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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

アウトリーチ(2回シリーズその2)

2013年07月26日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 さて、アウトリーチが必要といわれているようになったのは、対応の遅れが重大事故に繋がり、情報の共有化が必要な事態が頻発しているからである。障害者、生活困窮者等の孤独死、ストーカーによる被害、独居老人対策、介護疲れによる無理心中、いじめによる不登校、家庭内暴力(DV:ドメスティックバイオレンス)高齢者等の災害時における避難活動等、いずれもが放置すれば重大な災害や事故に繋がるリスクを持ち、現実に事故が起きている内容であるため、安全・安心の社会構築のためには避けてとおることが出来ない事態であるからだ。

 アウトリーチをする業務は、今に始まったことではない。民生委員、各ケースワーカー、保護司、カンセラー、コンサルタント等有償無償を含め、機能してきたように見える。なぜ過去形かといえば、現在でもそれらの業務に携わる専門家は多いが、上述したように、横の連携というか、縦割り行政の弊害を抱えているからで、制度疲労といった様相を呈している。

 民生委員はその中心的存在であるが、一人で200世帯もの膨大な対象者を抱え、殆ど無償の奉仕活動であり、高齢者や女性が多く、慢性的な定員不足になっている。なり手がかつてのような名誉職として、地域の名士が担当していた時代とは異なり、取り扱う内容は幅広く、個人では対応が困難なケースが多く、複雑化しているからである。更に対応を困難にしているのが、個人情報の保護に関する法令である。個人情報については使用目的や内容を申請し、第三者が請求することが出来る。所定の手続きを踏めば開示できる規定があり、全てが開示できないわけではない。

 確かに、個人情報を管理する役所が何も情報を出さなければ、手ぶらで訪問してもリスクを回避するまでには至らず、相談にも乗れないであろう。多くのボランティアが同様な状況に置かれており、本来、住民税で給与を貰う役人がアウトリーチを積極的に行わなければならないのに、民生委員という使い勝手のよいボランティアを使い、権限だけを誇示する制度となっている。これらの奉仕者の活動の手足を縛るようでは制度の意味をなさない。形骸化するのは当然といわなければならない。

 情報の漏洩はどの組織にもあり、その管理は大変重要と考えるが、業務に必要な個人情報は管理の徹底を図り、漏洩を絶対に起こさないという業務の進め方を行う必要はあるが、かといって民生委員のようなやり方は大いに疑問が残る。(このシリーズ最終回です)