『シャーロック・ホームズ最後の解決』 マイケル・シェイボン (新潮文庫)
噂の紀伊国屋闇鍋ブックフェア(正式名称は「ほんのまくらフェア」)での購入本。本の枕(出だしの一文)だけを頼りに、感性で本を選びましょうという企画。って、これ書いちゃうとネタばれ?
印象的な枕(小説の冒頭の一文)から、ファンタジー系のミステリかと思いきや、なんとシャーロック・ホームズの二次創作系。二次創作といっても、同人誌じゃないよ。薄いけど。
ちょっと予想外だったけど、マイケル・シェイボンはヒューゴー&ネビュラのダブルクラウン作家だからな。ある意味順当。
カバーに隠されていた表紙のインパクトも、枕に違わずかなりのものだが、内容はどちらかというと静かな人情ミステリ。
年老いて身体もよく動かなくなったホームズ(実は本文中には明確に名前が出てこないので、タイトルはネタバレ)が、第二次世界大戦末期のイギリスの片田舎で、ユダヤ人少年とオウムを巡る事件に巻き込まれる。
解説によると、タイトルが「最期の解決(Solution)」となっていることが、いろいろ味噌らしいのだが、このあたりのニュアンスはあんまり理解できていない。
結局のところ、オウムが記憶している数列がナチスの宝のありかか何かを示していると思われて事件に巻き込まれたわけだが、そんなものはありはしない。
その真相は、なんとオウム視点のパートとしてちょっとだけ描かれている。このオウム視点パートが一番の読みどころだったか。
とにかく薄い本(物理的に!)なので、あんまり世界に浸る感じではないが、ホームズが晩年まで生きていればこんな感じかなと説得力のある話ではあった。
少なくとも、最近の映画版とかよりは……。ところで、ワトスン博士ってどうなったんだっけ?(→『屍者の帝国』に続く(嘘))
ちなみに、同行者はフェアで2冊買ったら両方ともハヤカワ文庫(SFとJA)という引きの良さ。なんだ、SF好きなんじゃない(笑)