12月24日のクリスマスイブ、東京都多摩市でJIFF(障害者サッカー連盟)主催の 『JIFFインクルーシブフットボールフェスタ2016』が開催された。
今年4月1日に JIFFが正式に立ち上がって以来、JIFF主催の初めてのフェスティバルである。
イベントには障がい者サッカー7団体の関係者や選手たちをはじめ、多くの健常児や障害児童、ご家族や関心のある大人達が参加。電動車椅子サッカー、アンプティサッカー、ブラインドサッカーを体験するとともに、健常者も障がい者も混ざり合うピッチで、ボールを蹴った。
ピッチ上には、健常児、知的障害児、聴覚障害児童、脳性麻痺、片足切断のアンプティサッカーの選手達が混在。一つのボールを追いかけた。
また在京のJリーグ(FC東京、FC町田ゼルビア、東京ヴェルディ)、なでしこリーグ(日テレベレーザ、スフィーダ世田谷)、Fリーグ(フウガドールすみだ、ペスカドーラ町田、府中アスレチックFC)等、各チームのコーチや選手、サッカースクール関係者、OGなども参加、健常児・障害児への指導、というか楽しい場作り、そしてともにピッチでプレーした。また聴覚障害のプレーヤーを中心としたチーム、バルドラール浦安デフィオからも監督、選手が参加した。
北澤JIFF会長をはじめ、元なでしこジャパンの小林弥生さんも参加、元JリーガーでCPサッカー日本代表監督島田祐介氏もともにプレー、元日本代表監督岡田武史氏、日本代表GK川島永嗣選手は、各種サッカーを体験、プレーの難しさを体感していた。
これだけの人々が集まったのも、やはりJIFFが正式に発足しサッカー協会と障がい者サッカー7団体とJFA(日本サッカー協会)が太いパイプでつながったことによるだろう。
しかし以前より数は少なくとも、各県各地域で各障がい者サッカーが集ったイベントが開催されてきた歴史を忘れるべきではないだろう。
例えば『メリメロ』は、「障害のあるなし関係無しに『ごちゃまぜ』 にサッカーを楽しむことができる空間作り」を旗印に活動を続けて来たが先日発展的解消をとげた。私も何度か参加させてもらった。
また2010年に開催された別団体によるイベントには、南アフリカW杯を終えたばかりの川島選手も参加、ブラインドサッカー体験している姿が印象に残っている。
その時のブログの書込み
障害者サッカーのイベントに川島選手が
ちなみにその時、初めてアンプティサッカーを目撃。ヒッキ選手のボールタッチの柔らかさに驚いた。
北澤会長もブラインドサッカーにかなり前から関わりを持たれて来た。ロンドンパラリンピック予選の前くらいからは煩雑にブラインドサッカーの現場でお見かけしたように思う。ブラインドサッカー版『ドーハの悲劇』も目の当たりにされていた。
岡田武史氏は以前より電動車椅子サッカーに関わりを持たれ、私が電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画を撮るきっかけになった日本代表の壮行試合(2011年)も観戦されていた。
さらに言えば、岡田氏をフランスワールドカップアジア予選の真っただ中、監督に抜擢した故・長沼健JFA会長(当時)は、晩年、ハンディキャップサッカー連盟会長として知的障がい者サッカーと深く関わられた。2006年のドイツ大会ではご一緒することができた。
そういった前史があって、今に連なっている。もちろん順風満帆な流れではなく、様々な問題を抱えながらの歴史だっただろう。
具体的にどのイベントというわけではないが、以前のイベントでは健常者と障害者がともにプレーする、一同に会すること自体が目的のように感じられ、「楽しさ」が全面に押し出され「素晴らしいこと」で終わっていると思うことも少なくなかった。また『健常者、障害者ともに』ということを強調するがあまり各々の障害理解にはつながっていないような気がすることも多かった。
もちろん健常児・健常者にとって何らかのきっかけになればで良いのだが、その場での疑問にも明確に答え得る人が少なく、浅い理解で満足しているように思えることもあった。
やはり大切なのはその場で何かを感じて、その後も継続して考え続け、出来れば発信につなげることだろう。
そのことが『サッカーなら、どんな障害も超えられる』 ということにつながっていく。
閉会式の挨拶でも北澤会長がそういった意味合いのことを述べられている。
(以下は閉会式の岡田武史氏、北澤会長の閉会式での挨拶。当日の様子を撮影した映像をインサートしていますので雰囲気は伝わるかと思います)
【JIFF】JIFFインクルーシブフットボールフェスタ2016 岡田武史氏、北澤豪会長コメント動画
私自身は当日撮影等に追われていて時間的な余裕もなかったのだが、インクルーシブのサッカーを見て思ったのは、かなりガチの瞬間が多かったこと。
健常児が障害児からガチンコでボールを奪う、障害児も懸命にボールを取り返そうとする。もちろんそこには笑顔はない。しかし真剣にサッカーを、フットサルをプレーしている姿がある。
「楽しい」って、そういうことだったりもするだろう。
何か少しだけインクルーシブサッカーの進化形を見たような気がした。
また健常児がアンプティの選手にパスを出す場合、足は1本しかないわけでより正確なパスが求められる。もちろんスペースへのパスもより工夫が必要だ。CP(脳性麻痺)の選手にパスを出す場合は麻痺していない方の足で受けやすいようなパスを出すべきだったり、場合によっては健常児だけでプレーしているよりもより高度な瞬間的な判断が要求されることもあるだろう。あるいは接触プレーで倒した場合、さすがにそこまでの接触はよくないと学習もするだろう。知的障害児にはあまり複雑な動きは要求できないと学習するだろう。聴覚障害児とはジェスチャーやアイコンタクトが有効だと感じるだろう。
そうやって身をもって『障害』を 体感できるのも、サッカーを互いが真剣にプレーするからだ。
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