職業としての寿司を提供する生業(なりわい)は飲食店舗であり、お総菜業の面もあるし、客の接待業の側面もある。古くは二八そばなどと同じ屋台を持ち、移動販売であったというが、軽飲食の提供をしていた。軽飲食の提供は今ではハンバーガーやドーナツ、コーヒー店と類似している。酒類を提供することを見れば、居酒屋やスナックとも似ている。出前を行うことでは中華料理店、日本そば店、ピザ等と同様で、広く生活の中にとけ込んでいて、日本人の食生活の一端を示していると云える。また、町中の寿司店から、高級料理店としての寿司割烹まで様々な格式と格調を持ち、家庭での料理としても親しまれ、多くのバリエーションを持っている。
誰しも寿司店というと地元でなじみの店を数軒は持って居るであろう。回転寿司店が近所にもあり、休日は多くの家族連れで賑わっている。回転寿司は従来の寿司店を凌駕し、寿司業界の世界を一変させたエポックメーキングな現象である。回転する料理や、客席に料理が機関車で運ばれてくる料理屋は過去にもあった。中華料理はターンテーブルを使い、ミニチュアの機関車が料理を運んでくる日本料理屋に行ったこともあるが、回転寿司店は皿にICチップが埋め込まれていて、皿の枚数によって一瞬に会計が済む工夫や、皿にのせてから一定の時間が来ると自動的に回収されるという情報の管理を加えて、自動化したことにある。また、自分には余りよいとは思えないが、シャリを握るロボットの開発である。
ロボットはお櫃(ひつ)の中に入っているため、傍目ではあたかも職人が寿司を握っているように見える。ロボットが握るシャリは、定量で、大きさもそろい、空気の含みも調整できるという。回転寿司店は子供連れであっても、注文によって、サビ抜きや、洋風の寿司、プリンやアイスクリームなどのデザートの提供もあるという。至れり尽くせりの客の要望に応えることが出来るサービスは、今までの寿司店では望むべくもなく、不可能なことであった。個人で経営していた多くの寿司店が店をたたみ、回転寿司店へ再就職したという話も聞く。(次回へ続きます)