鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

スパイスの世界21 ディル(2回シリーズその1)

2013年07月20日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 【ディル】和名はいのんど。桔梗類せり科の一年草。種子と茎を使用する。葉はアスパラガスやツクシのような互生する裂開した柔らかな葉である。キャラウエーに似た芳香を持つ。刺激性のある香りで、辛みもある。スープやサラダにも使うが、ピクルス(キュウリの酢漬け)には欠くことが出来ない。ピクルスに使うキュウリは我が国の細長いものではなく人差し指ぐらいの太ったキュウリである。このピクルスはスライスして、ハンバーガーやサンドイッチに入っていることもある。カレーライスの漬け物として出された記憶もある。

 新宿の中村屋はチキンカレーで有名であるが、本来は中華料理が専門で、月餅や中華まんじゅうも売られている。インドから政治亡命したビハーリーボース(チャンドラボースと同時代の反英独立運動革命家)を、かくまってくれたお礼に、初代の社長にインド料理のレシピを教えたそうである。現在は改装中であるため食品売り場は閉鎖しているが、レストラン(フルーツの高野ビル最上階)は開店しており、チキンカレーを注文すると、キュウリのピクルスを出してくれる。また1階の食品売り場でも自家製のピクルスを売っているが、ここも残念ながら閉店中である。
 原産は西南アジアから中央アジアで、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアで栽培されている。語源は北欧スカンジナビア語で、癒すという意味である。消化器官の鎮静効果があるといわれている。5000年前のエジプトの廃墟からも出土した記録があり大変古くから利用された薬草である。

 香辛料は現在でも漢方薬に用いられているものも多くあるが、古代から植物が持つ成分が特定の病に効果があると知ることは、部族の長の役割であった。シャーマンや呪術師が民を治めるため、病を治す力を持つ大事な要素でもあった。世襲でシャーマンが存在したことは、医師のいない時代にはその代わりを果たしたことが伺える。文字のない時代には、親から子へ、生育地に行って実物を見せ、どのように使うかの実演による伝達があったようで、部族によっては約2000種の薬草を知っていたそうである。想像するに、動物が特定の草や木を食するのを見て、学んだのかもしれない。この中には現在我々が使っている香辛料の多くが含まれていたと思える。(次回へ続きます)