カルガモなどが飛んでいるときなどに示す飾り羽根、近くで見ると光線にもよりますが、紫色に見えました。グラデーションもあり再現するのが難しい。
ベトナム語である。フィリピンではバロットと呼んでいる。食材であるがあまり見聞きした日本人は少ないと思うが、アヒルの茹で玉子のことである。我が国でも来日した外国人は自国の慣れ親しんでいる食材には抵抗無く食し、自国を懐かしみ、思い出にふけること、郷愁を感じるものである。
外国人から見れば納豆やフナ寿司などの発酵食品、イナゴやザザムシ、蜂の子、海産物のホヤ、ドジョウ、酒のつまみで珍味とされている、このわた、ウルカ、塩辛などはなじみがないため、なかなか好物には成り得ない。日本人の中にも外国産の野菜や果物であっても香菜(コリアンダー)、ドリアンなど癖のある食材での好き嫌いが激しい。
現職で成田の短期大学校に勤務していたときに、JICAからの技術協力の一環として、留学生受け入れが定期的に行われていて、精密機械を専門とする現地の指導員を再訓練するというプログラムがあった。毎年1名であったが5ヶ年間に5名が来日することになった。そのときの通訳を務めたグエン氏とプログラムが終わった後も暫くお付き合いをしていた。グエン氏の奥方は日本人で、住まいは自由が丘であったため、我が家とも近かった。時々、蒲田にあるベトナム料理店に出向き、経験したことがないベトナムの料理を通じて異国情緒を楽しんでいた。
ある時、グエン氏はNPOを立ち上げ、練馬にあるその事務所兼別宅へ呼ばれることになり、女房と共に伺った。そこでは接待のため呼ばれたらしい若い女性が同席したが、ベトナムから来日し、学生であるとグエン氏から紹介された。どのような食事をしたか憶えていないが、台所の隅でこの女性がむさぼるように食べていたのがホヴィロンであった。
紙箱に10個はあったと思うが、全て彼女一人で平らげた。グエン氏は蒸(ふか)した玉子といっていた。今になって思うと蒸かすとは孵化(ふか)しで、アヒルの有精卵である。
我が国ではなかなか手に入らないもので、ベトナムでも高級料理店ではなく、屋台や専門の店に行かないと売っていないという。東南アジアでは名前は異なるが、同様なアヒルの有精卵を食する習慣を持っている。有精卵が産まれて18日目が食感や味がよいそうであるが、茹でた玉子の殻を丸く割り、スプーンで食する。調味料として塩を加え、香菜などと一緒に食す。スープは美味であるそうだ。勿論自分は食べたことはない。