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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

浮遊粉塵(2回シリーズその1)

2014年01月08日 00時00分01秒 | マニュアル

 初詣で有名な成田山新勝寺での年始に向けて行う、煤(すす)払いがテレビで放映されていた。
境内にこの1年に溜まった埃を長い竹笹を使って僧侶や信者が埃を払う年中行事である。
ご本尊の不動明王像は丁寧に布で拭いて清めていた。圧巻だったのは、講堂の畳間の掃除である。竹棒を両手に持ち、若い僧侶が作務衣を着て手ぬぐいを被り、マスクをして、横一列に並んで畳を叩く。大音響が講堂内に響き渡り、埃を巻き上げる。

 原始的ともいえるこの行事を見て、思ったことは、埃が飛散する風景である。一年間掃除もしなかったわけではないであろうが、よくもこんなに埃が溜まる不思議さと掃除の仕方であった。空気中に舞い上がった粉塵は容易には落下しない。吸塵機で吸い込む様子の放映はなかったので、どのように始末したのか疑問に思った。古くは畳の間の掃除ははたきで埃を払い、落下を待って茶殻か濡れた新聞紙をちぎったものを撒いて、静かにほうきで掃き集めていた。現在では掃除機があるのではたきで埃を払い落とすことはない。

 新勝寺の若い僧侶にはご苦労様といいたいが、埃の一種(エアロゾル)である中国の主要都市で発生するPM2.5(浮遊微粒子状物質 Particulate-Matter)の現象、春先に我が国まで飛来する黄砂、排気ガスが原因で発生する光化学スモッグ等、生活環境は時として劣悪環境に変わり、健康被害をもたらす。普通、吸い込んだ粉塵は肺で濾過され、痰(タン)として体外へ排出されるが、吸い込む量が多いと肺の機能を著しく低下させ、気管支炎、喘息、肺炎などの病気を引き起こす原因となる。

 職業病としては、石工等が吸い込む微細な石粉、駐車場のむき出しになっている鉄骨等に吹き付けたアスベスト(特に解体時に飛散する)、炭坑等鉱山労働者が吸い込む炭塵などによる珪肺がある。長年この物質を吸い込むことで徐々に肺の機能が破壊され、死に至る恐ろしい職業病である。(次回へ続きます)