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中年を越したフツウの人間は、日々のsame old routineに乗っかったままで、何かの重大事が身に振りかからない限り、振り返りをしなくなる。
主人公は定時制高校の教頭、定年まであと1年というところで、認知の症状が出始める。そこで家族・友人への情が湧き上がり、人生の振り返りを始めるのだが。
妻、娘、20代半ば近い教え子との
関わりを見直そうとするのだが、
3者はそれぞれに冷めており、主人公は何度打席に立っても、空振りに終わってしまうのだ。
唯一幼馴染の男が、語らずとも主人公の心情を汲み取っている。
このところ、話題作には必ず顔を見せる妻役の坂井真紀は言うまでもなく、教え子役・吉本実憂の冷めきった演技、響きました。
光石研の前回の主演作は2011年の『あぜ道のダンディ』。作品では親友役・田口トモロヲとの掛け合いが秀逸だった。今作の幼馴染は松重豊vs光石研が、見どころです。
名脇役はいつ主役が回って来てもノープロブレム!