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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

芭蕉の足跡旅行福島・宮城・岩手(3)

2014年06月16日 00時00分01秒 | 日記

(3)須賀川・黒塚

  芭蕉は須賀川で一週間も長逗留しており、相楽等躬の問いかけに答えた句や、近隣の僧可伸の庵を詠った句が残っている。

  風流の初めやおくの田植うた   芭蕉

  世の人の見付ぬ花や軒の栗

 十念寺(須賀川市池上町101)は道を回りこんだ少し高い所にある文録元年(1592年)に開山された浄土宗の寺であり、芭蕉たちも須賀川を出発する前日に訪れている。ここには土地の俳人、市原多代女が安政2年に建てた「風流の…」の句碑がある。寺は本堂、鐘楼もあるが、庭にある古い墓石は誰の物かも解らぬまま、3年前の東日本大震災で倒れたままになっており、震災の激しさを思い起こさせた。

 乙字が滝に着いたのは15時である。ここは阿武隈川の川底が5mばかり断層になって垂直に切れ落ちて滝をつくっているところである。傍らの滝見不動の横に

  五月雨の滝降りうつむ水(み)かさ哉   芭蕉

の句碑がある。川幅は広くないが切れ落ちた滝は一見の価値がある。滝の中央にえぐれた所があり、そこは舟を通すために穿ったのだという。

 今回は芭蕉が「花かつみ」を探し求めたという浅香山(安積山)は立ち寄らないことにして、一度、高速に戻る。二本松で高速を下りるつもりが話をしていて乗り過ごし、次の松川PAでETC専用出口から出て安達ケ原にゆく。走っている景色は変わりばえがしないが、緑が美しい。阿武隈川を渡って、16時20分、有名な鬼女伝説の場所である安達ケ原に着く。岩屋は観世寺(二本松市安達ケ原4-126,0243-22-0797)の中にあり、大きな岩が重なりあってあたかも岩室のようになって奇観である。天台宗のこの寺の本堂には阿弥陀三尊が祀られ、本堂の欄間の彫刻も美しい。本堂の右横には小さな資料館があり、人の良さそうな住職が鬼女伝説の解説をしてくれたが、気持ちの良いものではない。門の外の河岸に鬼女を埋めたとされる黒塚があり、杉の大木が一本立っている。

 能の「黒塚」は、諸国行脚の山伏裕慶たちが一夜の宿泊を頼んだ老女の一軒家で、老女が夜、薪を取りに行った時、見るなと言われていた閨を覗いて、骨が散乱しているのを知る。一目散に逃げ出した裕慶たちを鬼となった老女が追いかけるが、裕慶は五大明王の功力で祈り伏せる、といった話である。

 今日は福島駅近くのホテル泊り。福島着17時30分。夕食は飲み屋で。お兄さんお勧めの地酒、国権・本醸造が美味い。