『量子怪盗』 ハンヌ・ライアニエミ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
『奇巌城』? そんなん、小学生の頃に読んだけどすっかり忘れておるわい!
怪盗アルセーヌ・ルパンの再来、あるいは、ルパンⅢ世の再来とか、美少女と怪盗のめくるめく大冒険とか、下手をしたらラノベ並の煽り文で紹介されていたので、その気で読んだらまったくの意味の分からなさにすっかり眠たくなってしまった。
この小説の正体は、チャールズ・ストロスやケン・マクラウドのような、いわゆるシンギュラリティもののニュー・スペース・オペラ。人智を超えた技術が次々と説明も無しに出てくるので、それについていくのが精一杯。しかもそれらは字面から想像するだけなので、いったい何が何だかさっぱり。
さらに、バーチャルとフィジカルの区別も曖昧で、どこからが仮想でどこからが現実なのかもさっぱりわからず。っていうか、この小説内現実すべてがバーチャル落ちでも不思議ではない。
この幻惑感を是とするか、否とするかが好みの分かれるところ。
基本的なプロット自体はルパンである程度ネタバレなのかもしてないけれど、このシンギュラリティど真ん中なガジェット山盛りによって、やたらと読みずらいし、何が起こっているのか、半分も理解できなかった。
そりゃ、通勤電車の中で寝ぼけながら読んでいるんだから無理だ。正月休みにでもちゃんと読み直そう。
結局、ル・ロワって、ジャン・ル・フランブールの別バージョンだったという理解でいいのか?
最後の幕間は過去のカットバックではなく、エピローグの位置付けだと思うのだけれど、3つ目のゴーゴリが何のことかよくわからん。ミエリの中にいるペリグリーニってことか?
しかも、続くのかこれ。
ちょっと軽めの小説を読みたい気分だったのだけれど、当てが外れてダメダメなのであった。