桜便り【最終】
日本海側に咲く桜は風雪に耐え抜く力強さと、待ちわびた
春の訪れを喜ぶような明るさを感じた。
若狭・小浜の【明通寺】
海に近い小浜にありながら、静寂に包まれ鳥の鳴き声が響く杉木立の中にある。
坂上田村麻呂創建の寺で本堂と三重塔は国宝である。
満開の桜が庫裡を覆っていた。
若狭・小浜の【神宮寺】
山門をくぐり本堂に向かう細い道の両側に桜が整列し迎えてくれる。
神宮寺は別名「お水送り」の寺と言われる。
今もこんこんと湧く井戸があり、それを荒行を積んだ僧侶達が
汲み上げ、近くの「鵜の瀬」に運び、奈良東大寺に送る神事が
行われる。その香水が着いて始められるのが奈良東大寺・二月堂の
「お水取り」である。
奇岩が並ぶ加賀の【那谷寺】この寺は岩山が本尊である。
風雪に耐えた苔むす樹に、咲く桜が清々しい。
白山の麓に白山神社【平泉寺】がある。
中世、平泉寺は悪僧の巣窟であった、僧兵八千と言われ、
常に北陸路の武力騒動の一中心であった。
今に残る僧房は何もなく境内は苔の絨毯で覆われているのみ。
「うらやまし うきよの 北の山桜」と、芭蕉の句碑があるが
この地域の桜のほとんどが薄墨桜だそうだ。