『SF Japan 2009 AUTUMN』(徳間書店)
![](http://www.tokuma.jp/book/bungei/sf-japan2009-autumn/image_prof)
『2008 WINTER』の成り行き吸血鬼特集に続き、今回は成り行きJ-SF特集。
J-SFって何さ。
J-Pop、J-ブンガク、J-Walkで「何も言えなくて」?
ハヤカワは“僕たちのリアルフィクション”やめちゃって、Jコレクション一本みたいですが、徳間はJ-SFってレーベルでも立てるのか?
とか、いろいろ3秒くらい考えたけど、J-SFの正体は「時代SF」。
一通り読んでみたところ、古代/中世日本を舞台にしたものにかぎらず、時代劇っぽいSFのことですかね。
『S-F マガジン』でも、谷甲州や朝松健が時代SFを連載していたので、確かにシンクロニシティ。
で、巻頭掲載の久美沙織『夜の虹』を読んでいて思ったんだが……。
欧米小説でシェイクスピアの引用が出てきたりするじゃないですか。しかも、欧米ブンガクかぶれの日本人作家もシェイクスピアだの、聖書だのを引用したり。
日本人でシェイクスピアを暗唱できたりする人はあまりいないし、格好いいと思われている節がある。TVドラマの『小公女(志田未来は名前がSFっぽい)』でもやってたし。でも、あれって、文化が根ざしているからこそ、意味があるんだよね。
正直言って、ダン・シモンズの作品も、シェイクスピアやオデュッセウスを読んで無くても面白いんだが、やっぱり日本人には理解できない部分が絶対あると思っている。
ところで、日本にもあるじゃないですか、そういうの。あなたも暗唱できるでしょ。
“祇園精舎の鐘の声……”とか、“春はあけぼの……”とか。
『夜の虹』に出てくるのは万葉集だけど、なんとなく聞き覚えがあるでしょ。
山田正紀の『イルミナシオン』はランボー(乱暴者の方じゃなくて、詩人の方)が主役だが、これにも万葉集が出てくる。
内地の人は、百人一首だったら、結構暗唱できたりするんじゃないのか。道民は教養が無いから下の句しか知らないけどな!
聖書やギリシャ神話を引用する前に、古事記とか日本書紀とかを引用したらどうだろう。その方が日本文化に根ざした小説にもなるし、返って世界にも通用するものが出来るんじゃなかろうか。
……え、右翼?
まぁ、そんなわけで、時代SFというか、和製SFは大歓迎なのだが、“J-SF”という呼称はどうかと思う。
『夜の虹』 久美沙織
○:うっひゃ、男の娘。しかも皇族。萌えるかっ!
『人喰い納豆』 タタツシンイチ
◎:醸すぞ醸すぞぉ~。
『葉コボレ手腐レ死人花』 中里友香
△:タイトルは秀逸なんだが、いかんせん読みづらい←J-SFを勧めておいてそれかよ(笑)
『とんぼ』 北國浩二
○:これだけじゃ、ちょっとなぁ。連載しないの?
『つつがなきよう』 新井素子
△:アイディアは面白いんだけど、一発もの。新井素子にしては……。
『ゴースト』 図子慧
○:これもちょっと、消化不良。オープンエンドなんじゃなくて、ただの尻切れ。
『呪文』 貴志祐介
○:『新世界より』の世界が宇宙規模に広がったような話。
時間を越える部分をSF的に解決できないと、オカルトホラーで終わってしまうと思うのがSFファンの嫌なところ。
イラスト先行小説は、やっぱりやめた方がいいと思う。
これだけの作家をつぎ込んでも、面白い小説が出ていない。
題材が抽象画みたいなイラストだから、同じイラストから生まれたという面白さも出ていない。
もっと小道具を共通化するとか、別な形の競作の方が言いと思う。
『2008 WINTER』の成り行き吸血鬼特集に続き、今回は成り行きJ-SF特集。
J-SFって何さ。
J-Pop、J-ブンガク、J-Walkで「何も言えなくて」?
ハヤカワは“僕たちのリアルフィクション”やめちゃって、Jコレクション一本みたいですが、徳間はJ-SFってレーベルでも立てるのか?
とか、いろいろ3秒くらい考えたけど、J-SFの正体は「時代SF」。
一通り読んでみたところ、古代/中世日本を舞台にしたものにかぎらず、時代劇っぽいSFのことですかね。
『S-F マガジン』でも、谷甲州や朝松健が時代SFを連載していたので、確かにシンクロニシティ。
で、巻頭掲載の久美沙織『夜の虹』を読んでいて思ったんだが……。
欧米小説でシェイクスピアの引用が出てきたりするじゃないですか。しかも、欧米ブンガクかぶれの日本人作家もシェイクスピアだの、聖書だのを引用したり。
日本人でシェイクスピアを暗唱できたりする人はあまりいないし、格好いいと思われている節がある。TVドラマの『小公女(志田未来は名前がSFっぽい)』でもやってたし。でも、あれって、文化が根ざしているからこそ、意味があるんだよね。
正直言って、ダン・シモンズの作品も、シェイクスピアやオデュッセウスを読んで無くても面白いんだが、やっぱり日本人には理解できない部分が絶対あると思っている。
ところで、日本にもあるじゃないですか、そういうの。あなたも暗唱できるでしょ。
“祇園精舎の鐘の声……”とか、“春はあけぼの……”とか。
『夜の虹』に出てくるのは万葉集だけど、なんとなく聞き覚えがあるでしょ。
山田正紀の『イルミナシオン』はランボー(乱暴者の方じゃなくて、詩人の方)が主役だが、これにも万葉集が出てくる。
内地の人は、百人一首だったら、結構暗唱できたりするんじゃないのか。道民は教養が無いから下の句しか知らないけどな!
聖書やギリシャ神話を引用する前に、古事記とか日本書紀とかを引用したらどうだろう。その方が日本文化に根ざした小説にもなるし、返って世界にも通用するものが出来るんじゃなかろうか。
……え、右翼?
まぁ、そんなわけで、時代SFというか、和製SFは大歓迎なのだが、“J-SF”という呼称はどうかと思う。
『夜の虹』 久美沙織
○:うっひゃ、男の娘。しかも皇族。萌えるかっ!
『人喰い納豆』 タタツシンイチ
◎:醸すぞ醸すぞぉ~。
『葉コボレ手腐レ死人花』 中里友香
△:タイトルは秀逸なんだが、いかんせん読みづらい←J-SFを勧めておいてそれかよ(笑)
『とんぼ』 北國浩二
○:これだけじゃ、ちょっとなぁ。連載しないの?
『つつがなきよう』 新井素子
△:アイディアは面白いんだけど、一発もの。新井素子にしては……。
『ゴースト』 図子慧
○:これもちょっと、消化不良。オープンエンドなんじゃなくて、ただの尻切れ。
『呪文』 貴志祐介
○:『新世界より』の世界が宇宙規模に広がったような話。
時間を越える部分をSF的に解決できないと、オカルトホラーで終わってしまうと思うのがSFファンの嫌なところ。
イラスト先行小説は、やっぱりやめた方がいいと思う。
これだけの作家をつぎ込んでも、面白い小説が出ていない。
題材が抽象画みたいなイラストだから、同じイラストから生まれたという面白さも出ていない。
もっと小道具を共通化するとか、別な形の競作の方が言いと思う。
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