武道修行‥長き歩みのあとに何が残るだろう?
空手道、六年生である彼女のその始まりは幼年の頃からだった。
『武』とは、まったく無縁のような、一般論的な部分でいう女性っぽさを多く持つ彼女は、稽古の中でも涙をこぼす場面は決して少なくはなかった。
でも長い年月、歩みを止めようと思えば止められたはずの、そんな状況下にあっても、彼女は歩みを止めなかった。
その理由は一体、何なのだろう?
ただ、そんな部分の理由は本人にしか解らないのだけれど、習い事をする誰もが持つ共通性で物事を考えたとしても、長き時間を様々な個性と触れあってきた事実は、未来の自分自身をも助けてゆく、確かなチカラになったのだろう。
長き歩みのあとで残るもの‥長き歩みの中で掴んだものは‥きっと、そんな中にある。
そして‥
成長した彼女と最後の稽古。
あの頃はよく泣いていた彼女だけれど、今日は稽古の時も、写真撮影の時も、最後の挨拶の時だって、彼女は涙がこぼれないようにしていた。
長い時間の中で、長い歩みの中で、絡み合う様々な想いは‥言葉にならない。
だから彼女の、その言葉にならない『重さ』を、ボクは静かに理解しよう。
お別れの時、お母さんも彼女も、涙ぐんでいた。
そう‥そんな人達の限りなく透明な想いに抱かれて、ボクはずっと生きてきたんだと、その瞬間に吹き抜けた何よりも優しい風が、そのことを囁くかのように、
そっとボクに教えてくれた‥