まず,참다の使い方から見てみましょう。
참다の対象は,内側から生まれてくる湧き起こる感情や欲求です。
次の例文を見てください。
・웃음을 참느라 혼났다.
〔笑いを我慢しようと大変だった〕
・아픔을 참지 못하고 소리를 질렀다.
〔痛みを我慢できずに叫んだ〕
・터져나오는 울음을 참지 못했다.
〔こみ上げてくる涙を我慢できなかった〕
・부끄러움을 참지 못하고 뛰쳐나가갔다.
〔恥ずかしさを我慢できずに飛び出していった〕
・살인 현장을 볼 때마다 역겨움을 참을 수 없었다.
〔殺人現場を見るたびに気持ち悪さを我慢できなかった〕
・분통이 터지는 것을 참고 선생을 흘겨보았다.
〔怒りが爆発しそうになるのを抑えて先生をにらみつけた〕
・밀려오는 설움을 참느라고 입을 비죽거렸다.
〔押し寄せる悲しみを抑えようとして唇を震わせた〕
・이번에 참지만 다음엔 가만있지 않겠다.
〔今回は我慢するけど,次は黙っていないぞ〕
졸음을 참아가며 영화를 보았다.
〔眠気を抑えながら映画を見た〕
기침을 참느라 얼굴이 벌개졌다.
〔咳を我慢しようとして顔が赤くなった〕
오줌을 참고 화장실까지 달려갔다.
〔おしっこを我慢してトイレに走っていった〕
上の例でわかるように,참다の対象となるものは,無意識の衝動や本能,生理的現象など,我慢するのが難しい場合がほとんどです。また,我慢できなかったからといって,特に害を被ったり,特別な危険にさらされたりすることはありません。
これに対して,견디다の対象となるものは,外部の要因によるもので,「耐えられないと」重大な結果を招くものです。寒さや暑さを我慢できなかったら,他の場所に避難しない限り,その場で倒れたりして大変なことになります。飢餓に耐えられない場合,拷問に耐えられない場合もそうです。屈辱や侮辱に耐えられない場合,自殺などの極端な選択をする可能性も否定できません。
・학정을 견디는 농민들〔圧政に耐える農民たち〕
・강추위를 견디다. 〔厳寒に耐える〕
・아내의 광신적 종교 활동을 견디다 못한 남편이 이혼 소송을 냈다.
〔妻の狂信的な宗教活動に耐えかねた夫が離婚訴訟を起こした〕
・그녀는 남편의 폭력을 견디다 못해 아이들을 데리고 친정으로 도망치고 말았다.
〔彼女は夫の暴力に耐えきれず,子供たちを連れて実家に逃げ帰ってしまった〕
・지도자의 독재를 견디다 못한 이웃 나라 시민들이 반란을 일으켰다.
〔隣国の市民たちは,指導者の独裁に耐えきれず,反乱を起こした〕
견디다の主体が人ではない場合はどうなのでしょうか。
・밧줄이 무게를 견디지 못하고 끊어졌다.〔ロープが重さに耐えられず,切れた〕
・가죽 제품이라 오래 견딘다.〔皮製品なので,長持ちする〕
・가뭄에 잘 견디는 벼 품종〔干ばつに強い米の品種〕
・추위에 잘 견디는 과실수〔寒さに強い果樹〕
비바람에 잘 견디는 덧문〔風雨によく耐える雨戸〕
・모진 고문을 견뎌낸 민주인사〔厳しい拷問に耐えた民主主義者〕
重さに堪えられない紐は切れてしまいます。高熱に耐えられない素材は溶けたり燃え尽きたり,荷重に耐えられない橋は崩れてしまいます。乾期に耐えられない農作物は枯れ,台風に耐えられない木は倒れたり,根こそぎ抜き取られたりしてしまいます。湿気に耐える力が弱い機械は錆びついて故障してしまいます。
この点から見ると,참지 못했을 경우は,大したことがない場合や,被害があったとしても短期間で終わることが多く,その結果もそれほど心配するようなものではありません。しかし,견디지 못했을 경우,は非常に深刻であり,余波も軽視できないものであり,場合によっては生存自体に深刻な脅威をもたらす可能性があります。
참다と견디다のもう一つの重要な違いは,時間の長さです。참다は一瞬で済みますが,견디다はそれなりの時間がかかります。言い換えると,참다の対象は,通常,個人の日常生活に関連するものですが,견디다の対象は,社会的に重要な意味を持つものであることが多いのです。つまり,참다は一時的で具体的な対象に,견디다は持続的で抽象的な対象によく合います。したがって“웃음을 견딘다”や“먹고 싶은 것을 견딘다”といったら,ぎこちなく聞こえます。また,「試練」,「時」,「暗黒時代」などの高度に抽象化されたものや比喩的な対象には,ほぼ例外なく견디다を使います。
対象によっては참다も견디다も使えるケースがあります。例えば,아픔や고통,더위,추위,수모,굴욕などです。참다は口語形で,견딘다は格式のある言い方です。よってこれらの言葉には,会話では참다が使われる傾向にあり,書き言葉では견딘다が使われる傾向にあります。
*수모〈受侮〉:侮辱
また,同じ対象に참다を使ったときと견딘다を使ったときでは,微妙な意味の違いがあります。よって“식민지 백성의 고통”や“실연의 아픔”のように,比較的長時間にわたって続く社会的,文化的な苦しみには,참다よりも견딘다がぴったりです。
참다と견딘다が引き起こす結果に応じて,両単語の使い分けをすることがあります。例えば,“아픔을 참지 못하고”の次には“소리를 질렀다”のような表現が,“아픔을 견디지 못하고”の次には“혼절을 하고 말았다(気絶してしまった)”のような表現がぴったりです。
*혼절〈昏絕〉:気絶
●まとめ
・참다
①主語は人に限られる。
②内部から生じた心理的衝動や生理的本能について使う。
③短い時間で行う。
④失敗しても特に害はない。
・견디다
①主語は人,生物,無生物など。
②外部から与えられた条件や状況について使う。
③比較的長い時間が必要。
④失敗すると深刻な被害を受ける
これはあくまでも一般的な傾向であり,すべての場合に当てはまるとは限りません。
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