>■杉田玄白の「蘭学事始」が語るオランダ語翻訳の苦労
>――科学をはじめ多くの学問を母語でそのまま学べる国は、世界にそう多くありません。その点、日本人は恵まれていますね。
>白川 そうです。日本は古くから大陸の漢字文化を取り入れて昇華させ、万葉仮名を作り、漢字(表意文字)と、ひらがな・カタカナ(表音文字)を組み合わせた言語体系を作り上げました。
日本人が他国の文化の受け売りするためには、まず吸収が必要となりますね。国内には自分の頭を使う専門家はごく少なく、コメンテイタ・解説者などばかりが花盛りになります。根無し草の浮き草稼業か幅を利かせています。
日本語表記法である仮名漢字表記法は、どこの国でも通用しません。ですから、海外への発信には向いていません。海外から得られた知識は、もっぱら日本人向けの受け売りに使われています。
恵まれた日本人の境遇を広く世界の人々と共有するためには、非漢字圏の人々に対する日本語の普及が必要でしょうね。難解な仮名漢字表記法を廃してローマ字 (alphabet) 表記にすれば、たちどころに外国人に日本語の音読が可能になります。会話も可能になり、意見交換も活発になるでしょう。外国人研修・技能実習制度の成果も著しく改善するでしょう。
日本語を世界の第二言語にしましょう。世界に外国人の知日派を増やしましょう。日本の良さを共有させましょう。
受け売りを専門とする日本人は、外国人に信頼されていません。自己がないからです。民信なくんば立たず。‘私は絶対に日本人を信用しない。昨日までの攘夷論者が今日は開港論者となり、昨日までの超国家主義者が今日は民主主義者となる。これを信用できるわけがない’ (あるアメリカの国務長官)
漢人 (中国人) は、自分たちの考えを示すために漢字を発明しました。しかし、彼らは外国人の考えを示すために漢字を作ることはしなかった。だから、中国人は、外来思想の取入れには難渋しています。この短所により独善的な中華思想は治りません。
>それ以前の歴史記録と言えば、古事記の稗田阿礼のような人物が神話や伝説を口伝えで伝承するしかなかったのです。
そうですね。日本人は、文字のない民族でしたね。
>江戸時代には長崎に入って来る欧米の科学知識を懸命に日本語に翻訳しました。
そうですね。わが国は、今も昔も変わらない ‘受け売り文化’ の国ですね。忖度 (推察) による意訳も盛んですね。忖度は、話し手には責任のない、聞き手の勝手な解釈ですね。会話ができないと、独りよがりになりますね。
(略)
>■英語は大事だが、まず日本語をしっかり学んでほしい
>――最近は英語を使う機会が増え、政府も英語教育の早期化を進めています。2020年には「小学3年からの必修化」や、「小学5年からの教科化」を実施する方針です。>子どもたちへの英語教育については、どのようにお考えでしょうか。
>白川 確かにグローバル化はますます深化しており、世界共通語である英語をコミュニケーションの道具として学ぶのは当然のことだと思います。
そうですね。英語なしでは、日本人はノーベル賞にも手が届かないでしょうね。
>しかし、それは母語であり日本の公用語である日本語をしっかり身に付けた上でのこと。
そうですね。今ある日本人の経済力は、日本語のおかげですね。感謝・感激の毎日ですね。
>まず日本語でしっかり考え、理解し、それを的確に伝達できるようにする。
しかし、日本語には弱点もありますね。
現実の内容は、頭の外にある。これは、見ることができる。
非現実 (考え) の内容は、頭の中にある。これは、見ることができない。ただの話 (文章) である。理解が必要になる。
だが、日本人の判断によれば、目に見えるものは ‘本当’ の事、見えないものは ‘嘘’ になる。だから、只の話 (考え) は ‘嘘’ になる。
だから、日本人は、考えというものを突き詰めようとしない。それで、軽薄な人に見える。
矛盾を含まない全ての文章は、正しい考えを示している。だから、正解は一つではない。個人の数だけあることもある。矛盾を除去すれば、間違った考えは正しくなる。
全ての人に哲学は必要である。Everyone needs a philosophy. そうでなければ、我々は烏合の衆になる。
>日本語で論理的に説明できない人が、英語で論理的に説明できるはずがありません。
日本語は、ばらばらな単語により使われ、文章になっていないことが多いから、意味がないことが多い。意味も無ければ、矛盾もない。聞き手が忖度 (推察) により自分勝手に補足するから、議論に混乱が起こる。
>繰り返しますが、今や英語はコミュニケーション言語としてとても大事です。>学ばなくてよいということでは決してありません。>ただ、完璧な発音のバイリンガルになることを望むなら別ですが、大学生になってからでも、必要になった時点で真剣に学べば、1年もあれば何とかなるものです。
そうであるとありがたいですね。知的な英米人は、大学の上に大学院の教育を重ねています。
>科学者であれ、ビジネスマンであれ、日本語がしっかり身に付いている人のほうが、より一層核心に迫った理解ができるし、発想の自由度がより大きいと感じています。
日本語メンタリティ (考え方) では、’嘘・本当’ の世界を脱却することが難しいでしょうね。これが初歩的な難関でしょうね。
(略)
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