英語は重要である
この掛川市からもアメリカにホームステイに出かける人が毎年大勢いるが、’アメリカが私の第二の故郷のような気がする’という感想を述べる人もいる。私もその一人だ。いろいろな批判をする人もいるが、世界で一番抵抗なく自分を受け入れることのできる環境を提供してくれる国であることに間違いない。大勢の密入国者たちも、皆そう考えての移動なのだろう。
住民の考え方が良い。それは英語圏の言語が良いからであろう。
日本語も重要である
英語は国際語である。理性ある言語でとりわけ価値のある言語である。一方、日本語も優れた言葉である。日本語は、特に技術関係・芸術関係に優れているので、国際語として利用価値のある言語である。細工物の仕上りが良く、技術指導に威力を発揮する。ぜひ、この日本語の恩恵を世界の人々と共有したいものである。
だが、日本語はローマ字表記になっていないので、国際的な広がりを見せていない。
英語にあって、日本語にないもの
‘小異を捨てて大同に就く’ という格言があるが、現実を捨てて、非現実の内容を取り上げるならば、我々は大同団結ができる。
大同は世界観であり、建設されるべき未来社会の内容である。大同が提案できれば、未来社会の建設指導者になれる。大同の内容にはいろいろあろうが、自分自身の提案が無ければ、指導者にはなれない。
言語には時制というものがあり、時制があるとその言語を使って世界観を述べることができる。時制は英語にあって、日本語にはない。
世界観は非現実の内容である。いうなれば、前世とか来世の内容のようなものである。見ても見えない世界である。だから、その内容は相手の話を聞いて理解するしかない。
全ての考えは文章になる。文章にならないものは考えではない。以心伝心 (いしんでんしん) は、’無言のうちに、気持ちが相手に通じること’ であるから、考えではない。談合は、そうした世界での腹の探り合いである。だから、談合は腹をくくって決着する。文章にならないので、意味もなければ、矛盾を指摘することもできない。
日本人に大同・非現実の内容が語れないことは、何としても残念なことである。国際社会では、日本人は一般に3S (silent, smile, sleep) つまり「静かに、微笑んでいる、寝ている」とみられている。だから、我々は英語の勉強をして、説得力を持ち、自己の存在価値を高めなくてはならない。
現実の内容は見ればわかる。見てもわからないものは、日本人の判断では真っ赤な嘘になる。
非現実の内容は、見てもわからない。だから、日本人の考えでは、非現実の内容は、見てきたような嘘ということになる。
考えの中身は非現実である。その中身は見ることができない。ただ、相手の話を聞いて理解しなければならない。考えの中身は現実離れがしているので、日本人には信じることが難しい。だから、日本人の話は高尚なものにはならない。
日本語を国際語にするには
言葉は元来、話すもの・聞くものである。
音声により会話が成り立つのであるから、発音を記録にとどめることは大切なことである。
発音の練習も大切である。表音文字を使うと、発音の学習に能率が上がる。
何事も迅速なこの国際時代にあって、日本語のかな漢字表記では、非漢字圏の初学者には歯が立たない。
それにもかかわらず、耳学問だけでは世の中の進みに追いついて行けないので、書き物を読んで言葉を学ぶ必要がある。
現在のかな漢字表記では、和文の素読もままならない。日本人ばかりの役所でも、振り仮名の使用は日常的に行われている。
日本語をローマ字表記にすれば、会話程度の学習能率は上がる。日本語による議論ができる。日本語を世界規模の第二言語にする道が開ける。さすれば、日本人の活躍の場も広がる。日本語の考え方の優れた点は、’今・ここ’ に注意を集中させることができることにあるが、前後のことはわからない。一寸先は闇であるのか。
現在は民主主義の時代である。世の中の建設には主人公である民の理解が必要である。大同を民に理解してもらうために、言葉が通じないようでは困るのである。民は一人ひとり考えが違うのであるから、言葉が通じないのでは議論もできない。日本人の考えの中身を普及させるには、まず日本語を世界の人々に広く覚えてもらうことが、その第一歩である。
経済連携協定 (EPA) に基づいてインドネシアなどから来日している九十五人が初の国家試験に挑んだ結果、二〇一二年三月二十八日、そのうちの三十六人の外国人介護福祉士が誕生した。外国人受験者の合格率は三十八%と、日本人を含む全体の合格率六十四%に比べて低かった。来日から三年で試験に挑んだ彼らには、日本語が壁となったことは明らかである。日本語は難しい言葉ではない。難しいのは、そのカナ漢字表記法である。
やはり三月に発表された看護師国家試験では、同じくEPAで来日した外国人の合格率は、わずか十一%に過ぎなかった。今回の介護福祉士の試験では、難しい漢字に平仮名が振られた。そして日本人の合格率も例年よりも、十五ポイントほど上がっている。つまり、試験自体の難易度が下がっていたのだ。せっかく来日した研修生も、我が国の資格試験の仕組みで落とされている。関係者は何についての資格を選定しているのか考えたことがあるであろうか。試験の難易度には、漢字に関する難易度が大きく関わっているのである。技術の内容は、外国においても学ぶことができるものである。
漢字は漢人 (中国人) が自分ちの考えを表現するために造った文字である。中国人の考えの中身が増えてゆかなければ、漢字の数も増えては行かない。また、漢字の数が増えると困る人も多い。中国人は、外国人の考えの内容を表わす文字は造らないから、彼らは外国人の考えを漢文の中に取り入れることが難しい。かくして、我が国のカナ漢字表記には、カナ書きの外来語が増えてゆく。カナ書き外来語をたくさん覚えて、一応国際通になったつもりでいても、この人の言語はどこの国に行っても通用しない。さしずめ日本人の読み書きの努力とは、そういったものである。我が国で学ぶ外国人の日本語の便利度も同じ運命にある。
日本語をローマ字表記に切り替えて、さらに開かれた世界を目指そう。さすれば、我が国は書籍の輸出国になる。我々は世界中の知識人の関心の的になる。