古くはご用聞きと称し、週に何回か注文を受ける店員が来宅したものである。生活用品の大部分はそれで用が足りていた。宅配や、再びご用聞きのシステムを取り入れ始めた店舗が話題に上ってきた。日中、若い世帯では留守をしている家が多いが、いずれかの時間帯には、在宅しているのであるから、注文を聞き取る時間帯は所帯によって変わる。個人情報保護の下、情報を取るには簡単ではないであろうが、これこそ蓄積と信頼獲得無しには展開できない。店舗を開けて昔通りの待ちの姿勢では再興は難しいであろう。
ピザや寿司店の出前だけではなく、外出が困難な方や料理を作ることが出来ない場合などには、シロウトの戯言であるが、食堂なども変わる必要があろう。欧米で人気のパーティ等出張料理(ケータリング)が好まれる社会が到来するかもしれない。業態をくっつけるハイブリッド型は、仕出し店と介護専門家や栄養士が一緒になって行うサービスなども考えられる。
自宅の近所にあった小さいながらも生活品を売っていたマーケットが、シャッターが閉められて久しいが、当時人気店であった店舗は隆盛を誇った時代には、客を客として接しない傲慢さが出ていたことが、閉店の一因であった思う。おごれるもの久しからずで、近くに大手のスーパーマーケットが進出すると、便利であったマーケットはスーパーの隆盛とは逆に衰退していった。やはり地域から末永く愛されるためには、それなりの真摯な態度が欠かせない。
閉店の憂き目にあわない商店街も多い。例えば、東急線沿線の戸越銀座の商店街は住宅や店舗の密集で、大型のスーパーマーケットが進出する設置条件が合わないため、活況を呈している。ここでは住民の総意が結集し、地域の町作りに貢献した好事例である。(このシリーズ最終回です)