TSUTAYAの更新特典でレンタル。他にも見たいのがあったのだけれど、どうせなら新作をということで。
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンはヴァンパイヤ・ハンターだったというぶっ飛び設定のアクション映画。あの偉人に対して、よくこんな設定が許可されたな。
とはいえ、リンカーンと言えばやたらと背が高く、若いころにはプロレスまがいの試合に出たこともあるということで、ヒーローにはある意味最適。この映画の斧を使ったアクションシーンもなかなか。
しかし、当時の奴隷制度を、ヴァンパイヤとしもべ(もしくは家畜)の関係に例えるのはどうなのだろう。特に、昨今の在特会を巡る差別と反差別と反“反差別”の議論を見ていると、どうしても引っ掛かりを覚える。
つまり、奴隷制度賛成者はヴァンパイヤと同じで、力によって(残忍に!)退治されても構わないという主張につながらないか。それは、新たな差別ではないのか。それが、まさしく反“反差別”の主張ではないのか。
いみじくも、南北戦争とゲティスバーグの演説、それによる奴隷制度の終結を描くのであるならば、ヴァンパイヤの殲滅ではなく、共存を探る道も描かれるべきではなかったのか。
というわけで、確かにおもしろいのだけれど、その寓意はかなり危険度が高いのではないかと心配するのであった。
もっとも、この映画を見てヒャッホーする分には、まったく意味のない心配ではあるのだけれどね。
いや、ラストのオチからすると、それこそ憂うべきものだというべきなのか。
それから、この映画を観た後でリンカーンの伝記を読むと、きっとおもしろいよ。実在の人物がどういう役柄を押し付けられたのか、対比を取ってみるとあまりのミスマッチさに笑えること請け合い。
注:ここで言及している「反“反差別”」とは、反差別活動の方法論に対する批判であって、差別肯定主義のことではない。
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