神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 寄港地のない船

2016-03-31 23:59:59 | SF

『寄港地のない船』 ブライアン・オールディス (竹書房文庫)

 

なぜに今さらという感じではあるが、オールディスのなんと初邦訳作品。

タイトルからしていきなりネタバレしているけれども、文明が退行しつつある世代宇宙船内の話。

世代宇宙船といえば、ハインラインの『宇宙の孤児』が有名だが、これはそれを下敷きにしたオールディス流の回答版。「本当に頭がふたつあるの?」にはクスっとさせてもらった。

戦時中(!)に東南アジアで過ごした経験が元になっていると言われるジャングルや変異しつつある生態系の描写は、かの代表作『地球の長い午後』を思わせる。そのジャングルを切り開くと通路や部屋があって、過去の遺物が残っているという設定は、世界の謎解きという面からもワクワクする。世界樹の迷宮かよ!

基本的に科学技術の多くが失われた設定なので科学考証的にボロは出にくいが、この宇宙船が何なのか、どこからどこに向かっているのか、なぜ文明が退行したのかといった設定面はまったく古びておらず、びっくりする。

当初の目的地も11光年かそこらなので、どこぞの宇宙戦艦が目指したマゼランと比べると現実味がある。生まれる前どころか、約60年も前に書かれた小説なのに、ぜんぜんレトロフューチャーじゃなかった。

知能を持ったネズミなんかも出てくるので、そもそも彼らはヒトなのかという疑問を持ちながら読んでいたので、すべての謎が解明されたときには、ああそっちだったのかという驚きとともに、納得感があった。最終的には、実は××だったというありがちなオチから、人間怖い系の展開になっていくのだけれど、1958年という発表年を考えると、いろいろな類型の元祖としてリスペクトせざるをえない。

 

[SF] 寄港地のない船
『寄港地のない船』 ブライアン・オールディス (竹書房文庫)
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6030701

http://www.takeshobo.co.jp/photo/shohin/9784801903555-m.jpg
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6030701


なぜに今さらという感じではあるが、オールディスのなんと初邦訳作品。
タイトルからしていきなりネタバレしているけれども、文明が退行しつつある世代宇宙船内の話。
世代宇宙船といえば、ハインラインの『宇宙の孤児』が有名だが、これはそれを下敷きにしたオールディス流の回答版。「本当に頭がふたつあるの?」にはクスっとさせてもらった。
戦時中(!)に東南アジアで過ごした経験が元になっていると言われるジャングルや変異しつつある生態系の描写は、かの代表作『地球の長い午後』を思わせる。そのジャングルを切り開くと通路や部屋があって、過去の遺物が残っているという設定は、世界の謎解きという面からもワクワクする。世界樹の迷宮かよ!
基本的に科学技術の多くが失われた設定なので科学考証的にボロは出にくいが、この宇宙船が何なのか、どこからどこに向かっているのか、なぜ文明が退行したのかといった設定面はまったく古びておらず、びっくりする。
当初の目的地も11光年かそこらなので、どこぞの宇宙戦艦が目指したマゼランと比べると現実味がある。生まれる前どころか、約60年も前に書かれた小説なのに、ぜんぜんレトロフューチャーじゃなかった。
知能を持ったネズミなんかも出てくるので、そもそも彼らはヒトなのかという疑問を持ちながら読んでいたので、すべての謎が解明されたときには、ああそっちだったのかという驚きとともに、納得感があった。最終的には、実は××だったというありがちなオチから、人間怖い系の展開になっていくのだけれど、1958年という発表年を考えると、いろいろな類型の元祖としてリスペクトせざるをえない。



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