「車体傾斜装置、取りやめ検討 JR北海道、15年度以降導入の28両 将来の高速化に足かせも」・・・・・といった記事が北海道新聞12月5日朝刊の経済欄に掲載されました。
「現在、特急スーパー宗谷やスーパーとかちとして運転中の261系気動車。15年度以降の導入車は車体傾斜装置が搭載されない見通しだ。JR北海道が2015年度以降に導入する特急用気動車「261系」28両について、同系の特徴である車体傾斜装置の搭載を取りやめる方向で検討していることが4日、同社関係者への取材で分かった。同装置は速度を落とさずに安全にカーブを走るための機器で、車両から取り外せば将来再び特急のスピードアップを図る時の制約にもなりそうだ。
コスト面や車両・線路への負担軽減などが理由とみられるが、同社広報部は「仕様を検討している段階で、詳しく話せない」としている。
同社は1987年の発足以来、道内の都市間輸送の利便性向上を掲げ、所要時間短縮の決め手としてカーブを安全に速く走れる車両開発を続けてきた。92年以降に導入した特急気動車は、すべて高速走行可能な振り子式か、同装置搭載車となっていた。」・・・・・大体このような内容の記事でした。
車体傾斜と言えば「振り子」を使った281や283系のスーパー北斗やスーパーおおぞらを第一に思い出しますが、キハ261系は、振り子気動車をコストダウンし、空気ばねの内圧を調整することによる傾斜装置を搭載しています。
261新製の報道があった時、私が、第一に感じたのは、現在エンジントラブルのために運休している183系を使用した北斗用の車両の更新だろうということでした。
しかし、「車体傾斜装置省略」の検討は、石北本線や宗谷本線名寄以北などに投入することを考慮していることにも思い当たりました。
ということは、必ずしも、「北斗」車両の更新・導入だけを前提としているわけではなく、現在運行停止になっている36両の更新のみならず100両を超す183系全体の後継車両として、スペックダウン261を位置づけているのは確実だと考えられるのです。
新幹線函館延伸により、函館と札幌間のアクセスの利便性向上は焦眉の急となっています。さらに281.283系もそう遠くない将来に耐用年数を迎えることを考えると、釧路方面も合わせたこれら区間には、ハイブリッド?とささやかれている新型車両を投入していくのではないかと考えます。
その際、今回投入されるスペックダウン261には余剰が生じ、他の線区でも運用されるようになるのは間違いありません。
また、 「オホーツク」にいたっては30年余経過した老体の国鉄時代のキハ183系を使用している使用しているため、早期の更新が必要となっています。
「オホーツク」の走行区間はいまだに国鉄時代と同じ最高速度の95キロとなっています。自動車に偏重する自治体の消極的な姿勢と、費用対効果を考えると路線の改良は期待できません。
ここに傾斜装置搭載の現行261系を走らせても、車体傾斜は活用できず所要時間の短縮のメリットは限られます。
また、財務的にも、利用状況から見ても、石北や宗谷本線などへの線区専用の新型特急形気動車を製作することは難しいので、北海道旅客鉄道は現行キハ261系のスペックダウンした「お手軽版」を製作して、そこに投入していくという方針が垣間見えます。
参考:2013年12月5日付北海道新聞朝刊