「ありがたい話しだが、突然で迷惑だろう、宿をとるよ」
「何を言ってる。無駄遣いをしないでくれ。鉄さんにそんな真似させられるか。じゃ、それで行
こう」
猛さんは背を向けて、早くも歩き始める。
鉄さんはさすがに戸惑いを隠せず、高志の顔を見た。
そんな鉄さんを振り返って、猛さんは強引に急かした。
「ちょっと待ってくれ」
意を決して言った鉄さんは、急に岸壁の船着場に向かって駆け出した。
待つ間もなく鉄さんは、ガンガンを肩に戻ってきた。
「何だいそれは」
猛さんは遠慮なく尋ねる。
鉄さんは床に置いたガンガンの蓋を取った。
中には今朝獲った、ソイとアブラコとカジカが入っていた。
「今夜はこいつで一杯というのはどうだい」
「こりやぁいい。皆喜ぶ」
猛は相好を崩した。
赤間の家までは20分足らずだった。
7、8分で低い家並の市街地を抜けると、後は見渡す限りの雪野原で、遠くに点在するトタン屋
根の一軒が赤間家だった。
「ここらは皆畑だ。田圃(たんぼ)はあまり無い。豆やじゃが芋、南瓜、それに葉物も多い。種類は多いが
小規模だ。だからこまめに年中忙しい」
「何を言ってる。無駄遣いをしないでくれ。鉄さんにそんな真似させられるか。じゃ、それで行
こう」
猛さんは背を向けて、早くも歩き始める。
鉄さんはさすがに戸惑いを隠せず、高志の顔を見た。
そんな鉄さんを振り返って、猛さんは強引に急かした。
「ちょっと待ってくれ」
意を決して言った鉄さんは、急に岸壁の船着場に向かって駆け出した。
待つ間もなく鉄さんは、ガンガンを肩に戻ってきた。
「何だいそれは」
猛さんは遠慮なく尋ねる。
鉄さんは床に置いたガンガンの蓋を取った。
中には今朝獲った、ソイとアブラコとカジカが入っていた。
「今夜はこいつで一杯というのはどうだい」
「こりやぁいい。皆喜ぶ」
猛は相好を崩した。
赤間の家までは20分足らずだった。
7、8分で低い家並の市街地を抜けると、後は見渡す限りの雪野原で、遠くに点在するトタン屋
根の一軒が赤間家だった。
「ここらは皆畑だ。田圃(たんぼ)はあまり無い。豆やじゃが芋、南瓜、それに葉物も多い。種類は多いが
小規模だ。だからこまめに年中忙しい」