羽を広げて見上げた姿も良いですが、今回はバックシャンのカワラヒワを掲載します。
嘗て、職場の釣り同好会に入っていたこともあり、舟釣りを行っていて、主に大磯漁港から出船していた。十数人がメンバーで、誰かの発案で日程と魚種を決め、で幹事役がとりまとめ、なじみの船長の都合を聞き、了解が得られれば、前日に道具を準備し、潮の状況や天気図を見て、翌朝出かけていた。船長は大学卒のインテリで、実家の跡を継いだとかで、前職を辞めて漁師になった異色の若船長であった。また、地元漁師集団とは気が合わないようで、伊豆七島方面での漁を専門としていた。大磯までは高速道路を使っていたが、厚木や横浜の仲間がいれば出来るだけ途中でピックアップしていた。ムツ、アコウダイ、金時鯛などの深場釣りになると道糸テトロン12号を500メートル巻いた大きなリールが必要になる。通常は道糸テトロン10号200メートルぐらい巻いたリールと中ぐらいの竿を準備した。
毎回狙う魚種は異なっていて春先はキスやメゴチ、暫くして麦イカ、夏場にはイサキや鯛、五目釣りで根魚、イカ、シイラ、磯マグロ、秋から冬になるとブリやヒラメなど多くの魚種釣りに挑んだ。餌も様々であったが、全て船長が準備してくれた。釣り仲間は、様々な仕掛けを準備していたが、仕立てでなければ出来ないことである。なぜならば、乗り合いでは船から流す重りの重さや道糸の号数が違うと巻き上げたときに糸が絡んでしまい、他の釣り人に迷惑を掛けるからである。我々の仲間に漁師を経験した者がいて、彼はいつも手釣りであった。殆どの者は魚種によって舟釣り専用の釣り竿を使用していた。
釣れない場合には船長が気を遣って、鰺や鯖を土産にと釣り場に案内してくれた。釣り人の多くは、鯖や鰺はあまり興味がなかったようである(釣った魚が横に走るため糸が絡みやすい)が、釣ったその日にしめて食するので、新鮮な刺身を食べることが出来た。しめ鯖・しめアジのレシピについては後述する。釣り船は乗り合いといって、知らない者同士を定員まで乗せる「乗り合い」と船1艘を貸し切る「仕立て」とがある。我々の同好会では殆どが「仕立て」であった。乗船人数で費用を分割するため、比較的安い料金で舟釣りが楽しめた。しかし、定年後は人数が集まらず、幹事役も寄る年波で自然消滅したようであるが、時々電話では当時のことを話題にしている。(次回へ続きます)