鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

近所の寿司店(2回シリーズその1)

2014年01月18日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 近所にあった江戸前寿司店が店をたたんで久しいが、特に、来客があったときや、家族が居ないときなど、手軽に利用していたので、生活のパターが変わってしまった。とはいえ、決して寿司店が全て無くなったわけではなく、寿司が専門のファミリーレストランや回転寿司店がいくつもある。駐車場はいつも満車で、その繁盛ぶりが伝わってくる。孫からも回転寿司に行こうと誘われるが、自分はどうも足が向かない。「一度も行かないで、良い悪いをいうのはおかしいよ!」とまでいわれたが、いまいち乗る気にはなれない。

 嘗て通った寿司屋の存在が閉店し、無くなったことに対する拘りがあるのであろうか、さほどうまい店ではなかったが、地元のお客の会話にはいることや、黙っていても店の主人が好みのツマミを出してくれ、客が居ないときでも何かと気を遣ってくれた。店主は、自分が学生時代から本店の板前をしていて、結婚後、のれん分けで近所に店を持った。

 付き合った期間は30年を超える。店主は持病を持っていて、持病が悪化し、仕事が出来なくなり、しばらくは閉店の看板が掛かっていたが、おかみさんと共に出身地の福島へ戻ったと風の便りで知った。その後、店は解体し現在では職種が違う方の住まいになっている。健康を取り戻し、健在であればよいのだが、と思っている。

 寿司店は正月三ヶ日が一年で最も多忙で、次から次へとはいる注文をさばくのに夫婦二人では大変であったようであるが、元旦から毎日の雑煮に飽きた頃、のれんをくぐり、その忙しさを見ながら過ごしたことがあった。店主はもっぱら握りが専門で、おかみさんはすし飯の仕込みと巻物専門であった。近所の出前はおかみさんが配り、離れたところにはバイクで店主が配達していた。半日は居たであろうか、店を出たときには日も沈み、新年会の客が増え、座る場所もないほどであった。(次回へ続きます)