々の変動が激しいです。

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【備忘】 受贈の西海賢二先生研究成果物5点を読み終えて

2023年08月12日 00時42分21秒 | いち研究者としての日記

以上、西海(にしがい)賢二先生からお贈りいただいた研究成果物5点につき、ひととおり読んだうえで概要を書き綴りました。

西海先生が開設した石鎚神社会館内「西海文庫」(愛媛県西条市)をめぐっては、昨年度まで愛媛県滞在日に時折、収蔵図書目録作成の手伝いに訪問しておりました。しかし、広島大学の常勤職に就いた今年度に入ってからは、その機会が無くなりました。にもかかわらず、引き続きお気遣いくださっておりますので、このお礼を兼ね、また機会を作り手伝いに参りたく考えております。

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【受贈】 石鎚敬神婦人会報『たかね』第55号(2023年7月)

2023年08月11日 23時20分50秒 | いち研究者としての日記

西海(にしがい)賢二先生より標記の会報を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。

この68~81頁には、

西海賢二《特別寄稿》「接待所と石鎚参詣―石鎚黒茶の製造技術国指定重要無形民俗文化財指定によせて―」

が掲載されています。西海先生の尽力で「石鎚黒茶」が国指定の重要無形民俗文化財に指定されたことをめぐり、喜ぶだけで満足せず「伊予の高嶺」の財産としてこれからどうあるべきかまで念じながら、その歴史を解説しています。

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【受贈】 西海賢二『奉納物に石鎚信仰の歩みを読む―絵馬・扁額・常夜灯(鳥居)・頌徳碑・絵葉書などから―』(西条市立西条郷土博物館、2023年6月、全17頁)

2023年08月11日 22時34分27秒 | いち研究者としての日記

西海(にしがい)賢二先生より標記の成果物を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。

この書物は、令和5年(2023)の1月12日より3月19日まで、愛媛県の西条市立西条郷土博物館で催された企画展「祈りの美―絵馬に願いを込めて― 西海文庫コレクションより」に臨み編集した資料解題といえるものです。タイトルにあるとおり、西海先生がみずから石鎚神社会館内に開設した「西海文庫」の収蔵コレクションを展示のメインとしています。

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【受贈】 西海賢二「江戸時代の今弘法顕彰碑は文化財になり得るか―木食観正を中心にして―」『西條史談』第115号(2023年7月)

2023年08月11日 22時04分09秒 | いち研究者としての日記

西海(にしがい)賢二先生より標記論文の抜刷を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。論文の掲載は25~55頁です。

この論文では、埼玉県の越谷市内で確認された「木食観正碑」につき、文化財的な価値を、日本の民間宗教者と地域社会のありように留意しながら考察しています。単に現物を見て批評するものでなく、日本宗教史研究史や関連用語の整理、周辺史料の分析など、外堀を入念に埋めながら論を進める仕事が特長に挙げられましょう。

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【受贈】 常民文化研究所『コロス』第174号(2023年8月)

2023年08月11日 21時26分52秒 | いち研究者としての日記

西海(にしがい)賢二先生より標記の会報を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。

この会報には、

西海賢二「続史料もて史料を、伝承もて伝承を」

西海賢二「自治体史編さん事業の現況と課題―ある自治体史丸投げの実態から―」

2本の論考が掲載されています。前者は、前号の論考で言及した江戸時代現愛知県域の豪農古橋家で19世紀前半に当主を務めた人物につき、その後継者「人生儀礼」に関する史料を、翻刻しながら解説しています。後者では、自治体史誌編さん事業の歴史につき本質的な問題点を(教団史2ヶ所を含め)27もの自治体に関わってきた経験から、実例を挙げつつ提起しました。私自身が現在、専門のテーマとは別途、自治体史編さん事業史研究も進めている立場だけに、先生自身の経験を記述した文章に接し、かかる歴史との向き合い方を改めて考えさせられました。

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【受贈】 常民文化研究会『コロス』第173号(2023年5月)

2023年08月11日 21時04分21秒 | いち研究者としての日記

西海(にしがい)賢二先生より標記の会報を1冊、私へも贈ってくださりました。ありがとうございます。

この会報には、

西海賢二「史料もて史料を、伝承もて伝承を 文化史学者としての民俗学者―萩原龍夫先生からの指導によせて―」

が掲載されています。萩原達夫先生(1916~1985年)とは、明治大学文学部で教授を務めた日本中世宗教史の研究者であり、民俗学界とのつながりももっています。まず西海先生とのあいだで交わした手紙複数を翻刻しやりとりを紹介したうえで、研究業績を概説しながら、その研究スタンスや後進の研究者に及ぼした影響まで論及しています。

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【受贈】 濱保仁志「近世岩国における軍学の採用とその背景」『岩国徴古館調査報告書』第3号(2023年3月)

2023年07月03日 22時29分14秒 | いち研究者としての日記

濱保仁志さんより標記論考の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

江戸時代岩国領(吉川家)の軍学(兵学ともいう)史につき、曖昧に複数の流派があったと述べる先行研究に対し、甲州流(武田流)と越後流(上杉流)双方の系譜描出を試みつつ江戸時代後半の政庁における立ち位置の違いを見通しています。大雑把にいえば吉川家は、家の歴史的なつながりから、福岡藩黒田家の甲州流を導入して主流にしました。

表面だけサラっと読めば、領主の立場からするといかなる軍制を整えるかは自身が生きるか死ぬかを左右する重要課題なのに、先祖のつながり云々を理由にするとは、実戦のない平和な時代ならではという印象を抱くでしょう。戦後生まれの現代人が率直にそう思う理由を政治の記録に残すということは、何か裏があるのでは?と、勘ぐってしまいますよね。

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【受贈】 濱保仁志《資料紹介》「『覚(山口・長府・馬関探索報告)』について」『岩国徴古館調査報告書』第2号(2022年)

2023年07月02日 01時11分11秒 | いち研究者としての日記

濱保仁志さんより標記小論文の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

岩国徴古館所蔵資料のうち、文久3年(1863)6月5日発生フランス軍艦下関砲撃事件の関連情報を伝える岩国領吉川家家臣森脇主税(修)報告書の記録について、翻刻し紹介したものです。

率直に、課題点と感じたのは《資料紹介》の論文種別におけるタイトルの付け方ですね。今や、若手どころかベテランの研究者までインターネットで論文を検索する時代。標記のようなタイトルの付け方だと、キーワード検索ではヒットせずスルーされる可能性がありましょう。察するに、そもそも掲載誌が所蔵館の調査報告書ゆえタイトルで所蔵館名を省略しても差し障りないこと、文字数が多すぎるのは論文タイトルとして不適当なこと、により標記のものとしたのではないでしょうか。しかし、ネットのキーワード検索でスルーされないことを念頭に置けば、所蔵館名と対象時期の情報はタイトルに含ませるのが望ましいでしょう。

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【受贈】 林泰正《博士学位論文》「近現代の岐阜県中濃南部地域における鉱業・交通・観光事業に関する地理学研究」(2020年)

2023年07月01日 23時58分28秒 | いち研究者としての日記

地理学者の林泰正さんより標記の中部大学大学院博士学位論文を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

製本化された論文は、ソフトカバー片面A4判で、頁数は77。「はじめに」「おわりに」に本論部分7つの章を加え、計9章で構成しています。内容については、林さんがそれまで学術誌などで発表してきた論文3本にもとづきつつ書き下ろしも加えながら成しました。題名のとおり、岐阜県中濃南部地域の近現代史的展開を、地理学の視点により鉱業・交通・観光事業をキーワードにしながら説明しています。

さまざまな大学院のさまざまな分野の博士論文を読んでいると、それぞれの論文作成文化が垣間見え、興味深いです。

 

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【受贈】 林泰正「近現代木曽川中流部における舟運の変容と川湊の土地所有の変化」『人文地理』第71-1号(2019年)

2023年06月30日 01時28分52秒 | いち研究者としての日記

地理学者の林泰正さんより標記論文の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。

東海地方を流れる木曽川の中流域につき、近代以前から続く舟運(川舟)が鉄道敷設の影響を受けて衰退し観光業へシフトしていくなか、流域の社会(川湊)で生じた変化を、土地所有の視点を踏まえながら考察しています。林さんの研究手法は、対象の社会で生じた変化を10年単位で、数値・ビジュアルの両面より見やすく、地理学者以外の人間にとっても学びやすいものと思います。

 

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【受贈】 林泰正「昭和初期に廃止された鉄道跡地の解体―岐阜県可児市広見地区・東農鉄道を事例として―」『人文地理』第66-2号(2014年)

2023年06月29日 23時31分02秒 | いち研究者としての日記

地理学者の林泰正さんより標記論文の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。林さんとは、今年5月に宇都宮大学で開催された交通史学会大会で知り合いました。

鉄道ファンの一人としては「可児」「広見」といえば、すぐ名鉄を連想します。しかし、この地域をめぐり昭和初期、鉄道網再編にともなって東農鉄道の路線廃止がありました。その線路敷地が廃止後いかに解体されていったのかを、土地所有の視点を踏まえつつ分析しています。こうして、戦後高度経済成長で宅地化が進む前の時代は、農地としての評価の高低が地域ごとに跡地解体の相違を生んでいくと、見とおしました。

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