『巨神計画(上下)』 シルヴァン・ヌーヴェル (創元SF文庫)
ちょっとびっくりするくらい日本アニメに毒された、じゃなかった、影響されたカナダ発のSF小説。
会話記録のみで進む構成も話題の小説で、そんなこんなの評判を知ってからの入手。
正直言って、会話記録のみの構成は、最初のうちは背景が良くわからずに戸惑ったが、物語の全貌が見えてから超特急な感じ。特に、解説でも言及されているような、インタビュアー役の主人公が現場から実況でもするように記録された部分は臨場感抜群ですごかった。
登場するロボットは、背中から搭乗して内部から操縦するというスーパーロボット系。しかも、太古の宇宙人が残したオーパーツ。ってことで、操縦方法も『ライディーン』っぽい。
解説で『ゴッドマーズ』や『ザンボット3』が言及されているのは合体するところからなのだろうけれど、はたしてこれは合体なんだろうか。部品を集めて完成させるという意味では、『どろろ』なんかも思い出される。
そんなこんなで、幼少時代をロボットアニメどっぷりで過ごした人たちは熱狂間違いなしで、この小説を起点に、あっちこっちに脱線しながら一晩中でも語り明かせそうな作品。
さらに、主要登場人物があっさり退場したり、ああなっちゃったり、こうなっちゃったり、とにかく大変。ちょっと想像を超えた展開を見せたのにも驚かされた。
この辺りは少年少女が主人公となることが多い日本アニメとは違って、オトナのドロドロしたところだとか、国家のなんとかとか、ごにょごにょ。
SF的には、超兵器を大国が入手したらというifの物語でもあり、そういう議論も興味深い。特に、秘匿ではなく公開に傾くあたりが、インターネットによって変わりゆく社会を象徴しているようでもあり、おもしろい。
エピローグも、まさかという展開になっていて、次作へ続く。これは日本での出版が待ち遠しい。
しかし、これ、本当に映画化するのかね。