山口県地方史学会に投稿していた標記の小論文を掲載する『山口県地方史研究』第126号が完成し発行されました。掲載は83~88頁で、私にとれば初めての、学校教育者向けの投稿です。
江戸時代史だと文政8年(1825)異国船打払令で有名な史料用語「異国船」ですが、一般的に異国は、単純に外国の古語として認識されることでしょう。しかしながら、日本史学の辞典のなかには、これとは違う意味で説明したものがあるのです。この点は、鴨頭俊宏「高知県域の自治体史誌と近世史用語『異国船』」『史学研究』第305号(広島史学研究会、2020年、招待執筆)で、分析における着眼点として言及しました。ただ、日本史の教科書に登場する用語だけに、学校教育の現場でも論点となりえましょう。そこで「異国船」につき、日本近世史研究、山口県域の自治体史誌、高校日本史Bの教科書でいかに扱われているかを概観しつつ、学校での歴史教育においていかに向き合わせるべきか、見解を述べています。
もっとも、高等学校の場合は、令和4年(2022)入学生より新教育課程が実施され現行の高校日本史Bは無くなるみたいなので……、残り時間の少ない教科書に対する提言となってしまいましょう。