私が豊橋教室の責任者をしていた頃、審査会の場で大泣きをしている幼年の子を見つけました。
『先生が横にいてあげるから、頑張ってみようか?』
そのように声をかけるのですが、状況は変わらず。マスクを着用するのが怖いとかで、基本稽古の審査から『大泣き』の状態でした。
そんなコトが審査会のたびに続いていたので、私の中でも、その子のコトがとても気になっていました。
それから一年が過ぎた頃でしょうか、諸事情があり、浜松教室に移動することになった私。
そう、その子との再会です。
『あッ!』
『あれ―ッ!リクじゃないかぁ!』
再会は御互いに驚き合うといった感じで。
『来週も先生、またココに来てもイイかい?』
『ウン!』
それが私とリクの始まりでした。
それから一年。仲間達との泣き笑いの中で、リクはとても逞しくなりました。
そんなリク一家がイギリスへの移住をすることになるのは、ずいぶん前から解ってはいましたが、『その日』が来るのは早いものです。
送別組手。仲間達の応援の中、リクは最後まで積極的に闘いぬきました。
『あの大泣きしてた子が‥。強くなったなぁ、リク‥』
最後ということもあり、いつも以上に気持ちを出そうとしていたのでしょう。
そう、もう言葉はいらない。それだけでイイ。
リクの言葉にならない想いを、我々は『想像力』を持って感じて行こう。
『その気持ち、シッカリと受け取った』
だから、とりあえずの区切りとしての『サヨナラ』を、私とリクはしなきゃね。
再会した頃、いつまでも、この『時』が続くと思っていました。これからもリクの成長を見守っていける。共に歩いて行けると。
やはり寂しさは溢れますが、でも、リクの最後の組手‥そのメッセージが、私の心を安心させてくれたように思います。
『先生!僕、少し強くなったョ。イギリスでも頑張れるからネ!』
リクの最後の組手を観ていて、私にはリクの心の声が、そんなふうに聞こえたのです。m(_ _)m
【今日の一枚】
★リク&エイト。『親友のエイトと。リクの意志はエイトが継ぐ?リク、ありがとう!』(^-^)
【教室長の一言】
☆『どんなに物事が理解出来るようになってきても、静かながらも哀しみの感情は生まれてくる。でも、そんな感情ともシッカリと向き合い、歩いて行くことが、【生きる】ということなのかも知れない。サヨナラは、再び出逢うための約束の言葉‥』